漁港関連用語集

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ページ番号1008587  更新日 平成31年2月20日

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あ行

青線(あおせん)

河川法に基づく一級河川、二級河川及び準用河川に指定されていない河川、水路のことです。
不動産登記法に規定する地図又は旧土地台帳付属地図(いわゆる公図)に青色に着色表示されているので、それに由来して、このような呼び方となりました。

赤線(あかせん)

道路法に規定する国道、都道府県道、市町村道としての認定を受けておらず、古くから現存している未整備の道路のことです(里道)。赤色に着色して表示しているので、このような呼び方となりました。

アスファルトマット[摩擦増大用]

ケーソンやL型ブロックなどの滑動に対する安定性を高めるために、底面に設置するアスファルトのことです。
アスファルトの厚さは8cm以上でケーソンやブロックと密着させます。
荒均し(あらならし)
基礎捨石の表面均しのことであり、本均しに比べ許容範囲が大きい均しのことを荒均しといいます。
本均しの許容範囲は±5cmですが、荒均しは±10cm、±30cm、±50cmなどの許容範囲となっています。

アンカー

錨(いかり)のことです。
錨に鉄製の鎖やロープを付けて使用し、漁船や作業船などの船舶を水上の一定範囲に止めておきます。
錨の爪などが海底に突き刺さることで抵抗力を発揮するものや、アンカーチェーンの重さも加えて抵抗力を発揮するものなどがあります。
なお、錨と同じ機能をもつものとしてシンカーと呼ばれるものがあり、錨の重量だけで抵抗力を発揮させます。

異形(いけい)コンクリートブロック

特殊な形状をした安定性のよいコンクリートブロックです。
消波や捨石の保護のため防波堤等の前面や捨石の被覆などに設置されたりします。

ウインチ方式[ケーソン据付]

ケーソンの据付方式の一つとしてウインチ方式があります。
曳航又は回航してきたケーソンを据え付ける際に、注水して徐々に沈めると同時に、既設堤等に設置したウインチでケーソンを引きながら所定の位置まで徐々に移動させて据え付ける方法です。

浮桟橋(うきさんばし)

漁船などの船舶が接岸、係留して、人の乗降や水産物などの荷物を上げ降ろしできるように築造された、鋼製又はコンクリート製の箱型の浮体です。
潮位といっしょに上下するので、人の乗降や荷物の上げ下ろしを容易にできるのが利点ですが、波浪条件の厳しいところに設置すると縦横の大きな揺れが生じるときがありますので、比較的穏やかな海域に設置される事例が多くなっています。
ポンツーンとも呼ばれています。杭4点支持式やアンカー固定式があります。

うねり

海の波は風によって生じ、これを風浪といいます。風浪が風の吹かない領域にまで伝わった波、あるいは風が弱まった場合や風向が急に変化した場合に残された波を「うねり」といいます。

裏埋(うらうめ)

裏込の背後等に投入する土砂のことです。

裏込(うらごめ)

岸壁や護岸等の安定性を高めるために、堤体背面に投入する割栗石等のことです。割栗石等を投入することによって、土砂を投入するよりも土圧が軽減され、堤体の安定性が向上するとともに、堤体がスリム化されて建設コストが縮減される場合があります。

えい航(えいこう)

引船等によりケーソンや作業船等を引いて航行することですが、航行距離が片道9.4海里(かいり)を超え、25海里未満、又は一平水区域内の航行の場合をえい航としています。
なお、航行距離が片道25海里以上(一平水区域内の航行を除く)の場合には回航としています。

エプロン

漁船など船舶と荷捌き場所との間で漁獲物等の荷降ろし、荷物の積み降ろしなどを行う場所のことをいいます。
漁港では、岸壁又は物揚場の用途(陸揚用、出漁準備用、休けい用)に応じて幅3~10m程度としています。

越波(えっぱ)

防波堤や護岸などの構造物を波浪が越える現象のことです。

L型(えるがた)ブロック

岸壁や物揚場等の構造形式の一つであり、断面がL字となっています。
背後の土圧に耐えるように設計されます。
高い設置精度が求められることなどから、波高が大きい箇所にはあまり向いていない工法であり、波高が小さい内湾にあ漁港での施工実績が多くなっています。
一般に壁体厚が30cm程度と薄いため、L字の垂直壁部の法線がずれないように据え付けするのに相応の施工技術が必要とされます。

沿岸域(えんがんいき)

海岸線を挟んで陸域と海域を含めた一定程度の空間を沿岸域といいます。

大潮(おおしお)

月、太陽、地球の各位置が一直線になったときに干満差がもっとも大きくなり、このときの潮を大潮といいます。

沖波(おきなみ)

沖波とは、沖合で発生し、水深が波長の1/2より大きく、水粒子の運動が海底の影響をほとんど受けない波のことです。(海面を波が進んでいくときには、下図のように水の粒子が一定の場所を円又は楕円軌道で回転しています)
岩手県沖で大時化の時には、波の周期が10秒以上となることがよくありますが、このときの波長は200m程度です。この場合、波長の1/2である100m以上の水深における波を沖波といいます。
この波が浅い水深(100m未満)に向かってくると、海底地形の影響を受けて波の高さや周期、波長が変化していきます。

音響測深機(おんきょうそくしんき)

船舶に積み込んだ送受波器から発振された音波が、海底で反射されて戻ってくる時間を計測して水深を測定する機器です。
測定したい海域を一定の間隔で数往復ゆっくりと船舶で航行して測定することにより、一定のエリアの水深が測定できます。
近年は、マルチビームなど高分解能の機器による調査が主流となってきており、3次元での表示もできるようになってきています。
岩手県では、通称「おんたん」と呼んでいます。

か行

海岸保全区域(かいがんほぜんくいき)

高潮や津波、海岸侵食などによる被害から海岸を防護するために、堤防や胸壁などの海岸保全施設等を設置する必要がある場合に、防護すべき海岸の一定の区域を海岸保全区域として都道府県が指定します。
指定する際には、海岸保全区域を公示(公表)するとともに、主務大臣(漁港海岸であれば農林水産大臣)に報告しなければなりません。
指定する範囲は、漁港海岸であれば、基本的に漁港区域の範囲内となりますが、漁港区域に隣接しているのであれば、範囲外でも指定可能です。
また、海岸保全区域の幅は、陸域が満潮時の水際線から50m以内、水面が干潮時の水際線から50m以内とされています。
詳しい内容は、海岸法第3条、第4条に記載されています。

海岸保全区域台帳(かいがんほぜんくいきだいちょう)

