令和5年2月6日知事会見記録

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開催日時

令和5年2月6日15時30分から16時29分まで

会見記録

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に知事から発表があります。それでは、知事お願いします。

知事
 それでは、令和5年度当初予算案について説明します。
 令和5年度当初予算案は、「いわて県民エンパワー予算」と名づけました。「いわて県民エンパワー予算」です。
 第2期アクションプランを進めるに当たり、子育てや結婚、進学、スポーツ、仕事、地域活動など、頑張ろうとしている県民一人ひとりが活躍を広げていけるようになってほしいという考えの下、この予算に盛り込まれた様々な事業が県民をエンパワーできるものになるようということで命名しました。
 予算の総額は、7,714億円です。予算のポイントは3つあります。
 1つは、人口減少対策のため、子ども子育て施策を強化します。令和4年度の201億円から16億円増額し、217億円となります。子育て世帯への経済的支援の拡充のため、第2子以降の3歳未満児に対して、所得制限を設けずに保育料の無償化を実施する市町村に対し補助する「いわて子育て応援保育料無償化事業費補助」などの事業を新たに実施します。
 2つ目は、GX(ジーエックス:グリーントランスフォーメーション)の推進とDX(ディーエックス:デジタルトランスフォーメーション)の推進です。令和4年度の98億円から66億円増額し、164億円となります。
 3つ目は、安全・安心な地域づくりの強化です。令和4年度の649億円から31億円増額し、680億円となります。
 次に、令和5年度岩手県一般会計当初予算案のポイントの1ページ、令和5年度当初予算案、一般会計の考え方を御覧ください。
 令和5年度当初予算案は、いわて県民計画(2019~2028)第2期アクションプランの下、県民一人ひとりをエンパワーできるよう、県民の幸福度向上を図る10の政策や「新しい時代を切り拓くプロジェクト」を着実に推進する予算として編成しました。
 その中でも4つの重点事項、「自然減・社会減対策」、「GXの推進」、「DXの推進」、「安全・安心な地域づくり」については、近年にない水準で大胆に予算を配分して取り組みます。
 感染拡大防止や社会経済活動への支援など、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期すとともに、東日本大震災津波からの復興について、被災者のこころのケア、コミュニティ形成支援、伝承・発信等、必要な取組を着実に推進します。また、中期財政見通し等を踏まえ、新たな財政目標の下、財政健全化を推進したところです。
 次に、令和5年度当初予算案の規模ですが、2ページ、予算の規模は7,714億円です。新型コロナウイルス感染症対策は914億円です。
 公共事業費については、2月補正予算と一体的に編成し、実行予算ベースで対前年プラス25億円、3.0%の増加となる878億円を確保しました。具体的な歳入歳出の状況については、3ページから5ページです。
 次に、令和5年度当初予算案における主な取組、6ページを御覧ください。令和5年度は、県政の最重要課題である東日本大震災津波からの復興を着実に進め、人口減少対策を最優先に掲げる第2期アクションプランの下、「自然減・社会減対策」、「GX」、「DX」、「安全・安心」の4つの重点事項に対して、事業費で1,060億円程度、このうち新規事業で82億円程度を措置し、強力に推進します。
 復興については、第2期復興推進プランに基づき、個別避難計画の作成支援などの総合的な地震・津波防災対策、被災者のこころのケアや主要魚種の不漁への対応などを進めます。
 新型コロナウイルス感染症対策については、引き続き適切な保健医療体制の確保、ワクチン接種の推進、社会経済活動への支援などに取り組みます。
 次に、4つの重点事項に関してですが、10ページから14ページ、「人口の自然減・社会減対策」では、若者のライフデザイン形成のための支援、第2子以降の3歳未満児に対する所得制限を設けない保育料等の無償化や在宅育児手当支給に係る市町村への支援、医療費助成の高校生等への現物給付拡大など、結婚、子育て等のライフステージに応じた支援や、安心して子どもを生み育てられる環境の充実を図ります。
