「復興五輪」いわて感謝祭

ページ番号1047398  更新日 令和6年3月13日

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写真:開会式

 岩手から「復興五輪」を発信したレガシーの継承、東京2020大会で高まったスポーツへの興味関心の拡大、そして、コロナ禍においても目標に向かって頑張る全てのアスリートを応援するため、令和4年2月、「復興五輪」いわて感謝祭が開催されました。

 県内在住の聖火ランナーの皆様と、オリンピック聖火リレーやパラリンピック聖火フェスティバルの様子を振り返るとともに、大会で活躍したオリンピアン・パラリンピアンの皆様をゲストにお招きし、目標を実現するための原動力、夢を追うことの大切さを、トークショー形式でお話いただきました。

「復興五輪」いわて感謝祭 開催概要

 開催日   令和4年2月11日(金曜・祝日) 13時00分~15時15分

 会場   ホテルメトロポリタン盛岡NEW WING (盛岡市盛岡駅前北通2-27)

 実施内容  ・ 聖火リレー・聖火フェスティバル参加者、オリンピアン・パラリンピアンによるトークショー

       ・ 聖火リレートーチ等の展示

第1部 「ありがとう」をつなげていこう!

写真:いわて感謝祭1

出演者: 高橋 美月 さん (オリンピック開会式 聖火ランナー)

     熊谷 侑希 さん (オリンピック聖火リレー 聖火ランナー)

     佐々木 政弘 さん (パラリンピック聖火フェスティバル 出立者)

     村田 奈々 さん (パラリンピック聖火リレー 聖火ランナー)

M  C: アンダーエイジ

第1部
高橋 美月さん

MC:高橋さんは、全国中学校体育大会の陸上女子走り高跳びで優勝した注目選手です。東京オリンピックでは、東日本大震災被災地の子どもを代表して開会式に参加し、聖火リレー最終走者である女子テニスの大坂なおみ選手に聖火をつなぎました。聖火ランナーに選ばれた時の気持ちは?

高橋さん:大会組織委員会の橋本聖子会長から直接お話をいただいたんですけど、憧れの大舞台に出演できるということで、すごくワクワクしていました。開会式では、出演者の1人ひとりがとても楽しんでいて、オリンピックの開会式を通じて1つになれた感じがしました。

MC:高橋さんは今後、岩手、そして日本を背負って立つ陸上選手になるかもしれません。選手としての目標は?

高橋さん:新年度から高校生になるので、競技レベルが上がる中で、まずは1年生でしっかり土台を作って、インターハイで活躍できる選手になりたいです。

第1部
熊谷 侑希さん

MC:続いては、岩手県内でのオリンピック聖火リレーに参加した熊谷さんです。大船渡市を走行した聖火ランナーということで、まさに、聖火を持って被災地を走った方です。走っている時、どんな景色が見えましたか?

熊谷さん:震災前のことも思い出しましたし、震災で瓦礫だらけになった時のことも思い出して、でも、(復興が進んで)すごく新しくて良い街ができたなって。そこに、たくさんの人が集まってくれて、すごく嬉しかったです。

MC:熊谷さんは、2016年の希望郷いわて国体に女子7人制ラグビーの選手として参加し、まさにスポーツを通じて被災地の復興を応援している方でもありますが、復興五輪を経て、次の目標などはありますか?

熊谷さん:私自身は選手としては引退しているので、次の世代の選手を支える立場になりたいなと思っています。指導者というよりは、怪我をしにくいトレーニングとか、体づくりの面で支援していきたいです。

第1部
佐々木 政弘さん

MC:次に、パラリンピックのお話に移ります。岩手県では、県内33市町村が作り出した火を集めて、パラリンピック聖火として東京に届けました。佐々木さんは、岩手の代表として聖火を東京に送り届けた方です。また、シッティングバレーボールの元日本代表として、パラリンピック大会に出場した経験もお持ちです。今回の東京パラリンピック、佐々木さんの感想はいかがですか?