海岸保全区域及び海岸保全施設の適正な管理と海岸管理事務の効率化を図るために作成される台帳であり、それぞれの海岸保全区域ごとにあります。
区域の指定年月日や指定範囲・面積、施設の位置、種類、構造及び数量などが記載されており、区域の変更や施設の追加などがあった場合には適時、追記、修正等を行って行きます。

海岸保全施設(かいがんほぜんしせつ)

高潮や津波、海岸侵食などによる被害から海岸を防護するために整備する、堤防、突堤、護岸、胸壁、離岸堤、砂浜などの施設です。
岩手県では、これまでに主として津波対策のための堤防や胸壁などを整備してきました。そのほかにも一部の海岸で侵食対策のための離岸堤等の整備も行っていました。
なお、海岸保全施設は、海岸保全区域内でしか整備できません。
詳しい内容は、海岸法第2条に記載されています。

回航(かいこう)

引船等によりケーソンや作業船等を引いて航行することですが、航行距離が片道25海里以上(一平水区域内の航行を除く)の場合に回航としています。
なお、航行距離が片道9.4浬(かいり)を超え、25海里未満、又は一平水区域内の航行の場合をえい航としています。
平水区域は本用語集の「平水区域」に用語の説明が記載されています。

ガット船(せん)

グラブ付きのクレーンを持つ自航式の石材運搬船です。漁港工事では、基礎捨石などの運搬投入などによく利用されます。

岸壁(がんぺき)

漁船などの船舶が接岸、係留して、人の乗降や水産物などの荷物を上げ降ろしできるように築造された、ほぼ鉛直の壁をそなえた構造物のうち、水深の大きいものを岸壁といいます。
同様の施設として物揚場がありますが、両者の違いは、干潮時の水深によって呼び方が区分されています。
なお、漁港と港湾では深さの数値が異なっており、次のとおりです。

 

岸壁

物揚場

漁港

水深-3m以上

水深-3m未満

港湾

水深-4.5m以上

水深-4.5m未満

外郭施設(がいかくしせつ)

漁港内の泊地への波浪や漂砂の侵入や漁港用地への越波などを防ぎ、泊地を静穏に保全するなどといった漁港の重要な機能を確保する施設です。
外郭施設には、次のようなものがあります。
防波堤、防砂堤、防潮堤、導流堤、水門、閘門、護岸、堤防、突堤、胸壁(漁港漁場整備法第3条より)

換算沖波(かんざんおきなみ)

沖合から水深の浅い岸に波が近づいてきたときに、海底の影響や障害物の影響を受け、屈折や回折といった現象が生じ、波高が変化します。
沖波に屈折、回折の影響を考慮した仮想の沖波を換算沖波といいます。
その後、波は、さらに水深の小さいところに進むと海底の影響を大きく受けて、波高変化や砕波などの現象が生じます。

起重機船(きじゅうきせん)

クレーンを装備する作業船であり、旋回式のクレーンを装備したものと、旋回しないクレーン(固定式、上下可動のみ)を装備したものの2種類があります。
旋回しないクレーンを装備した起重機船は、相当の重力物の吊り上げを行う場合に使用されます。
同様の機能を持つ作業船としてクレーン付き台船がありますが、クレーン付き台船は、台船の上にクローラークレーン等の移動式クレーンを艤装(ぎそう)したもので、比較的軽量の荷揚げを行うときに使用されます。

艤装(ぎそう)

漁船や作業船などの船舶は、船体やエンジン装置のみではその機能を十分に発揮することができません。機能を発揮するためにアンカーロープの巻取機などの装置や設備を船舶に設置する必要があります。これらの装置や設備を設置することを艤装といいます。

基礎工(きそこう)

構造物等を安全に支えるための土台となるべきものを基礎工といいます。
防波堤、護岸、岸壁など漁港構造物においては、基礎捨石、根固ブロック、被覆石・被覆ブロックなどが基礎工となります。

基礎捨石(きそすていし)

防波堤、護岸、岸壁などの漁港構造物の基礎工の一部であり、1個あたり200kg程度の比較的大きな石を使用しています。

喫水(きっすい)

漁船など船舶を水中に浮かべたときの水面下に沈んでいる深さのことです。
漁獲物など貨物を積んでいない状態と貨物を満載している状態での喫水は、漁船のトン数が増加するに伴い、その差が大きくなります。

基本施設(きほんしせつ)

漁船の停泊、出入港のための航行、係留などを行う水域や水域に面する施設であり、次のようなものあります。
外郭施設、係留施設、水域施設(漁港漁場整備法第3条より)

胸壁(きょうへき)

防波堤や護岸等の外港側に設けられるコンクリートの壁体のことです。一般には台形の形状をしており、パラペットとも呼ばれています。
海岸保全施設にも胸壁と呼ばれる構造型式があり、コンクリートの単塊式の構造で、津波や波浪等来襲時に、背後への海水の侵入を防止する機能を有しています。

漁港(ぎょこう)

漁業生産や水産物の流通・加工の根拠地となる港であって、漁船の係留・停泊、漁獲物の水揚げ、売買、保管、加工などを行う場としての機能を有しています。
漁港漁場整備法によると、「天然又は人工の漁業根拠地となる水域及び陸域並びに施設の総合体」とされています(漁港漁場整備法第2条)。
一方で、港湾は、港湾法に基づき、船舶の停泊、旅客の乗降及び貨物の荷役を行うために整備された水域及び陸域施設の総称です。
両者の施設は、防波堤、岸壁など同じような施設ですが、下表のとおり主として取扱う物品や利用する船舶の形状の違いなどから、施設に求められる機能が異なるため、設計の諸元(エプロン幅など)や設定する外力(船舶の牽引力等)などが違っています。

 

主として取り扱う貨物

主として利用する船舶

漁港

食料品としての生鮮水産物

漁船

港湾

工業系の貨物

大型の貨物船

漁港区域(ぎょこうくいき)

漁港施設の整備を行うために、漁港漁場整備法に基づき、指定する区域のことです。
漁港区域と合わせて、漁港の名称、種類(第1~4種)も指定しなければなりません。
漁港区域は、漁港の種類によって市町村、都道府県など指定する機関が異なります。
漁港施設は、原則、漁港区域内でしか、整備できません。
詳しくは、漁港漁場整備法第6条に記載されています。

漁港施設(ぎょこうしせつ)

漁港施設には、防波堤、護岸、岸壁、船揚場、泊地、道路、漁港施設用地のほか、荷さばき施設、加工場などがあります。
漁港区域内にある施設の多くが漁港施設とされています。
詳しくは、漁港漁場整備法第3条に記載されています。