 また、男女がともに活躍できる環境づくりや移住、定住の促進のため、雇用労働環境の整備に向けた取組の支援、若者、女性の新規創業者の支援を進めます。これらの事業等を通じて、市町村と連携して、全国でもトップレベル水準の子ども・子育て環境の実現を目指します。
 15ページから17ページの「GXの推進」では、省エネルギー対策の推進や再生可能エネルギーの導入促進を図るため、脱炭素化に向けた推進体制の構築、家庭、産業・業務、運輸等の各部門における温室効果ガス排出量削減の取組支援、水素ステーションの導入支援、電気自動車等の普及促進などに取り組みます。これらのGXの推進に必要な資金を調達するため、グリーンボンドを新たに発行します。
 18ページから20ページの「DXの推進」では、デジタル人材等の育成やマーケティングの活用など、あらゆる産業のDXを進めます。また、ICT(アイシーティー:情報通信技術)を活用した学習環境づくりなど、社会、暮らしのDXの推進により、県民生活の利便性の向上を図るとともに、DXを支える基盤を整備します。
 21ページから22ページの「安全・安心な地域づくり」では、本県最大クラスの津波被害想定を踏まえた沿岸市町村が行う避難対策支援など、今後起こり得る巨大地震津波や大規模災害への対応を進めます。また、新興感染症などに対応するとともに、盛土等の安全性の確保対策、鳥獣被害対策など、安全・安心な地域社会を構築します。
 次に、10の政策分野に基づく主な施策です。
 23ページ、「健康・余暇」分野では、包括的な自殺対策プログラムの充実や遠隔医療の設備整備を支援します。また、文化芸術活動機会等を充実させます。
 24ページ、「家族・子育て」分野では、出会いの機会を創出するため、“いきいき岩手”結婚サポートセンターに新たに結婚支援コンシェルジュを配置します。また、不妊に悩む夫婦を総合的に支援します。
 25ページ、「教育」分野では、文理の枠を超えた学びを通じて探究的な学習を深めていきます。また、地域ニーズを踏まえたリカレント教育の充実を図ります。
 26ページ、「居住環境・コミュニティ」では、人流ビッグデータを活用した次期地域公共交通計画を策定します。また、若者・移住者の定住推進に向けた空き家の利活用を促進します。
 27ページ、「安全」分野では、市町村における消防団の充実強化を支援します。また、性犯罪・性暴力被害者に対する総合的な支援を実施し、心身の負担軽減を図ります。
 28ページ、「仕事、収入」分野では、いわてスタートアップ推進プラットフォームを設置し、起業する段階や形態に適したプログラムを提供するなど、起業・スタートアップの支援を強化します。また、農業DXの推進や高収益な野菜等への作付転換の促進、県産農林水産物の輸出拡大を図ります。
 29ページ、「歴史・文化」分野では、「平泉の文化遺産」「明治日本の産業革命遺産」「北海道・北東北の縄文遺跡群」の3つの世界遺産とそれぞれの地域が有する文化遺産のネットワークを構築します。
 30ページ、「自然環境」分野では、地域と連携し、有害鳥獣対策の充実強化を図ります。また、循環型地域社会の構築に向け、3R(スリーアール)の推進、食品ロス削減を推進します。
 31ページ、「社会基盤」分野では、近年頻発する自然災害に備え、ハード・ソフトを組み合わせた防災・減災対策を進めます。また、社会資本が将来にわたって持続的に機能を発揮するよう、予防保全に向けた計画的な維持管理を進めます。
 32ページ、「参画」分野では、若者、女性が活躍できる職場環境づくりのため、経営者の意識醸成を図ります。
 33ページから、「新しい時代を切り拓くプロジェクト」の推進に向けた主な施策です。長期的な視点に立ち、岩手らしさを生かした新たな価値・サービスの創造などの先導的な取組を推進し、国際リニアコライダーの実現に向けた「ILC(アイエルシー)プロジェクト」や3つのゾーンプロジェクトなどを進めます。
 44ページ、広域振興圏の施策については、市町村との適切な役割分担と連携の下、各圏域の特性や資源を生かした特色ある事業を展開します。
 45ページ、持続可能な行財政基盤の構築に向けた取組の状況は、新しく掲げた財政目標については、4項目とも達成または達成見込みとなっております。
 46ページ、プライマリーバランス及び財政調整基金残高の推移ですが、令和5年度当初予算後の県債残高は1兆1,900億円程度の見込みです。臨時財政対策債を除く県債残高は7,400億円程度で、ピーク時と比べ、6割程度の水準まで低下しており、政策推進と財政の健全化の両立を実現した予算となっています。