佐々木さん:コロナの影響があったのでどうなるのかなと思いましたが、メダルも前回のリオパラリンピックを超える51個を獲得したりと、すごく盛り上がったと思います。自国開催というのもあると思いますが、(選手たちが)コロナに負けない練習を積み重ねた成果なのかなと。

MC:岩手のパラリンピック聖火を開催都市に送り届けるという大役を担って、どう感じましたか?

佐々木さん:選手としてパラリンピックに出場した時は自分自身の練習が中心でしたが、今回は33市町村の思いが込められた火を届けるということで、非常に緊張しました。

第1部
村田 奈々さん

MC:続いて、村田さんです。佐々木さんが送り届けた火は、各都道府県の聖火と1つになり、世界で唯一のパラリンピック聖火になりました。村田さんは、東京で開催されたパラリンピック聖火リレーに、岩手県代表ランナーとして参加した方です。聖火リレーに参加してみて、いかがでしたか?

村田さん:自分が住んでいる釜石からの思いとか、岩手、全国の思いが詰まった聖火を(パラリンピック開会式に)つなぐということで、とにかく、火が消えないように必死でした。

MC:パラ水泳の選手としても活躍している村田さんですが、今回の東京パラリンピックを見た感想はいかがですか?

村田さん:国内の大会で一緒に泳いだことのある選手、知り合いの選手が、(パラリンピックという)大きな大会で活躍しているのを見て、自分も負けてられないという気持ちになりました。自分の練習の合間にテレビで競技を見て、自分を奮い立たせながら練習に取り組んでいました。

第2部 「未来」をつなげていこう!

写真:いわて感謝祭2

出演者: 谷  真海  選手 (東京パラリンピック日本選手団旗手/トライアスロン日本代表)

M  C: ふじぽん

 

MC:谷選手は宮城県気仙沼市の出身で、東京パラリンピックでは日本選手団の旗手を務め、トライアスロンの選手として出場しました。また、東京2020大会の招致活動にも関わっていて、IOC(国際オリンピック委員会)総会では招致のプレゼンテーションを行いました。当時、どんな思いで招致に取り組んだのでしょうか?

谷選手:パラリンピックに関しては、バリアフリーの面でも、スポーツのレベルの面でも、日本は環境が遅れていると感じていました。招致の前年の2012年に開催されたロンドンパラリンピックは、史上最高のパラリンピックと言われるほどの大成功を収めていて、パラリンピックの歴史を変えたと思っています。パラリンピックが成功するという事は、その後の社会に及ぼす影響が物凄く大きくて、障がいに対する見方が変わったり、障がいがある人の雇用率が上がったり、貧困層が住む場所が選手村として開発されて素晴らしい街になったりと、プラスになる部分が大きいんです。日本でも、パラリンピックを開催することで社会が変わるという期待を持っていました。

 東京2020大会が、ゴールではなく大きな流れの中の通過点として、社会が変わるきっかけになれば良いと願っていて、実際、(招致決定からの)この8年で、人も街も変わってきたと感じています。すべての人の目線に立った街づくりが進んで、過ごしやすくなった部分はあると思います。

第2部
谷 真海  選手

MC:被災地出身の谷選手にとって、「復興五輪」という言葉は特別な意味を持っていたと思います。

谷選手:実際、招致の段階では「復興五輪」という言葉は無かったんですけど、私としては、復興の過程の中で、スポーツの力で子どもたちを笑顔にしていきたいという思いがありました。「復興五輪」と言われるようになってからは、より多くの人が大会に関わって感動を共有できればと思っていて、第1部のトークショーで被災地の聖火リレーの様子なども聞きましたが、こういう面でも繋がりがあったんだなと再認識して、嬉しく思いました。

 自分が夢にチャレンジする姿を見せることで、子どもたちに勇気を与えられたらと思っていました。自分自身、震災があって、次の大会(2012年ロンドンパラ)をどうするか悩んで立ち止まってしまった時、困難な状況でも前を向こうとする子どもたちに励まされました。そういう子どもたちに感謝の気持ちを伝えると同時に、一緒に夢を追いかけたいという思いが常にありました。

第3部 「夢」をつなげていこう!