漁港台帳(ぎょこうだいちょう)

漁港施設の適正かつ効率的な管理を行うために、整備した漁港施設の名称、延長等について記載した台帳です。
供用日数(きょうようにっすう)
機械を工事現場に搬入した日から、工事を終えて工事現場から搬出する日までの日数のことです。

クレーン付き台船(くれーんつきだいせん)

台船の上にクローラークレーン等の移動式クレーンを艤装したもので、比較的軽量の荷揚げを行うときに使用されます。
同様の機能を持つものとして、起重機船がありますが、これは、クレーンが船に固定装備されている作業船であり、旋回式のクレーンを装備したものと、旋回しないクレーン(固定式、上下可動のみ)を装備したものの2種類があります。

傾斜堤(けいしゃてい)

防波堤や離岸堤等の構造型式の一つであり、石材やコンクリートブロック等で台形状に形作られたものです。
漁港構造物では、異型コンクリートブロック(消波ブロック)を用いた傾斜堤が多く見られます。
傾斜堤の一種として、天端高が静水面以下とした潜堤と呼ばれるものもあります。

ケーシング

防波堤の水中コンクリートなど相応の高さがあるマスコンクリートを打設する際に、打設落下高を緩和するため、型枠内に設置する鋼製の筒のことです。
コンクリートの落下による材料分離を防止します。

係船柱(けいせんちゅう)

漁船など船舶を岸壁や物揚場に係留するため、ロープをつなぎ結ぶ柱のことです。
直柱と曲柱の2種類の形状があります。曲柱は大型漁船の係留など比較的大きな牽引力が生じるところに設置します。

係船環(けいせんかん)

漁船など船舶を岸壁や物揚場に係留するため、ロープをつなぎ結ぶ環のことです。

ケーソン

防波堤や岸壁の本体工の構造形式の一つであり、上側が空いた函状の構造物です。内部はマス目のように一定の間隔で仕切りが設けられています。
製作場所等から引き船等でえい航又は回航し、所定の場所に据え付けます。その後、マス目のそれぞれに中詰石を投入してから蓋コンクリートを打設し上側を塞ぎます。

係留施設(けいりゅうしせつ)

漁船など船舶をつなぎ留めたり、陸置きする施設です。
係留施設には、次のようなものがあります。
岸壁、物揚場、係船浮標、係船くい、桟橋、浮桟橋、船揚場(漁港漁場整備法第3条より)

工事台帳(こうじだいちょう)

漁港工事(災害復旧工事を含む)の実施状況を効率的に整理する台帳で、事業実施主体である地方公共団体等で工事の概要等について作成、整理し、保管します。

合成版式ケーソン(ごうせいばんしきけーそん)

鋼板と鉄筋コンクリートをずれ止め用のスタッド(金属製のボルト)で一体化した合成版による外壁及び底版と鋼板の隔壁で構成されているケーソンのことです。
一般的な鉄筋コンクリート製ケーソン(以下「RCケーソン」)に比べて、次のような特徴があります。

  1. 同一版厚であれば部材強度が大きいため、版厚を薄くでき、軽量化による法線方向の長大化、浮遊時の喫水の減少が図られます。
  2. 底版のフーチングの張り出しを長くできるため、堤体底面に作用する単位面積当たりの圧力を低減又は調整できることから、軟弱地盤への適合性が高くなります。
  • RCケーソンフーチング長:1.5m程度迄
  • 合成版ケーソンフーチング長:5m程度迄

港内静穏度(こうないせいおんど)

漁港の外からの波が漁港内の泊地に侵入してきたときに、防波堤等によって波高が小さくなりますが、漁港の外と漁港内の泊地等の波高の比のことをいいます。
防波堤の配置や構造等を工夫し、港内静穏度(波高比)を小さくして、漁船などの船舶を安全に係留できるようにします。

公有水面埋立免許申請(こうゆうすいめんうめたてめんきょしんせい)

国が所有し公共の利用に用いられる海などの公有水面を埋め立てる場合には、都道府県知事の免許が必要なります。
この免許を取得するために必要な書類をそろえて願書(公有水面埋立免許願書)を提出することを「公有水面埋立免許申請(通称、埋申(うめしん))と呼んでいます。

護岸(ごがん)

波浪や流れ、高潮等から背後の用地を防護するために整備される施設です。一般的には鉛直又は鉛直に近いコンクリート等の壁体を築造しますが、緩傾斜型の階段式護岸もあります。
また、海岸保全施設として整備される護岸は、海岸背後にある人命・資産を高潮、津波及び波浪から防護するとともに、陸域の侵食を防止することを目的として設置されます。
同様の機能を持った施設として堤防がありますが、両者の違いは、堤防が原地盤を嵩上げして建設されるのに対し、護岸は原地盤の嵩上げを伴わないで建設されます。

国有海浜地(こくゆうかいひんち)

海岸のうち、海岸保全施設等が設置されていない天然の砂浜や岩礁や埋立により創出された土地又は埋立地に隣接して形成された土地であって、国が所有している土地を国有海浜地といいます。

小潮(こしお)

太陽、地球、月の各々の位置が直角の状態になったとき、潮の干満差が小さくなり、この状態を小潮といいます。

混成堤(こんせいてい)

基礎捨石の上に直立堤体(コンクリートブロック、ケーソン等)を設置した構造のものです。

さ行

砕岩棒(さいがんぼう)

岩盤の割崩しによる掘削や被災したケーソンや水中コンクリートの取壊しに用いる数十トン以上の鋼鉄製の縦長の棒です。
起重機船やクレーン付き台船のクレーンにつり下げて、急激に落下させることによって、岩盤やコンクリートを破砕します。

砕波(さいは)

沖合から水深の浅い岸に波が近づいてきたときに、海底の影響を受け波高が増加し、水深が波高に近づくと波の形が前方に飛び出すように崩れ、白波を立てるようになります。この現象を砕波といいます。砕波する時の波高は、水深、波長や海底勾配によって異なります。
また、水深の大きい沖合の海でも、強風によって波の頂上部が崩れ砕波することがあります(白波)。
砕波には、発生過程等によって、「崩れ波」、「巻き波」、「砕け寄せ波」などの種類があります。

朔望平均満潮面(さくぼうへいきんまんちょうめん)

新月(朔)、満月(望)の日から前2日、後4日以内に現れる各月の最高満潮面を平均した水面の高さのことです。
H.W.L(ハイ・ウォーター・レベル)と表示(呼称)され、岩手県ではD.L+1.50mです。