 次に、県議会2月定例会に初日提案する令和4年度一般会計第8号補正予算案について発表します。
 補正予算額は337億円です。
 国の経済対策を踏まえ、令和5年度当初予算と一体的な補正予算編成を実施しました。原油価格・物価高騰等に対して、県内経済の活性化の推進や県民の安全・安心の確保のため、防災・減災、国土強靱化等の推進に必要となる予算について、通常の2月補正に先行して計上しました。
 なお、事業者等へのきめ細かな支援等については、現在検討を進めており、2月定例会中に補正予算を提案します。

 次に、令和5年度の組織・職員体制の概要について発表します。
 人口減少対策や安全・安心な地域づくりなど、いわて県民計画を推進する体制の強化や、東日本大震災津波からの復興、新型コロナウイルス感染症対策等に必要な推進体制を確保するとともに、事務の移管、一元化等による効率的、効果的な体制の整備を図ります。
 安心して子どもを生み育てられる環境づくりとして、少子化対策を集中的に進めるため、「企画理事」及び「少子化対策監」を設置するとともに、子ども子育て支援室に特命課長を配置します。
 新型コロナウイルス感染症対策については、保健所の現行体制を維持するとともに、医療政策室に「医療企画監」を設置します。
 日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震津波対策として、県、市町村一体で実効性のある減災対策を構築するため、防災課に特命課長を設置します。
 沿線市町と連携し、鉄道路線の維持に向けた対応を行うため、交通政策室に「地方路線対策監」を設置します。
 野生鳥獣による農作物被害対策を強化するため、農業振興課に特命課長を設置します。
 次に、事務の移管、一元化等による効率的、効果的な体制整備ですが、県産米を含め、県産農林水産物一体での販路開拓、拡大を進めるため、県産米戦略室を廃室し、流通課に「流通企画・県産米課長」を設置します。
 港湾及び空港の整備・管理業務に一体的に取り組むため、港湾空港課を設置します。
 令和5年度当初における知事部局の職員数は4,310人程度となる見込みです。引き続き機動的な組織体制の整備やマンパワーの確保に努め、様々な県政課題に適切に対応できる体制を構築してまいります。
 以上です。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項3件について、各社から質問があればお願いします。

記者
 まず、新年度予算の関係で1点お伺いします。命名されました「いわて県民エンパワー予算」、エンパワーという単語が英単語だと力であったり、知能だったり、権力であったりを付与するという意味ですが、知事御自身としては、エンパワーというのは、どういった意味のエンパワーをお使いになっているものでしょうか。

知事
 力を出せるようにするということです。力を出せるようにするというのは、様々困難に直面している方々の支援、コロナ関係、また物価高騰関係で経営が厳しくなっている事業者を支援し、本来持っている力を出せるようにして、持続的な経営をやっていただくというような、そうした困っている人たちが困難を克服するというエンパワーがまずありますし、一方では、大谷翔平君の活躍、小林陵侑君の活躍のように、自分の道を進んで全国で、さらに世界で羽ばたいていきたいという若い人が、その力を発揮できるようにするというようなエンパワーもあります。
 人口減少対策を主軸に据えて、県の政策全体を考えていきますと、どうしても一人ひとりの暮らしであったり、仕事であったり、学びであったり、そこに寄り添っていくような政策になっていくわけでありまして、県民一人ひとりに寄り添って、持てる力を出すことができるようにしていくような、そういう予算をつくったという気持ちです。

記者
 ありがとうございます。ちょっと別の項目になってしまうのですが、組織・職員体制についてもちょっと質問させてください。まず1点目、安心して子どもを生み育てられる環境づくりに関してなのですが、これは企画理事を1人増やすという意図での設置ということなのでしょうか。

知事
 ざっくり言って、「人口問題対策本部」と「いわてで生み育てる支援本部」と「いわてで働こう推進本部」とが連携していく、そういう少子化対策全般を見ていく企画理事を設置するということです。

記者
 ごめんなさい、私の質問が悪かったかもしれません。これは結局、今、県で勤務されている企画理事が1人増えるということになるのか、そうではなくて、今いる企画理事の中で、そういう役割替えをしていくのかという、そういう質問でございました。

知事
 今は、企画理事はいない状態です。

記者
 人口減少対策について、先ほど込めた思いというものは聞かせていただきました。あともう一つ、安全安心な地域づくりのところで、新たな巨大津波の想定に対応した事業を盛り込んでいます。ソフト対策の部分が中心になろうかと思いますけれども、改めて今回事業に盛り込んだ個別避難計画、もう一つは市町村へのソフト対策の事業に込めた思いというか、どういう効果を期待しているのかというところをお聞かせください。