写真:いわて感謝祭3

出演者: 宇津木 麗華  監督 (女子ソフトボール日本代表監督)

     上野 由岐子  選手 (女子ソフトボール日本代表)

     谷   真海  選手 (パラトライアスロン日本代表)

M  C: アンダーエイジ

第3部
宇津木 麗華 監督

MC:宇津木監督は、元々は中国代表のソフトボール選手として活躍していました。日本代表の監督に就任された時は、やはり選手の時とは違うプレッシャーがあったんでしょうか?

宇津木監督:怖かったです。監督就任の打診が来た時、東京大会で金メダルを「取れなかった」場面が簡単に想像できて、もしそうなったら自分はソフトボールを続けられるのか、今の生活を続けることができるのか、不安で怖くなったというのが、正直な気持ちです。

 監督って責任あるポジションで、選手だったら自分が打てなくても他の誰かの活躍で勝てたりしますが、監督はチームのトップとして、すべて自分で戦術を練ったり、それをどのように選手に伝えるのかを考えないといけなくて、1日が24時間では足りないと感じていました。勝負事は嫌いではないですが、オリンピックという特別な舞台、しかも東京開催ということで、重大な責任を感じていて、弱気だったわけではないですけど、負けた時のことを考えてしまう自分がいました。

第3部
上野 由岐子 選手

MC:女子ソフトボールの絶対的エースの上野選手ですが、気持ち(メンタル)の部分はどうやって鍛えたんですか?

上野選手:練習を積み重ねて、「これだけやってきたんだから大丈夫」と自己暗示をかけるしかないですね。練習の目的は、技術向上や肉体強化よりも、メンタルの強化です。

MC:チームがひとつになるために、大切なことは何ですか?

上野選手:大事なのは、コミュニケーションと、1人ひとりに対する思いやりです。自分の感情が先走ってしまうと、チームがバラバラになってしまう。隣にいるチームメイトにどれだけ優しくできるか、それができて初めてチームが輪になっていくイメージです。

第3部
谷 真海  選手

MC:谷選手は個人種目のアスリートですが、プレッシャーとはどのように向き合ってきましたか?

谷選手:競技中は1人の戦いですが、そこに至るまでの過程で、コーチやトレーナー、義足を作ってくれる技師さんなど沢山の人の支えがあります。ですから、1人ではなく、みんなで走っているという気持ちが強いです。

 

MC:宇津木監督と谷選手に伺います。お2人にとって、夢を実現させたエンジン、夢を実現させるために大切なこととは何ですか?

第3部
宇津木 麗華 監督

宇津木監督:「人」ですね。私が今回、東京五輪の監督になったのも、沢山の人が推してくれたから、そして励ましてくれたからで、そうやって今回の金メダルがあります。今後も、感謝の気持ちを大切にして人と付き合っていきたいと思います。

第3部
谷 真海  選手

谷選手:私は「限界の蓋を外す力」をエンジンにしてきました。「自分は頑張ってもこの辺りまでしかできないな」という思いを捨てて、限界の蓋を外すということを続けてきて、私自身はすごく素晴らしい世界を見ることができました。未来を担う子どもたちにも、自分自身を信じて、限界の蓋を外して、大きな夢にチャレンジしていってほしいと思います。

第4部 「スポーツのチカラ」をつなげていこう!

写真:いわて感謝祭4

出演者: 上野 由岐子  選手 (女子ソフトボール 金メダリスト)

     水谷   隼  さん (卓球混合ダブルス 金メダリスト)

     ウルフ アロン  選手 (柔道男子100kg級 金メダリスト)

M  C: アンダーエイジ、ふじぽん

 

MC:東京オリンピックで金メダルを獲得した皆さんですが、オリンピックを本気で目指し始めたのはいつですか?