朔望平均干潮面(さくぼうへいきんかんちょうめん)

新月(朔)、満月(望)の日から前2日、後4日以内に現れる各月の最低干潮面を平均した水面の高さのことです。
L.W.L(ロー・ウォーター・レベル)と表示(呼称)され、岩手県ではD.L+0.00mです。

サッパ船(さっぱせん)

動力は船外機であり、キャビンがない0.1~3t程度の小型漁船のことを、岩手県ではサッパ船(せん)と呼んでいます。

桟橋(さんばし)

漁船などの船舶が接岸、けい留して、人の乗降や水産物などを上げ降ろしできるように築造された、鋼製又はコンクリート製などの脚柱に桁をかけスラブをはった構造のものです。
直杭式と斜杭式の2種類の構造形式があります。

潮待ち作業(しおまちさぎょう)

干満の潮位差が一定程度あるところにおいて、基礎捨石などの均しやコンクリート打設などの作業を干潮時を利用し陸上作業として行う場合がありますが、これを潮待ち作業といいます。
潮待ち作業には、陸上潮待ち作業と水中潮待ち作業の2種類があります。

時化(しけ)

強風により大きな波が発生し海が荒れることを時化といいます。
気象庁の予報用語では、
 「しける」 →  波高(有義波高)4m超~6m
 「大しけ」 →  波高(有義波高)6m超~9m
 「猛烈にしける」→波高(有義波高)9m超
とされています。

止水板(しすいばん)

セルラーブロック式やブロック積式などのコンクリートブロックを法線方向に並べ積上げて築造する護岸や岸壁などの目地から、海水の出入によって壁体背面の土砂が吸い出しを受けないようにするため、目地を塞ぐ塩化ビニル製又はゴム製等の板です。
津波対策として整備される堤防や胸壁の目地部分にも設置されることがあります。

斜路(しゃろ)

船揚場のうち、漁船など船舶を陸上に滑らせて引き上げるための斜面部分のことです。

浚渫船(しゅんせつ船)

漁船など船舶が安全に航行、停泊、係留できる航路や泊地を開削するため、グラブ付きクレーンやポンプ等を装備した作業船のことです。
浚渫船には、グラブ浚渫船、ポンプ浚渫船、バックホウ浚渫船などがあり、海底の地質に応じて使い分けています。

上架(じょうか)

漁船など船舶や漁獲物等を陸に揚げることを上架といいます。
クレーンで陸に揚げたり、船揚場を利用して引き揚げたりします。

消波工(しょうはこう)

波浪のエネルギーを減殺し、波の圧力や高さ、越波する波の量などを低減するために、防波堤の堤体の前面に設置したり、離岸堤に用いられたりします。
消波工には、主として異型コンクリートブロックなどが使用されます。

上部工(じょうぶこう)

防波堤や護岸、岸壁などの堤体工(ケーソン、水中コンクリート)などの上に打設されるコンクリート等の構造を上部工といいます。
パラペットなども上部工の一部です。

人工地盤(じんこうじばん)

広い意味では、人工的に造られた土地のことですが、漁港関係では、「限られた土地の重層利用や傾斜地等の利用不可能な土地の空間に用地を創出し利用を図る構造物」のことをいいます。
人工地盤の役割としては、用地不足の解消や津波等災害時の避難機能の確保などがあります。

人工リーフ(じんこうりーふ)

海岸線の沖側に設置される天端高が海面より低い傾斜堤で、基礎捨石や異型コンクリートブロックなどで築造されます。潜堤とも呼ばれています。
波浪の低減、海岸の侵食防止、漂砂の制御などを目的として整備されます。相応の天端幅がないと所定の効果を発揮できません。

伸縮目地(しんしゅくめじ)

温度変化等によって起こる応力によって、コンクリート構造物に生じるひび割れを防止するため、コンクリートの膨張・収縮を吸収するゴム製等の目地材です。

重力式(じゅうりょくしき)

堤体の自重により、外力に対する滑動や転倒等に関する安定性を確保する構造物の種類を重力式といいます。
コンクリート製、鉄筋コンクリート製等の構造物が重力式となります。
鋼管式などは、外力に対して鋼管の曲げ抵抗力やせん断抵抗力等によって安定性を確保する構造物であり、重力式には含まれません。

深浅測量(しんせんそくりょう)

海等の水面から海底までの深さや、海底地形を把握するための測量です。
レッドを用いた方法、音響測深機を用いた方法などがあります。

水域施設(すいいきしせつ)

漁船など船舶が出入港、停泊、係留する水面のことです。
水域施設には、次のようなものがあります。
航路、泊地(漁港漁場整備法第3条より)

吸出防止材(すいだしぼうしざい)

護岸、岸壁などの裏込栗石や基礎捨石と裏埋土砂との間に、海水の出入による裏埋土砂の吸出しを防止するために設置される、繊維質(化学繊維等)の布です。

水中コンクリート(すいちゅうこんくりーと)

水中(海中)に鋼製型枠を設置して打ち込むコンクリートのことをいいます。トレミー管を用いてコンクリートを流下させて打設する方法などがあります。

水中潮待ち作業(すいちゅうしおまちさぎょう)

干満の潮位差が一定程度あるところにおいて、基礎捨石などの均しやコンクリート打設などの作業を干潮時を利用し陸上作業として行う場合がありますが、これを潮待ち作業といいます。
潮待ち作業には、陸上潮待ち作業と水中潮待ち作業の2種類があります。
このうち水中潮待ち作業は、平均干潮面(M.L.W.L 岩手県ではD.L+0.5m)とさく望平均干潮面(L.W.L 岩手県ではD.L±0.00m)の間の施工部分です。
なお、陸上潮待ち作業は、さく望平均満潮面(H.W.L 岩手県ではD.L+1.50m)と平均干潮面(M.L.W.L 岩手県ではD.L+0.5m)の間の施工部分です。

水中不分離性コンクリート(すいちゅうふぶんりせいこんくりーと)

コンクリートに水中不分離性混和剤(セルロース等を原料とした水溶性高分子化合物)を添加し、水中に打設されたコンクリートを分離し難くしたコンクリートです。
水中コンクリートに比べ水中における濁りも少なく、水質汚濁の恐れが小さいといわれています。

滑り材(すべりざい)

船揚場において漁船など船舶の引き上げや引き降ろし作業を容易にするため、横断方向に1m程度の間隔で設置されるプラスチック製等の四角い棒状のものです。
シラ材と呼ばれることもあります。(シラ材は民間会社が開発した滑り材の製品名)