知事
 いわゆる今後起こり得る最大クラスの地震、津波等の大規模災害対策について、避難対策、また自主防災組織の育成、活性化など、犠牲者ゼロを目指す取組に要する経費を補助するということで、市町村の取組を支援し、県と(市町村が)連携しながら、本県最大クラスの津波被害想定を踏まえて、犠牲者ゼロを目指していくということです。また、熱海の災害で盛土対策というのが全国的に緊急の課題になっておりますので、岩手県としても盛土等の災害防止に向けて、基礎調査の実施などに新たに取り組んでいきます。

記者
 犠牲者ゼロへ向けてというところが強調点というところでよろしいでしょうか。

知事
 そうですね。取りまとめた報告書(では)、犠牲者ゼロを目指すということが主題でありますので、県と市町村が連携して、それを目指していきたいと思います。

記者
 今の御質問に関連して、地震津波対策緊急強化事業ということで、今回はソフトを中心にした市町村への支援ということでおっしゃられていたのですけれども、あえて今回はソフトというものに力を入れておりますが、ハード面での支援というのは、今回は入れる考えは特にはなかったのかどうか、ちょっとお聞かせください。

知事
 ハード面への支援については、国のほうでいろいろ施策を講じていますので、県としては、国の支援スキームのないソフト面について県が支援するという基本的な考え方で、予算を編成しました。

記者
 私からは、大きく2点伺いたいです。1点目は、人口減少(対策)の件です。今回、人口減少(対策)を柱とした予算になっていると思います。昨年度も同じように人口減少(対策)を掲げたと思うのですが、より先駆的な取組に乗り出した印象を受けたのですが、これは振り切った理由というのを教えてください。

知事
 第2子、第3子の保育料支援と、そして自宅で育てる場合の支援の、両方を所得制限なしで行うというのを全県規模でやっている県は、まだ日本に、ほかには1つしかないですし、それから子ども医療費無償化で、高校まで現物給付というのは、4つの県しかほかにやっていないということで、この際、県と市町村が連携して、全国最高水準レベルの出産・子育て支援を行うということを、実質的にもかつメッセージ的にも強く発信すべきところであろうという考えであります。国のほうも4月1日からこども家庭庁をスタートさせて、少子化対策を次元の違う形でやるということでありますけれども、日本全体としても少子化が非常に深刻な局面ですし、地方からしますと、コロナ禍で、一時、東京一極集中にブレーキがかかった格好だったのですが、また東京一極集中が回復してきているということもありますので、せっかく地方に目が向いて、地方の暮らしや仕事に関心が高まり、実際、地方に回帰している人の流れもありますので、そこに思い切った政策で応えて、脱東京一極集中を確かなものにしたいという思いもあります。

記者
 分かりました。関連してなのですけれども、先ほど第2子、第3子(保育料支援)のところ、かなり力を入れた部分だというふうにおっしゃっていましたが、前回(令和5年1月13日記者会見の際)、東京都の施策の(18歳以下に)5,000円(給付)の補助のときに、岩手では岩手なりの事情を考慮して、第2子以降の支援を手厚くするというふうにおっしゃっていました。岩手のどんな事情を考慮して、今回、この施策に取り組もうと考えたのか教えてください。

知事
 岩手の合計特殊出生率は、一頃は全国平均よりも高めにずっとあったのですけれども、それが下がってきて、年によっては全国平均以下になる年もあるということで、ここはやはり思い切った政策が必要と判断をしました。
 あとは、子どもの医療費無償化については、東日本大震災津波からの復興の過程で、主に沿岸市町村と岩手県とで苦労しながら取り組んできた実績もあり、県と市町村の間でそうした事業を進めていくということについて、そこに岩手の強みがあるということもあり、令和5年度内に高校まで無償化かつ現物給付を目指したいと思います。

記者
 分かりました。話題替わりまして、財政健全化のほうのお話を伺いたいのですけれども、今回財政健全化(について)、新たな目標を設定されて、目標は達成される見込みでいると思います。一方で、昨年の有識者会議の中で、財(政)調(整基金)の切り崩しは慢性化しているというような指摘もありました。現状の財政の状況を知事はどんなふうにお考えになっているか教えてください。

