くらしと税金 中学生の税についての作文

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ページ番号1011233  更新日 令和5年7月7日

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中学生の税についての作文


令和4年度 日本税理士会連合会会長賞 受賞作品

過去と現在、未来をつなぐ税  宮古市立川井中学校2年  黒澤蓮さん

 毎年八月十五日。私は大きな供養塔の前で踊る。独特の太鼓の拍子に笛と鉦。跳びはねると鳴る鈴の音、五色のしごき帯が軽やかに、そして華やかに翻る。

 「田代念佛剣舞」。祈祷と先祖の供養を兼ね、五穀豊穣、家内安全などを願う舞。私が住んでいる地区に、約二一〇年、江戸時代から伝えられてきた郷土芸能だ。回向(供養)を目的とする儀礼的な「御墓踊」は、剣舞の創始者の墓所、初盆を迎えた家の墓前で、戦時中でも欠かさず踊られてきた。また、円陣となって踊る「舞台踊」(剣舞)は、地区の集会所や、数多くの芸能祭で披露されてきた。

 父に連れられていった稽古場で、この剣舞と出会い、物心ついた時には、もう踊っていた私。初舞台は三歳の時。単純に踊ることが楽しかったし、父の喜ぶ顔を見るのも好きだった。踊ることが好きだという父の血が私にも流れていると実感できる喜びが、私の一番の原動力だったように思うが、十四歳になった今でも、私は踊ることが楽しくて仕方がない。太鼓の音が聞こえてくると、胸が高鳴る。上手に踊れた時の高揚感・達成感は格別だ。

 しかし、それだけではないもっと大きく強い思いが、今、私の心の中にある。

 現在、多くの民族芸能が過疎化や少子高齢化のために、存続の危機に直面している。私の住む地域も例外ではなく、剣舞保存会の会員は年々減少し、踊り手の不足が課題となっている。先祖の方々が代々大切に受け継いできたものを守りたい…、絶対に途絶えさせてはいけない…、その責任が私にはある…。

 最近、文化財の保護にも税金が使われていることを知った。生活や風土とのかかわりの中で先人たちが生み出し、現在まで守り伝えてきた有形・無形の文化財を、国民の財産ととらえ、確実に次世代に継承していくために、調査研究や記録作成、修復保全などに努めるほか、発表の機会の提供などにも税金は使われている。私たちが年に何度か出演する発表会や郷土芸能祭も、県主催のものだったり、県の助成を受けていたりで…、自分たちの活動が税金とつながっていることがわかると、税金というものを身近に感じるようになった。そして、とてもありがたいことだと思った。

 二年前、「田代念佛剣舞」は「岩手県指定無形民俗文化財」になった。指定されたからといって、私たちの踊りが変わったわけではない。昔からの踊りを大切に守り続けていくだけだ。しかし、気持ちの面では大きく変わった。私たちが守っているのは「県の文化財」であり、私たちの活動を納税者である岩手県民が応援してくれているのだと思うと、うれしくなるし、身の引き締まる思いにもなる。

 私は今年も、先祖への敬慕、未来への責任、応援してくれる人への感謝の気持ちを胸に、心を込めて踊る。私の誇りである「田代念佛剣舞」が、納税者をも励ます舞になるといいと思う。

令和4年度 全国納税貯蓄組合連合会優秀賞 受賞作品

私たちの命を救う税金  一関市立厳美中学校1年  三浦朱莉さん

 私の兄は、防衛省に勤めています。「防衛省」と聞いて最初に浮かんだのは北朝鮮の弾道ミサイルや領土問題など国際的な防衛です。日本を守る重要な仕事であることは想像できますが、私の知らないはるか遠くで起きている出来事としか思えませんでした。それが兄の仕事がきっかけで防衛省について調べてみると、国際的な防衛だけではなく災害派遣や新型コロナウイルスへの対応など、私たちの身近な場面にも関わっていることがわかりました。

 私が生まれる一年前に岩手宮城内陸地震が発生したと聞いています。私の暮らす一関市では震度五強の揺れで家が船のように揺れたそうです。震源地に近い山では大規模な土砂崩れにより尊い命が奪われ、私の家から車で二十分ほどの場所にある祭畤大橋は地滑りにより崩れ落ちました。道路が寸断され、孤立した地域の人達を自衛隊がヘリで救助してくれたそうです。