スリットケーソン

直立消波付きケーソンのことです。
ケーソンの一種で、波浪を透過する部材と遊水部を組み合わせた直立消波構造をケーソンの前面に有し、背面のケーソン部と一体構造としたものです。

スルースゲート

水門の扉体の開閉構造体の一つであり、ローラーが付かない上下に動かす扉体のことをいいます。扉体は戸当たり金物とじかに接して動くとともに、水圧による摩擦抵抗が大きいため、かなり小型のゲートにしか使われていません。

設計水位(せっけいすいい)

波浪の越波を抑える目的で設計する構造物についは、設計水位として既往最高潮位(H.H.W.L)を用いて天端の高さを決定することになりますが、当該構造物に作用する最も大きい波圧は、必ずしも既往最高潮位ときに発生するとは限らず、潮位の低い平均朔望干潮面の時に生じることもあります。
設計水位とは、構造物の設計を行う際に用いる潮位のことですが、一つの構造物で一つの設計水位とは限らないので、設計行う際には複数の視点での検討が必要となります。
漁港・漁場の施設の設計の手引(2003年版)では、設計水位を「S.W.L」と表記しています。

設計波高(せっけいはこう)

防波堤など構造物を設計する際に用いられる波高のことです。
瀬取り(せどり)
海上で船舶から他の船舶へ積み荷を移し替えることを瀬取りといいます。

セルラーブロック式

防波堤や岸壁などの堤体工の構造の一つであり、四角い井筒で上面と下面がなく、ボックスカルバートを縦にしたような形状をしています。
セルラーブロック式には、いろいろなタイプがありますが、岩手県における一般的な構造は、底版ブロックとセルラーブロック2段積みの計3段で構成されています。
底版を含め、3段積み上げた後に、中の空洞へ中詰栗石を投入してから蓋コンクリートを打設して塞ぎます。
セルラーブロックには中仕切り壁が設置されたものもありますし、底版と一体となったものもあります。

浅水変形(せんすいへんけい)

波が沖から水深の浅い岸に向かって進行してきたときに、波長の1/2以下の水深に到達した地点から、海底の影響を受けて波高が変化することを浅水変形といいます。

潜水士船(せんすいしせん)

防波堤の捨石均しなどの潜水作業に必要なコンプレッサ等を装備し、潜水士や潜水士との連絡員等を乗船させて潜水作業を行う船舶のことです。

潜堤(せんてい)

海岸線の沖側に設置される天端高が海面より低い傾斜堤で、基礎捨石や異型コンクリートブロックなどで台形状に築造されます。人工リーフとも呼ばれています。
波浪の低減や海岸の侵食防止、漂砂の制御などのために整備されます。相応の天端幅がないと所定の効果を発揮できません。

損料(そんりょう)[建設機械]

建設業者が所有する建設機械の償却費、維持修理費、管理費等を指し、これらのコストを1時間当たり又は1日当たりの金額で表示した経費のことです。
施工に要する標準的な建設機械経費算出のために設定しています。

た行

代価表(だいかひょう)

積算等において、施工単価の明細説明に用いられる表のことです。
漁港漁場工事積算基準などの歩掛に記載されています。

耐震強化岸壁(たいしんきょうかがんぺき)

地震の時に崩れて漁船など船舶が接岸できなくならないよう、東日本大震災クラスの地震にも耐えるように設計された岸壁です。

台船(だいせん)

基礎捨石、コンクリートブロックなど荷物を搭載する作業船のことです。
一般に自航能力を持たない台船が多く、引き船等によって引かれて移動します。

台船バケット方式(だいせんばけっとほうしき)

台船に生コンクリートを入れたバケット(桶状の金属製大型容器)を積み込んで、海上を移動し、クレーンでバケットを吊り下げて所定のところにコンクリートを打設する方法です。

高潮(たかしお)

台風や低気圧の強風による海岸への海水吹き寄せや気圧低下による海面持ち上がりなどにより、海面が異常に上昇することを高潮といいます。

玉掛け(たまがけ)

クレーン等を用いて荷役運搬を行う際に、クレーン等のフックに吊したワイヤーロープにコンクリートブロックなどの吊り荷を掛け外しする作業のことです。

端趾圧(たんしあつ)

防波堤や岸壁等において、ケーソンや水中コンクリートなどの堤体工の下面にある基礎捨石又は地盤等には、波力や土圧などの水平力と自重などの鉛直力の合力(偏心荷重)が台形状又は三角形状に作用します。
堤体工の端部に作用する単位面積当たりの合力(偏心荷重)を端趾圧といいます。
漁港構造物における基礎捨石や地盤の支持力の検討については、計算の簡便性から端趾圧による方法が長い間用いられてきましたが、近年は、簡易ビショップ法による検討が一般的となっています。

潮位偏差(ちょういへんさ)

風浪又は台風等の異常な気象現象によって起こる異常な潮位を異常潮位といい、異常潮位と通常の潮位との差を潮位偏差といいます。
岩手県の漁港施設を設計する際の潮位偏差は、過去の潮位データ等をもとに30cmとしています。

直立消波ブロック(ちょくりつしょうはぶろっく)

波浪を透過する部材と遊水部を組み合わせた直立消波構造のコンクリートブロックで、一般に複数の段数を重ねて築造され、防波堤や岸壁などの堤体工として用いられます。
消波構造は、メーカーによって様々な形があります。
省略語として、直消(ちょくしょう)とも呼ばれています。

直立消波ケーソン(ちょくりつしょうはけーそん)

ケーソンの一種で、波浪を透過する部材と遊水部を組み合わせた消波機能を持った直立消波構造をケーソンの前面に有し、背面のケーソン部と一体構造としたものです。
スリットケーソンとも呼ばれます。

賃料(ちんりょう)

施工業者と建設機械貸出業者間での取引市場(リース、レンタルなど)において、形成される取引単位当たりの貸出価格(1日当たり○○円など)です。

吊降し方式(つりおろしほうしき)

ケーソンの据付の方式の一つとして吊降し方式があります。
ケーソン政策場所又は仮置き場所で固定式起重機船等によりケーソンを吊り上げ、その状態で曳航又は回航し、所定の位置に注水しながら徐々に据え付ける方法です。
直立消波ケーソンなどは、この方法により据付します。

天端(てんば)

一般に構造物の最も高いところを天端といいますが、堤体工や基礎工など構造物の構成要素の最も高いところも、天端と呼んでいます。
(例えば、「堤体工の天端」「ケーソンの天端」等)

