「いわてこども発達支援サポートブック」の紹介
「いわてこども発達支援サポートブック」とは
「いわてこども発達支援サポートブック」は、発達障がい児支援施策の一環として、3歳児から5歳児を中心とした幼児期における発達が気になる子どもをはじめ、支援が必要となる子どもたちの成長を後押しするため、平成23年度に県内の児童精神科医、保健師、幼稚園教員、保育士、療育支援員、発達障がい者支援センター、家族の会、臨床心理士、学校教員を中心とした関係者の御協力をいただき、作成した冊子です。
この冊子の特徴は、発達障がいであってもなくても、子どもたちの困っていることに気づき、その原因を理解して、子どもの困りを軽減していき、自立を促す子育てや支援の視点を実際の事例などをもとに解説していることです。
子育ての参考としてご覧ください。
「いわてこども発達支援サポートブック」家族篇
1 はじめに
子育てしているなかで、子どもの様子に不安になったり、子育てが難しいと感じたりしたことはありませんか?
お母さん(お父さん)にとって困った子に見えても、実は「困っているのは子ども」なのです。このような子どもの様子は、子どもにとっては“生活のしにくさ”、“理解のしにくさ”のサインであり、“お母さん(お父さん)、分かって”、“困っているよ”という気持ちの表れかもしれません。
今は困っているように見えなくても、成長するにしたがって生活や学習の「困り感」につながっていくことがあります。
子育てがうまくいかない背景に、親が良かれと思ってやっていることが子どもに合っていないということがあるかもしれません。
子どものことをどんなふうにして分かってあげたらよいのか、どんなふうにかかわったらよいのか、一緒に考えてみましょう。
2 「気になる様子」には“わけ”がある
子どもなりの“わけ”を探ると、子どもへのかかわりかたが分かってきます
親から見た子どもの「気になる様子」の背景には、子どもなりの“わけ”があります。親を困らせようとしているのではなく、親の子育てからそうなったものでもありません。しかしそのままにしておくと、親はもちろん、子どもも成長するにしたがって困り感が増大してしまうことがあります。
子どもなりの“わけ”を探り、どのようにかかわったらよいか考え、工夫することが子どもの育ちを支えることにつながります。
ほめて育てると、子どもの自信につながります
子どもは、ほめられると自分を大切にしようと思う気持ちや親を信頼する気持ちが高まります。反対に、「あなたはダメな子ね!」と言われ続けると「自分はダメな子なんだ」と思い始め、自信を失い、親との信頼関係が悪くなります。
いろいろなことがスムーズにできないなど、大人の期待する行動が取れない子どもは“問題点”に注目されがちです。子どもの好ましい行動を見つけ、少しでも達成できた喜びをわかち合う気持ちが大切です。
ひとりで悩まないで、園や相談機関に相談しましょう
子育てが不安でいっぱいになったり、子どもの育てにくさが解消しないときは、悩みを抱えずに身近な相談先に相談してみることが解決につながります。ひとりで抱えると「自分の育て方が悪いのではないかな…」と育児に自信が持てなくなることがあります。さらに、周りの子どもの様子やお母さんたちの視線が気になったり、「一生懸命頑張っているのに誰も認めてくれない」と家族の理解・協力が得られないことに不満を持ったりすることがあります。
こうしたことが毎日続けば、親子ともどもストレスを抱えるばかりで、何も解決しないままになります。そんな時、お母さんのつぶやき、心配、悩みを聞いてくれる相談先があると、とても心強いです。
身近な相談先は、子どもが保育園・幼稚園・認定こども園等の施設(以下「園」といいます。)や学校に通っているときは、園や学校の先生になります。先生に心配なことや気になっていることを伝えたり、先生から集団の中で育っていく様子を聞いたりしながら、子どもの育ちを両者で支えていきたいものです。先生から、園での取り組みの工夫や子育てのアドバイスを得ることができます。
その際、市町村母子保健担当課(保健センター)などの専門的な相談機関への相談をすすめられることもあります。
また、地域の身近な子育て親子の交流の場である「子育て支援センター」の活用や、同じような悩みを抱えた家族どうしの相談を通じて、専門的な相談機関の情報や様々な子育てのアドバイスを得ることもできます。
【コラム】子どものいいところ探しをしよう
親は子どもの育てにくさに注目しがちですが、子どもは必ずよいところがあります。こうしたよいところを見つけていき、伸ばしていくことも大切です。親にとって「気になる」行動でも、それが才能を伸ばすきっかけになることがあります。
世界にも、子どものときには気になる子どもでしたが、大人になって才能を伸ばして活躍した方も多くいます。子どもにはよいところがあること、それが子どもの成長を後押しすることにも目を向けてみましょう。
3 子どもの気持ちによりそって!