知事
 当面の財政目標達成、財政健全化の維持というのは、中期財政見通しぐらいの中期的なところでは何とかやりくりできるようにやっているわけでありますけれども、やはりその先を考えていくと、より踏み込んだ政策が必要ということで、希望行財政研究会(持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会)に報告書を作ってもらったわけですが、そこに書いてあった財政目標の4項目を今回は達成していますので、まず年度、年度の財政目標達成ということを着実にやりながら、地域医療の在り方や高校の在り方といった長期的なところにも取り組んでいくというやり方になります。

記者
 関連してなのですけれども、先ほどの有識者会議の部分なのですが、昨年あった提言で今回の予算に大きく生かされているところは、知事はどこにあると考えていますか。

知事
 令和10年度当初予算までに収支均衡予算の実現ということ、それからプライマリーバランスの黒字の維持、公共施設の県民1人当たり負担額を1万2,000円以下にする、財政調整基金の現行水準の維持という、まずこの4つはクリアしたというところです。それから、グリーンボンドの発行やあらゆる歳入確保で財源を確保するということに関し、電気事業会計からの繰入れというのを今回の予算でしっかりやっているというところがあります。

幹事社
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いします。

記者
 2点ほど。門出の季節を間もなく迎えるのですが、卒業式のマスクの着用について、永田町のほうでもいろいろ見解が分かれているということなので、知事の見解というか、所感をお聞かせいただきたいのと、先日、青森県との県境の産廃事件というか、産廃処理について原状回復宣言がなされましたが、それについての知事の所感と、先ほどの組織再編でもその部分が、この組織が改編されるようですが、今後の在り方について、あるいは課題について少しお話しいただければと思います。

知事
 マスクについては、特に卒業式でのマスクについては国会で議論があり、文部科学大臣からの発言もあって、政府内で検討するとされていますので、政府内での検討に基づいて、文部科学省から各都道府県教育委員会のほうに一定の基準が出ると思いますので、それを待ちたいと思います。
 一方、マスクの仕方というのは、これはコロナウイルスが始まったときから、周りに誰もいなければしなくてよいとか、近くに人がいても、短時間でしゃべらないのであればマスクを外していい、記念写真などによくそういうケースがあります。あとは最近のようなワクチンも普及し、重症化が起きにくくなっているような状況の下では、ステージ上での合唱も、これは安全な合唱の仕方を練習した上でということかとは思うのですけれども、リスクが少ない形でマスクをすれば合唱してもいいとか、場面、場面に応じた基本的な感染対策ということがかなりできるようになっていますので、そういうふうにやっていけばいいと思います。そういう意味では、マスクをどうするか、マスクをしていいのか悪いのかというのは、場面、状況によるということになりますので、その状況に応じて、つけたり外したりということなのだと思います。ただ、そう言われても、どうしていいか分からないという人たち、迷う人たちのために、どこでマスクをつけることも自由だという、マスクをつける自由がやはり確保されていることが大事なのだと思います。
 そして、青森・岩手県境不法投棄事案に関しては、原状回復対策協議会が原状回復完了という決定をした旨、私は今月(2月)の14日に齋藤委員長から報告を受けることになっておりますので、その場で関係者の皆様に心からの感謝を申し上げたいと思います。
 平成14年に原状回復に着手して、20年以上の歳月、そして巨額な経費と人手をかけて実現したものでありまして、新しい法律もできましたし、条例もつくられました。そうしたことも含め、事案の伝承、そして跡地の活用ということを、今後検討しながら取り組んでいきたいと思います。

記者
 今のところ、それに関して新しい部署を設けたりというところまでは踏み込んではいらっしゃらないですか。

知事
 組織については、発表資料のとおりで、その組織体制で今後のことについても取り組んでいきます。

記者
 マスクのお話(について)、追加で御質問を1つさせてください。県と釜石(市)の東日本大震災(津波)の合同追悼式も予定されていますけれども、コロナ禍になって、またマスク着用になりましたけれども、その辺りに関してちょっと緩和するとか、そういったお考えはありますでしょうか、式典関係で。

知事
 私もまだ座席とか、そういったことは承知していないところでありまして、座席の設け方とか、いずれもう少し本番が近くなってからのことかと思いますけれども、ただいろんなことが想定されるわけでありまして、会場で知っている人と会って、休憩時間、(式典)前後の時間、長話をするとかいうことを想定すれば、マスクはやっぱり持っていったほうがいいわけでありますし、マスクをかけなくていいような状況をどれくらいつくれるかということについては、まだ決まっていないというところです。