ディ-エル(D.L)

漁港等の工事用基準面のことであり、岩手県ではL.W.LをD.L±0.00mとしています。
また、D.Lは、O.D.Lの略称であり、気象庁ホームページや漁港・漁場の施設の設計の手引き(2003年版)」では、観測基準面(工事用基準面)とされています。(朔望平均満潮面の図を参照)
D.L±0.00mとT.P(東京湾平均海面(P.32))±0.00mとの差については、県が、平成19年度に、気象庁、海上保安庁、港湾局の各潮位観測データを収集し、潮汐調和分析によって、いくつかの観測地のD.L±0.00mとT.P±0.00m との差(M.S.L)を求め、この結果に基づき、平成23年に漁港ごとの差を定めています。

堤体工(ていたいこう)

防波堤、護岸、岸壁などの主要な構成部分であり、堤体工には、ケーソン、水中コンクリートなどが用いられます。

ティ-ピー(T.P)

海面からの高さを表す基準となる水準面である東京湾中等潮位(Tokyo peil)のことをいい、明治時代に東京湾の海面を観測して平均値として定めたものです。
現在は、東京湾平均海面といい、T.M.S.Lと標記されています。
一般にいわれる標高と同じ高さとなります。

堤防(ていぼう)

背後地への河川水や海水などの越流等を防止するために、主として盛土などにより堤形状に築造された構造物を堤防といいます。(海岸保全施設の技術上の基準・同解説等より)
堤防には、機能の違いにより、河川堤防、湖岸堤防、海岸堤防があります。
海岸堤防は、海岸背後にある人命・資産を高潮、津波及び波浪から防護するとともに、陸域の侵食を防止することを目的として設置される施設です。
同様の機能を持った施設として護岸がありますが、両者の違いは、堤防が原地盤を嵩上げして建設されるのに対し、護岸は原地盤の嵩上げを伴わないで建設されます。

転置(てんち)

物体等の置き場所を変えることですが、漁港工事では、コンクリートブロックを製作場所から仮置場所にクレーン等で移動するときなどに使用します。

導流堤(どうりゅうてい)

漂砂による河口閉塞を防止することなどを目的として河口部等に設けられる構造物です。
河川構造物として整備されるものも多くありますが、整備場所や整備目的などによっては漁港構造物として整備される(整備されている)ものもあります。
構造は、防波堤と同様です。

突堤(とってい)

突堤は、陸から海に向かって突き出た構造物であって、沿岸を流れる潮流などによる土砂の流れを制御するとともに、海岸にある砂浜の侵食を防止する機能を有しています。
漁港施設として整備される突堤は、上記の機能のほか、漁港内の航路や泊地に土砂が流入・堆積することを防止するとともに、外海から来襲する波を遮り漁港内の泊地を静穏に保つ機能を併せ持っています。
構造は防波堤と同様です。

ドルフィンドック方式

台船の上でケーソンを製作する方式の一つです。
ドルフィン式作業台船に注水して基礎捨石の上に着底させた状態でケーソンを製作します。ケーソン製作が完了した後には、ケーソンを乗せたまま浮上させて、水深の深いところまで曳航したうえで、台船に注水し一定程度海中に沈めて、ケーソンを自力浮上させてから、ケーソンを仮置き場に曳航します。
台船が浮かんだり沈んだりするので、いるかに例えてこのような名称とされたそうです。
陸上のケーソン製作用のドックがないところや波浪条件が厳しい漁港でもドルフィンドックを回航して製作できるため、岩手県の漁港工事で多く用いられてきました。
同じような機能を持つ方式としてフローティングドック方式がありますが、本方式は、安定性を確保するためマウンドに着底した状態で行うことを基本としているので、フローティングドック方式に比べ波浪条件が多少厳しい漁港でも製作することが可能です。
D.D(ディーディー)と略称で呼ばれています。

ドライドック方式

ケーソンを製作する方式の一つで、陸上に設置されたケーソン製作用のドックです。
ドルフィンドック方式やフローティングドック方式に比べ、海象条件に左右されず、安定的かつ計画的に製作することが可能です。
岩手県内には、久慈港湾と宮古港湾にドライドック方式のケーソン製作ヤードがありますが、港湾関係予算で整備されたことから、港湾施設に用いるケーソンの製作が優先されています。

な行

凪(なぎ)

風がほとんどなく波の穏やかな状態を凪といいます。
対義語として「時化(しけ)」が使われます。

波返工(なみかえしこう)

防波堤や護岸、堤防などの堤頂部に波の打上高さを低減させるために設置する凹円形の断面形状をしているコンクリートの壁体です。

南部潜り(なんぶもぐり)

岩手県の海中工事の潜水作業で主として行われている潜水の方法です。
この潜水方法は、旧種市町(現洋野町)で約100年前から行われており、鉄製の大きなヘルメットを被って行われるのが特徴です。
海中工事だけでなく、洋野町の沿岸に多く生息する天然ホヤの採捕でも南部潜りが活躍しています。

根固工(ねがためこう)

防波堤や護岸等のケーソンや水中コンクリートなど堤体工の海側の下前面へ基礎捨石マウンドの洗掘防止のために設置されるコンクリートブロック等のことを根固工といいます。
設計波高の多きところでは30t/個程度の根固ブロック(根固工)を設置することもあります。

ノット

速度の単位で、1ノットは1時間に1海里(1,852m)進むことを表します。(0.51m/s)
主に漁船など船舶の速度を表すときに使用されます。

は行

バース

漁船など船舶が接岸、係留し、水産物の陸揚げや荷役作業を行う岸壁や物揚場のことです。
船舶1隻が占めるスペースをワン・バースといったりします。

パイピング

地盤中の浸透水流により、土中の細かい粒子が流されてパイプ状の水みちを形成する現象のことです。
パイピングが進行し、水みちが大きくなると地盤の破壊や支持力の低下、構造物の不等沈下、倒壊に繋がっていきますので、パイピングの恐れがある場合には、浸透流路長の増大や浸透流の流速低減等のために止水矢板などを打ち込むなどの対策を講じる必要があります。

ハイブリッドケーソン

合成版式ケーソンのことです(合成版式ケーソンを参照)。

バラスト

漁船など船舶の重量を増して適正なバランスを確保するため、漁船や作業船などの船舶等の重量を増加させる重量物のことです。
船舶においては、海水などをバラストとして利用することが多くあります。

パラペット

胸壁のことです(胸壁を参照)。

波浪(はろう)