子どものサインに気がつき、子どもなりの“わけ”が分かると、子育ての工夫がしやすくなります。
日頃の子育ての中から、子どもなりの“わけ”を探り、子どもの気持ちによりそった子育てを進めていくために、いろいろな特徴を持つ子どもの事例から子育てのヒントを考えてみましょう。
- 特定のものに興味が強いA君
子どもの安心感を尊重しながら、ゆっくりと関心をひろげよう - いつもと違うことに戸惑うBさん
予定の変更は事前に伝えよう - 活動の切り替わりが苦手なC君
活動を分かりやすく伝えよう - 生活の習慣づけが苦手なDさん
声かけで習慣づけしよう - 落ち着いていることができないE君
落ち着ける環境にし、少しずつ成功体験を増やそう - 好きなものの前ではルールを忘れてしまうFさん
根気よくルールを身に付けさせよう
4 家族でともに子育てしていくために
子どもがすこやかに育っていくためには、家族やきょうだいとのかかわりは大切です。例えば、母親が子どもの「気になる」ことや「育てにくさ」を感じていても、周りの家族が「それはどこの子どもでもあること」と気にとめなかったり、「お前の育て方が悪い」と育て方のせいにして子どもを理解してくれないと、母親は家族(周囲)の理解や協力が得られないことに落胆します。子どもも様々な評価の中で、戸惑いの多い生活を送ることになります。
「気になる」、「育てにくさ」がある子どもだからこそ、何より「子どもの生活のしにくさを軽減していく」ために家族の理解と協力が不可欠なのです。
では、どのようにしたら家族の理解を得ることができるでしょうか。
家族の共感と理解
始めに大切なことは、周りの家族に悩みや気持ちを聞いてもらい、受け止めてもらうことです。
まず、パートナー(夫婦)の間で子どもの「気になる」ことや「育てにくさ」に気づいていない場合(例:夫が「俺と同じ性格なんだよ」と言う)や、子育てのせいにして子どもの問題をかたくなに否定(例:夫が「お前の育て方が悪い」と言う)するときは、相談先や専門機関との相談に一緒に参加する機会を設け、共通理解が持てるように工夫します。
パートナーどうしが相互に思いやり、共感しながら、子どもの環境を整えていくようにしましょう。
また、祖父母や親せきへは、パートナーと一緒に、相談先や専門機関からの意見を織りまぜながら説明し、理解が得られるようにしたり、理解してくれる方の協力を得て動くのもよいでしょう。なかなか理解が得られなくて困ったときは、相談先や専門機関の助けを得ながら進めていきましょう。
いっしょに育つきょうだいたち
大人はどうしても手がかかる子どもの方に目が向きがちです。そのために、きょうだいが寂しさを感じて落ち込んだり、葛藤を持ったりすることがあります。
きょうだいにも意識して接したり、目配りをしながら、愛情を伝えられるように接することできょうだいたちも安心感が持てるようになります。
また、きょうだいにも、その子の困り感やかかわり方、また、得意なことを話すことにより、子どもを支える家族の一員になってもらいましょう。
5 「気づき」「工夫」の子育て体験記
子どもの気になる様子から、身近な相談先や専門機関に相談をして、子どもを育ててきた経験のあるお母さんに、子育て体験と子育てのコツなどを伺ってみました。2人のお母さんは、それぞれ違ったタイプの子どもを育てています。
どちらのお母さんも、子どもの悩みを早く解決するために身近な相談先から様々な子育てのアドバイスを受けて、安心して子育てができているようです。そして、同じ思いや悩みを抱える方とのつながりがあることで、悩みを打ち明けることや子育ての情報を得ることができ、お母さんの大きな助けとなっています。
6 相談機関とのかかわりについて
園や学校の先生などの身近な相談先との相談の結果、子どもの様子を詳しく見てもらったり、専門的な子育てのアドバイスを受けたりするため、様々な相談機関を紹介されることがあります。
こうした相談機関は、子どもが将来すこやかに育っていくために、専門的な立場から親に子どもの様子や、子どもに合った子育てのアドバイスをしてくれます。例えば、身近なところで子どもの成長過程をよく知っている相談先としては、市町村母子保健担当課(保健センター)があります。
相談機関へは、あらかじめ相談に応じてくれる内容を分かったうえで相談するほうが効果的です。
なお、一度に複数の相談先を利用するのではなく、園や学校の先生などの身近な相談先との関係を保ちながら、子どもの状態や相談結果に応じてふさわしい相談先を検討することがよいと思います。
【コラム】子育てストレスとの上手な付き合い方
子育ては、大人の思いどおりにならないことがしばしばで、ストレスを抱えてしまいがちです。
ただ、ストレスを溜め込んでしまうと、抑うつ傾向になったり、必要以上に怒りを覚えたりし、親自身が通常の生活に支障をきたします。
子育て意欲も失われます。
ストレスとうまく付き合い、心身の変調を予防することが大切になります。
子育てしながら、ときには一呼吸できるといいですね。
ストレス
- 子どもが言うことを聞かない
- とにかく子育てで疲れる
- 子育てで夫婦の間で意見が合わない
- 理想と現実とのギャップ
- 親としての責任感がのしかかる
こころの変化
抑うつ、不安、イライラ、無力感、睡眠障がい、パニック
からだの変化
体の不調(だるさ、肩こり、不快感、疲労感)
いろいろなストレス解消法
- 気軽に相談する
- 友達とお茶会する
- 深呼吸する
- 散歩をする
このほか「ストレッチをする」、「映画を見る」、「運動をする」など…
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このページに関するお問い合わせ
保健福祉部 子ども子育て支援室 子ども家庭担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
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