記者
 分かりました。あともう一点ですが、昨日(2月5日)、陸前高田市長選挙が行われ、復興に関して3期12年、達増知事のように一生懸命取り組んできた現職の市長が敗れるということになりました。同じく復興に取り組んできた知事として、どのように感想を持たれたか、その辺りをお願いします。

知事
 次点になった方も一定の得票を得ていますので、過去の取組に一定の評価があるということだと思います。また、当選された方がそれを上回る得票をしたことについては、広田半島(に)、昔からこの地域に尽くし、また、岩手において近代的漁業をスタートさせ、それを広めた、そういう家の出身で、水産関係については非常に詳しい等々、様々な要因で得票されているのだと思いますので、そういった地域事情や個人的要因に加えて復興に関する有権者の考え方などが相まって、そういう結果になったのだと思います。

記者
 分かりました。敗れた戸羽市長は、多選の批判もあったのではないかというようなことも言っていましたけれども、達増知事自身の今年に行われる知事選への今後の方向性について、どのように改めて思っているのかをお聞かせいただければと思います。

知事
 多選問題は、過去もいろんな形で、いろんな場で聞かれてきたのですけれども、1回、2回の当選でも金権腐敗してしまったり、職員との関係が決定的に悪化したり、そうなってしまえば、もうそれは問題なのでありましょうし、逆に4期、5期と務めても、そういった問題が起きない知事さん方は、東北も含め、国内に大勢いらっしゃいますので、要は当選回数の問題というよりも行政の中身の問題なのだと思います。

記者
 改めて御自身の御予定についてはいかがでしょうか、知事選に関して。

知事
 それに関しては、発表することはありません。

記者
 私からは、LGBTQ(エルジービティーキュー)への支援についてお伺いしたいと思います。先日、首相の秘書官が差別的な発言をしたということで、大変大きな波紋を呼んでいますけれども、そういった中で一関市ではパートナーシップ制度を成立してから、1か月で1組がそういう利用をされるということがあったのですけれども、県内でもそういった支援を必要とされる人がいる中で、県としての対応は、今年度内に何らかの方向性を出すということを以前議会等で発言されていましたけれども、現時点でどのようになっているのか、支援の在り方とかに含めてもお伺いします。

知事
 まず、実際的なものとしては、アイーナの男女共同参画センターでLGBTQ+(プラス)の方向けの相談支援ということを定期的にやっておりますので、ぜひ御活用いただきたいと思います。
 それから、議会で、県としてもパートナーシップ制度など県の条例をつくるべきという質問に対し、担当部長のほうから(答弁したとおり)、市町村の制度と県の制度が違ってしまうと混乱するので、基本的には市町村がそれぞれ制度をつくり、ただ市町村の制度で大きなずれがないように、県としてそこの相談を受けたり、またガイドラインをつくったほうがいいのであればガイドラインをつくるというような形で支援していくということになると思います。

記者
 その方向性を出されるという点については、まだ検討中ということなのですね。

知事
 そうですね。そこは、今、担当部局で様々市町村とやり取りをしているところと理解しています。

記者
 盛岡赤十字病院の関係についてお伺いします。先日、盛岡市議会議員の方々が中心となった団体が発足しまして、武田滝沢市長が公約で打ち出した盛岡赤十字病院の移転について反対し、現在地での存続を求めるという活動を開始しました。まず、その活動を受けて、県支部の代表である達増知事として、何か所感があればお聞かせください。

知事
 報道によりますと、岩手県知事のところにもその団体の考え方を伝えに行くというように書いてありましたので、まずは考え方を伺うというところから始まるのかなと思います。

記者
 ありがとうございます。以前も質問していますし、現状の確認にはなるのですが、現時点で盛岡赤十字病院の移転についての検討は何も進んでいないということは、今もお変わりないでしょうか。

知事
 赤十字の事業のうち病院事業については、本部で決定するので、県の支部長の協議や決裁というのはありません。一方、保健福祉部的に岩手の医療の在り方として岩手全体、また医療圏ごとの医療の在り方ということについては、県の医療計画を定める中で専門的な議論をしながら調整するところになります。

記者
 予算に関してだったのですけれども、達増知事御自身、今(の)4期目(の)最後の編成となった当初予算の編成を終えられました。そのことについて、まず端的に所感というのでしょうか、どのようにお感じになっているのか伺わせてください。