風によって生じる波を風浪といいます。
風浪が風の吹かない領域にまで伝わった波や風が弱まった場合や風向が急に変化した場合に残された波をうねりといいます。
海上では、通常、風浪とうねりが混在しており、それらをまとめて海の波を波浪と呼んでいます。

帆布(はんぷ)

吸出防止材等に利用される厚手の繊維でできた布です。古くには、天然繊維を使用したものでしたが、現在は合成繊維となっています。

控え矢板式(ひかえやいたしき)

岸壁や護岸等の本体工の構造種類のひとつであり、海に面し連続して打ち込んだ矢板を壁体とし、その陸側に平行して打ち込んだ控え矢板とをタイ材(鋼鉄製のロット(棒)やワイヤー)で結び、これらを一体構造として土圧等に抵抗させる構造です。
施工設備が比較的簡易であり、水中工事分が少ないので工事の迅速化が可能ですが、硬質地盤や玉石層を含む地盤への矢板打ち込みは困難です。
矢板には、鋼矢板や鋼管杭が使用されます。

引船(ひきぶね)

非自航船、ケーソンなど浮体等をワイヤーロープ等によってえい航又は回航する作業船です。
被覆工(ひふくこう)
防波堤や岸壁などの基礎捨石の洗掘等を防護するために設置する被覆ブロックや被覆石等を被覆工といいます。

樋門(ひもん)・樋管(ひかん)

海水等の外水の侵入を抑えながら不要な内水を排除し、施設の背後にある人命や資産を津波等の被害から防護することを目的として設置される施設です。
水門と同じ機能を有する施設で、河口部や水路と海との接点部等に設置されます。
一般に通水断面の上方が解放し径間が大きいもの(3m以上)を水門、通水断面が函渠形式で小さいものを樋門、さらに小規模で暗渠形式のものを樋管と呼んでいますが、明確な区分はないそうです。

漂砂(ひょうさ)

波、流れによって沿岸域を移動する土砂のことを漂砂といいます。
1年間あるいはそれ以上の長い期間を通じて一定の方向へ移動する漂砂もありますが、台風来襲時などに短期的に大量に移動する漂砂もあります。

歩掛(ぶがかり)

ある作業を行うにあたり、標準的にどのくらいの作業員や建設機械などが必要かを単位量あたりで数値化したものです。
例えば、10m3の生コンクリートを打設するために必要な人数や建設機械の種類と運転時間等が記載されています。

蓋コンクリート(ふたこんくりーと)

ケーソンやセルラーブロックの工事において、所定の高さまで中詰材を投入した後に中詰材の上面に蓋をするように打設するコンクリートのことです。

縁金物(ふちかなもの)

岸壁や物揚場の上面角部が、漁船などの船舶を係留するロープ等で欠損しないよう保護するためにコンクリート部分に埋め込まれるL型の金物のことです。
コーナー材やコーナーアングルと呼ばれることもあります。

扶壁式(ふへきしき)

鉄筋コンクリート擁壁の構造形式の一つであり、土圧を受ける壁部に一定の間隔で壁部に対して直角方向に突き出した補助壁(補助柱)を設けた構造となっています。
補助壁は、土圧を受ける壁部に作用する荷重を受け止め、壁部を支持・補強します。

フローティングドック方式

台船の上でケーソンを製作する方式の一つです。
凹型をした台船を浮かせた状態でケーソンを製作します。ケーソン製作が完了した後には、水深の深いところまで曳航したうえで、台船に注水し一定程度海中に沈めて、ケーソンを自力浮上させてから、ケーソンを仮置き場に曳航します。
陸上のケーソン製作用のドックがないところでもフォローティングドックを回航して製作できるため、岩手県の漁港工事で多く用いられてきました。
同じような機能を持つ方式としてドルフィンドック方式がありますが、本方式は、基礎捨石のマウンドを築造しなくてもよいことなどから、ドルフィンドック方式に比べ簡易に製作が可能です。
F.D(エフディー)と略称で呼ばれています。

フラップゲート

水門や樋門の通水部に設けられる扉体(ゲート)の形式のひとつであり、ゲートの陸側からの水の圧力が増加すると開き、圧力が低下すると自動的に閉鎖する構造となっています。
ゲートが頻繁に開閉して騒音が発生したり、開閉部に土砂等が堆積すると完全閉鎖できなくなることもあるので、設置にあたっては、これらを十分考慮することが必要です。

プレパックドコンクリート

特定の粒度をもつ粗骨材を型枠に詰め、その空隙に流動性が高く適度の膨張性を有する特殊なモルタルを注入してつくるコンクリートのことです。
古くには、漁港工事でプレパックドコンクリートが使用された事例がありますが、近年では使用実績がありません。

平均干潮面(へいきんかんちょうめん)

ある一定期間の潮位データから、干潮時の水位を平均して算出した潮位で、M.L.W.Lと表記されます。
岩手県では、過去に行った潮位観測データに基づき、平均干潮面をD.L+0.50mとしています。
また、平均干潮面は、潮待ち作業の作業区分の基礎データとして用いられています。

平均水面(へいきんすいめん)

ある一定期間の潮位データを平均して算出した潮位で、M.S.Lと表記されます。

平水区域(へいすいくいき)

平水区域は、船舶安全法施行規則で定められており、湖、川及び港内の水域などとされています。
岩手県では、宮古湾、大槌湾、釜石湾、大船渡湾が平水区域とされています。詳しくは、船舶安全法施行規則第1条第6項の42から46に範囲が記載されています。

防砂堤(ぼうさてい)

漁港内の航路や泊地に土砂が流入・堆積するのを防止するとともに、外海から来襲する波を遮り漁港内の泊地を静穏に保つ機能も併せ持っています。
構造は、防波堤と同じです。
同様の機能を有する施設として突堤があります。

防潮堤(ぼうちょうてい)

津波や高潮などによる陸上への海水侵入を防止することを目的として整備される施設です。岩手県では、津波対策として整備する堤防や胸壁、護岸のことを総称して防潮堤と呼んでいます。
なお、海岸法第3条で定義されている海岸保全施設に「防潮堤」は明記されていません。

方塊(ほうかい)

直方体や立方体のかたまりのことですが、土木関係では一般にコンクリートブロックのことを方塊と呼んでいます。
根固コンクリートブロックや、異型コンクリートブロックを根固方塊、異型方塊と呼んだりします。