 その三年後、東日本大震災が発生しました。内陸の一関市も震度六弱を観測し倒壊した建物もあったそうですが、一歳だった私には当時の記憶はありません。しかし私達は、小学生の頃から震災学習を通してあの時何があったのかを学んできました。当時のまま残された、十二メートルの津波に襲われた教室を見た時の衝撃。被災された方から聞いた、想像を絶する体験談。前の人を追いかけるのがやっとだった大津波避難訓練。そして写真や映像で見た自衛隊の救助活動。

 震災後、沿岸被災地に続く市内の道路は全国各地から駆けつけてくれた数えきれないほどの自衛隊車両で列を作っていたといいます。当時の自衛隊の派遣規模は十万人体制にもなり創設以来最大の行動となったそうです。防衛省に属する自衛隊は人命救助、遺体の収容、がれき撤去、航空機による情報収集、物資や医療チーム・患者の輸送、給水・給食・入浴・医療支援、燃料提供、ヘリコプター映像伝送など、あらゆる支援をしてくれたそうです。

 先日、豪雨災害で被災地に自衛隊が派遣されたニュースを見ました。防衛省は大災害時になくてはならない存在であることを改めて感じました。そんな防衛省を支えているのがまさに「税金」です。今年の防衛関係費は過去最高の総額五兆一七八八億円の予算を確保したそうです。防衛関係費は、戦闘機などの購入に使われると思っていましたが、最も多いのが人件費と糧食費で四十二%、燃料や装備修理に二十四%、新しい装備器の購入費はわずか十五%であることが分かりました。

 災害時の救助や支援は税金によってまかなわれ、これまでに多くの命が救われています。

 私達の地域は多くの支援を受け、復興してきました。将来私も誰かの力になるために、納税義務を果たしたいと思います。

令和4年度 岩手県知事賞

未来を紡ぐ税 洋野町立中野中学校3年 粒來佳夏さん

 私には、一つ下の弟がいます。昨年のある日のことです。弟は自転車での転倒により、上腕部を何針も縫うほどの大きな傷を負いました。しかし、命に別状はなく、今も元気でいられるのは、あの時助けていただいた救急救命士の方のおかげです。とても感謝しています。ですが、学校で税について学ぶうちに、あの救急車は税金でまかなわれていると知りました。それに気づいた時、医療関係の方々はもちろんですが、それと同じくらい、税の制度や税を支払っている全ての人に助けていただいたように感じ、感謝と敬意を覚えたのでした。

 でも、もし税金がなかったらどうでししょうか。前述で例に挙げた救急車は、一回につき四万円以上の費用がかかるそうです。命を優先せざる得ないため利用しますが、やはり利用者にとっては大きな負担となってしまします。その他にも、橋や道路は修理費用がなくて壊れたままだったり、議員の給料が支払えずに議会が閉会してしまったりすると考えられます。こうしてみると、身の回りのあらゆる物・建物が税金に大きく関わっているのだと実感します。特に、学生である私達にとって学校や教科書などの税金で建設・支給されるそれらはどれほどありがたいのか、改めて思い知らされます。

 現在、健康で豊かな暮らしができるよう、税金による社会資本サービス・公共サービスの提供の需要が高まっていますが、少子高齢化が進む超高齢・人口減少社会を迎えています。それによりサービスを受ける人口は増える一方ですが、税収は減っていく傾向となり大きな課題として私達の目の前に立ちはだかっています。ですが私は、自らの経験から、増税してでもサービスを今の水準のまま保つのべきだと思います。そのためには、多くの国民、特にこれから将来を担う若い世代の人々の理解と支持が必要不可欠です。そこで、中・高生を対象とした講義を行うべきだと思います。実際、私も公民の授業と租税教室を通して税の必要性や重要性を学びました。授業だけでなく、実際に話を聞くことで税に興味・関心を持てました。これが「税の三原則」に基づいた公平な社会づくりに貢献されるはずだと考えられます。

 十パーセントに引き上げられた消費税。不満の声が聞こえるのも事実です。しかし、それ以上に税金には社会を豊かにする力があります。それにより、多くの人々が助けられるという力も秘めています。例えば、買い物をした時。外食をした時。その際に払った税金が、いつか誰かの命を救うかもしれません。逆に自分が助けられることだってあるでしょう。このように、循環し、巡りながら役に立つ税金。この中に無駄な税金は一切存在しません。次は社会の一員になる私の番です。税という糸で人を繋ぎそれが織り重なって支え合いの社会を築ける人になりたいです。

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