知事
 2月議会に提案し、そこで代表質問、一般質問、そして予算特別委員会での質問に答えながら内容を議会に説明し、それを通じて県民の皆さんに中身を説明していくという、そういうプロセスにこれから入っていきますので、まずはしっかり説明していかなければならないなというように思っています。

記者
 ある意味4期目(の)最後の編成というところで、この4年間、まだたっていないのですけれども、4年の一つの総決算というか、そういった感じにもなるのかなとも見方として思うのですけれども、そういったところではいかがでしょうか。

知事
 常にそのとき、そのときやることは、過去の経験や得た知識の積み重ねの上にやっていくことになるわけでありますが、今回の予算案については東日本大震災津波の経験に基づき、また復興の取組も経験にしながら、加えて新型コロナウイルス対策の経験も踏まえて、様々な県民の皆さんと一緒にいろいろな困難を乗り越え、国体、障害者スポーツ大会、ラグビーワールドカップなどを成功させながらやってきたという、そういう経験に基づいて、私としてはそういう経験に基づいてつくったものですし、県民の皆さんからしても、今回の予算案には広く県民の皆さんの声も反映されていまして、様々な団体を通じて寄せられた意見もありますし、次の4か年中期計画、第2期アクションプランへの意見というものも反映されていますので、いろいろ苦労を重ねながらも、危機を希望に変えてきた岩手県民みんなでつくった予算案というところもありますので、これはかなりいい予算案ができているなと感じています。

記者
 分かりました。それで、選挙の観点の話になるのですけれども、他の自治体のほうでは、新年度予算の編成を節目に、例えば知事選への出馬を固めるだとか、自身の県政の、ある程度一つの節目でもあるので、その進退について心のうちを述べるような、そういった節目でもあるところもあります。それで、先ほどの質問のほうで、まだ知事選については現時点で発表することはないというふうなことをお話しになりましたけれども、改めてそういった節目を迎えられての現在の心境というのでしょうか、心持ちについて伺えればと思います。

知事
 そういうことについても発表することはありません。

記者
 先ほどの質問で、LGBTQの件がありましたが、発言自体といいますか、差別的発言自体と(首相秘書官を)更迭されたことに関する知事の所感を教えてください。

知事
 岸田首相の、同性婚については、それを認めると社会が変わってしまうからよくないというような発言の説明をするに当たって、当該秘書官がおよそあってはならないような差別発言をしたということでありますので、秘書官が辞職の形でひとつ責任を取るというのは、それはそれでいいと思いますけれども、そもそも同性婚を認めると社会が変わるからよくないというのが、見たくもないものが目に入るみたいな意味ではないとしたら、ではどういうふうに社会が変わるからよくないと思っているのかということを、これは総理でもいいのですけれども、内閣として説明する必要があると思うのです。
 そして、もし、そこで合理的な説明ができないのだとしたら、ちょうどG7サミットを日本でやる、広島県でやるいい機会ですから、同性婚とか、また夫婦別姓とか、今までそういう社会が変わるとか、日本の伝統に反するとか明確な理由なく、抽象的な理由で止めてきたものを一気に前に進める機会にすればいいのではないかと思います。
 そうしないのであれば、ではなぜしないのかというのをより具体的に説明しないと、今回は、それは辞めた秘書官と同じようなことを考えていたからというように思われてしまいますので、そこをきちんとさせてほしいと思います。

記者
 先ほど来(らい)、進退についての質問が出されておりますけれども、先月でいきますと青森(県)の三村知事が御勇退を決められましたけれども、達増知事御自身のお考えをお伺いしたいのですけれども、選挙に出馬して選ばれないという以外に、御自身でこのように勇退を決められるという場合もあると思います。言わば引き際の美学といいますか、そういったところ。例えば被災地の知事として、御自身のということでなくて、被災地の知事として、引退の美学というか、去り際の美学というのはどのような考えを持つべきかというところ、達増知事自身のお考えをお聞かせいただければなというふうに思います。

知事
 なかなか文学的表現の質問で、そういう文学的なことは、「ああ、そういう考え方もあるんだな。」という印象を、今、受けましたけれども、いずれ進退については発表することはありません。

広聴広報課
 以上をもちまして、記者会見を終わります。

次回記者会見

次の定例記者会見は2月15日(水曜日)の予定です。

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 広聴広報課 報道担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5285 ファクス番号:019-651-4865
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