ポンツーン

浮桟橋のことです(浮桟橋を参照)。

ボンデン

浮き球に旗の付いた竹棒等をくくりつけたものです。
海に仕掛けた網(定置網や刺し網など)や工事施工位置などを示す目印として使用されます。アンカーも付けて海中に自立できるものもあります。

本均し(ほんならし)

基礎捨石の表面均しのことであり、荒均しに比べ許容範囲が小さい均しのことを本均しといいます。
本均しの許容範囲は±5cmですが、荒均しは±10cm、±30cm、±50cmなどの許容範囲となっています。

ま行

マイターゲート

水門や陸閘に設けられる扉体の形式のひとつであり、締め切った時には、平面的に合掌したような形になります。
観音開きと呼ばれることもあります。
開放時の扉体収容スペースを法線方向に設けることが困難なところに設置されることが多いのですが、強風時の開閉に大きな力を要するという難点があるため、最近は施工実績がほとんどありません。

水叩き(みずたたき)

越波による洗掘から防護するために護岸などの内側に設けられる平坦なコンクリート部です。一般には幅3mとしています。

目潰し石(めつぶしいし)

石材の敷均しの際に、石材の隙間を埋める粒径の小さい石材のことです。

面的防護(めんてきぼうご)

昭和年代の高潮対策や侵食対策は、海岸線に堤防や護岸のみを整備する線的な防護方式が一般的でした。この方式では、天端高の高い堤防や護岸を築造することによって美しい海岸線の景観を損ねたり、砂浜の侵食を防止できないなどの欠点がありました。
このようなことから、平成年代に入ってからの高潮対策や侵食対策は、堤防や護岸の前浜に潜堤などを設置し、波の力を複数の施設で分散させて受け止める面的防護と呼ばれる方式に転換してきました。
この方式によって堤防や護岸の高さを低く抑えることができるとともに、砂浜の侵食防止も可能となります。

物揚場(ものあげば)

漁船などの船舶が接岸、係留して、人の乗降や水産物などの荷物を上げ降ろしできるように築造された、ほぼ鉛直の壁をそなえた構造物のうち、水深の小さいものを物揚場といいます。
同様の施設として岸壁がありますが、両者の違いは、干潮時の水深によって呼び方が区分されています。
 なお、漁港と港湾では深さの数値が異なっており、次のとおりです。 

 

岸壁

物揚場

漁港

水深-3m以上

水深-3m未満

港湾

水深-4.5m以上

水深-4.5m未満

や行

有義波(ゆうぎは)

ある地点で連続する波を観測したとき、波高の高いほうから順に全体の1/3の個数の波(例えば20分間で100個の波が観測されれば、大きい方の33個の波)を選び、これらの波高および周期を平均したものを有義波(有義波高、有義波周期)といいます。
天気予報等で通常用いられている波高は、有義波のことです。

遊水部(ゆうすいぶ)

防波堤を越える波を抑制するために、防波堤の直立壁前面から一定の距離をおいて消波工(消波ブロック)を設置した構造の防波堤を「遊水部付き防波堤」と言いますが、直立壁と消波工の区間を遊水部と呼んでいます。
護岸を越える波を抑制するために遊水部を設けた施工事例もあります。

揚圧力(ようあつりょく)

基礎捨石の上に設置された防波堤等の堤体(ケーソンや水中コンクリートなど)には、一般に波浪の影響によって防波堤等の前面と背面の水位差が生じ、三角形の水圧が堤体底面に作用します。この水圧を揚圧力といいます。
防波堤の安定計算を行う際に考慮する外力のひとつとなります。

養浜(ようひん)

侵食を受け砂浜が減少した海岸などに、人工的に砂を供給して砂浜の復元、創出を行うことです。
養浜を行う際には、事前に現地での流況調査や漂砂シミュレーションなどを行い養浜の規模や入れる砂の粒径等を決定する必要があります。

揚描船(ようびょうせん)

起重機船やクレーン付き台船などの作業用錨の設置、移設、揚収等の作業を行う船舶のことです。
そのほか、作業船の修理作業や補修部品の輸送、小規模な構造物の水上架設等の作業にも使用されることがあります。

ら行

離岸堤(りがんてい)

海岸線から離して沖側に設置される、天端高が水面より高い構造物です。
波浪の高さやエネルギーを低減するほか、陸側の漂砂の制御などの機能を有しています。
捨ブロック式傾斜堤の構造が多く用いられています。
同様の機能、構造を有し天端高が水面より低い構造物を潜堤(人工リーフ)といいます。

陸上潮待ち(りくじょうしおまち)

干満の潮位差が一定程度あるところにおいて、基礎捨石などの均しやコンクリート打設などの作業を干潮時を利用し陸上作業として行う場合がありますが、これを潮待ち作業といいます。
潮待ち作業には、陸上潮待ち作業と水中潮待ち作業の2種類があります。
このうち陸上潮待ち作業は、さく望平均満潮面(H.W.L 岩手県ではD.L+1.50m)と平均干潮面(M.L.W.L 岩手県ではD.L+0.5m)の間の施工部分です。
なお、水中潮待ち作業は、平均干潮面(M.L.W.L 岩手県ではD.L+0.5m)とさく望平均干潮面(L.W.L 岩手県ではD.L±0.00m)の間の施工部分です。

陸閘(りっこう)

堤防、護岸又は前面の漁港、港湾、海浜等を利用するために、車両及び人の通行のために設けた門扉等を有する施設です。
一般に平常時は門扉を開放していますが、津波警報や高潮警報などが発令された際には、閉鎖します。

臨港道路(りんこうどうろ)

漁港区域内にあり、漁港と周辺の公道を結ぶ道路です。
道路法で定められている道路(一般交通の用に供する道で高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道)ではありません。

離岸潜堤(りがんせんてい)

うにやあわびなどの増殖場において、海水中に含まれる、うにやあわびの浮遊幼生の分散抑止や増殖場内に循環流を発生させるために設置される離岸堤と潜堤を組み合わせた構造物のことです。

ルーフィング

屋根やその他の防水、コンクリート舗装の溢水逸水防止のための敷物です。ルーフィンの代表的なものとしてアスファルトルーフィングなどがあります。

レッド

水深を測る錘の付いたロープのことです。ロープには、目盛りが付いています。
音響測深器による調査に比べ、調査面積が小さく、かつ水深が浅いところにおいて行われますが、精度が低いため、レッドによる測量は、近年は、簡易的な調査以外では、あまり行われていません。

ローラーゲート

水門、樋門、陸閘等の扉体において、扉体にローラーを設置して駆動させる方式のものをローラーゲートといいます。

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