第4部
上野 由岐子 選手

上野選手:小学生からソフトボールを始めたんですが、私が中学生の時に、ソフトボールが初めてオリンピックの種目になって、「ソフトボールを頑張ったらオリンピック選手になれるのかな」というのがきっかけでした。

第4部
水谷 隼 さん

水谷さん:2004年アテネ大会で男子体操団体が金メダルを取った時の、「栄光への架け橋だ!」の実況で有名なあのシーンを見て、オリンピックに出たいと思うようになりました。体操選手になろうと思ったわけではないですが、あのシーンを見たら、アスリートだったら誰でもオリンピックで優勝したいと思うようになりますよ。

第4部
ウルフ アロン 選手

ウルフ選手:僕の場合は、明確にいつから(目指していた)というのはあんまり無かったです。小学生の時はそこまで強くなかったですし、中学の終わりくらいから少しずつ結果を残せるようになってきて、高校でインターハイで優勝して、大学や海外の試合でも勝って、というように、1つひとつ積み重ねていって、オリンピックに辿り着きました。

 

MC:皆さんにとって、夢を実現させたエンジン、夢を実現させるために大切なこととは何ですか?

第4部
上野 由岐子 選手

上野選手:「あきらめない心」です。挫折とか、諦めたくなることが沢山ある中で、どれだけ自分が本気でその夢を追っているかが、諦めたくない、諦められないという思いに繋がって、今までやってこれました。

第4部
水谷 隼 さん

水谷さん:「しゅうねん(執念)と、どんよく(貪欲)」です。勝利への執念、貪欲さ、これが一番大事だと思います。人の上に立つ人というのは、心持ちが違うんだと思います。僕は、とにかく誰よりも強くなりたいと思っていましたし、人の上に立ちたいと思っていました。その貪欲さ、執念のおかげで今の自分があると思っています。

 アスリートは会社と違って、1人しかチャンピオンになれません。一番になるというのはすごく難しいことなので、人と違うことをどんどんしていかないといけない。今の子どもたちには、貪欲に頑張ってほしいなと思います。

第4部
ウルフ アロン 選手

ウルフ選手:「夢は大きく 目標は身近に」という言葉です。夢を大きく持つことは大事なんですけど、その夢ばかりを考えていると、その手前で足元をすくわれて、夢に辿り着くことができない。まずは身近に目標を設定して、それを1つひとつクリアしていくと、最終的には大きな夢も身近な目標に変わってくるので、皆さんにも、目先の目標を1つずつクリアしていって、大きな夢を叶えてもらいたいと思います。

来場者からの質問コーナー

来場者:高校でソフトボールの投手をやっているんですけど、メンタルが弱いと感じています。対処法を教えてほしいです。

上野選手:プレッシャーをどれだけ楽しめるかです。私は、「プレッシャーがかかればかかるほど、良いパフォーマンスができる」と自分に言い聞かせながら、試合に臨んでいます。勝ちたい、打たれたくないという感情が強いほど、力んでパフォーマンスが下がってしまうので、逆に、プレッシャーを感じている時に、「これで良いボールが投げられる!」というように、自己暗示というか、メンタルコントロールをして投げています。

 

来場者:中学で柔道をやっているんですが、今、コロナで試合や練習ができなくて、気持ちが切れてしまう時があります。そういう時、どうやって気持ちを繋いで練習していますか?

ウルフ選手:僕自身、オリンピック前の時期にコロナで練習できない時があったんですけど、一番大事なのは目標を明確に持つことです。目標や大きな夢がないと「何で自分は柔道をやっているんだろう?」と気持ちが切れてしまう。自分を見つめ直して、練習ができない時でも、また柔道ができるようになる日に備えて、自宅でやれるトレーニングとか、できることを精一杯やることが大切です。

聖火リレートーチ等の展示

トーチ
聖火リレートーチ(向かって左がオリンピック、右がパラリンピック)
聖火台
パラリンピック聖火フェスティバルで使用された聖火台
写真:聖火リレーバナー
聖火リレーエンブレムが描かれたバナー

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