個別労働関係紛争のあっせん事例

ページ番号1088880  更新日 令和7年9月30日

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 岩手県労働委員会では、労働条件その他労働関係に関する個々の労働者と使用者との間の紛争(個別労働関係紛争)が発生し、当事者間で解決できない場合、解決に向けたあっせんを行っています。以下は、実際のあっせん事例を紹介したものです。

1 解雇の撤回及びパワハラに対する補償を求めて争われた事例

申請までの経過

  Aさんはある団体の役員から、「事務職員が退職して困っているので働いてほしい」と依頼され、過去にその団体での勤務経験があることからこれを承諾しました。しかしAさんは労働条件の明示を受けず、また、勤務開始後、同役員から前任者を引き合いに出した精神的圧迫を受け続けた上、採用から数か月後に解雇を言い渡されました。そこでAさんは、解雇の撤回とパワハラに対する補償を求め、あっせんを申請しました。

あっせんの概要

 あっせん員がAさんに確認したところ、現実的に復帰は難しいので解雇撤回は取り下げるが解雇やパワハラに対する補償金を求めたい、と希望しました。それを受けあっせん員が団体の意向を確認したところ、労働条件の明示をしなかったことについては落ち度があったので解決金を支払う意向を示しました。最終的に、あっせん員から当事者に対して解決金の支払いを内容としたあっせん案を提示し、双方がこれを受諾してあっせんは終結しました。

あっせん案要旨

 団体は、Aさんに対して、解決金を支払うものとする。

2 パワハラにより休職中の労働者が復職を求めた事例

申請までの経過

 団体職員であるBさんは、団体代表者のパワハラまがいの行為によりうつ病を発症し休職していました。Bさんは医師から復職可能の診断書をもらったため、団体に対し復職を求めましたが、団体は、Bさんには退職してほしいと求めました。そこでBさんは、復職を求めるあっせんを労働委員会に申請しました。

あっせんの概要

 あっせんにおいてBさんは復職を求めたのに対し、団体からは、Bさんの主張には事実と違う点があり退職してほしいとの主張がありました。双方の主張は変わらず接点を見い出すことは難しい状況でしたが、あっせん員による説得を試みたところ、Bさんは退職することを了承し金銭による解決に応じるとの意向を示しました。そこであっせん員は当事者に対してあっせん案を提示したところ、双方がこれを受諾してあっせんは終結しました。なお、このあっせんでは、事後に疑義が生じないように、解決金は「退職金とは別に」支払うことが明記されました。

あっせん案要旨

1 Bさんは、団体の都合により退職するものとする。

2 団体はBさんに対して、退職金とは別に解決金を支払うものとする。

3 降格の撤回及び給与減額分の支払いを求めて争われた事例

申請までの経過

 会社はCさんに対し、職務遂行能力などを理由として、職位の降格と給与の減額を実施しました。降格前と降格後の業務内容が変わっていないにもかかわらず降格及び給与減額されたことを不服としたCさんは、降格の撤回及び給与減額分の支払いを求めてあっせんを申請しました。

あっせんの概要

 あっせん員からCさんに対し事情聴取を行ったところ、降格理由が不明確で業務内容が降格前後で変わっていないこと、また、降格により給料が大きく減少したことについて不満があるとの話がありました。次に会社に事情聴取を行ったところ、今後、Cさんが昇格するまでの間調整給を支給するとともに、昇格するための条件を提示したい旨話がありました。Cさんはその内容で概ね納得したことから、あっせん員が具体的な条件について検討した上で当事者に提示をしたところ、双方ともあっせん案を受諾し、あっせんは終結しました。

あっせん案要旨

1 会社は、Cさんに対して、本給に加え調整給を支給するものとする。

2 昇格については、プロジェクトを委ねて大丈夫な水準と認められる場合、会社の昇格判断によって決定する。

4 懲戒処分の撤回を求めて争われた事例

申請までの経過

 法人で経理を担当していたDさんは介護休業を取得しました。法人は、Dさんが休業に入る際に適切な引継ぎを行わず法人に損害を与えたとして、減給、降格などを内容とする懲戒処分をDさんに通知しました。Dさんは、この処分の撤回を求めてあっせんを申請しました。

あっせんの概要

 Dさんが懲戒処分の撤回を求めたのに対し、法人は、Dさんは介護休業の申請手続きを行わず休業したなどの問題もあり懲戒処分は必要との主張がありました。それを受けあっせん員は、信頼関係の構築と勤務態度改善を内容とする歩み寄りの提案をしたところ、法人は次第に態度を軟化させ、懲戒処分を撤回する意向が示されました。それを受けあっせん員が当事者にあっせん案を提示をしたところ、双方ともあっせん案を受諾し、あっせんは終結しました。

あっせん案要旨

1 法人は、Dさんに対する懲戒処分を撤回する。

2 Dさんは、協調性をもって周囲とコミュニケーションをとりながら誠実に勤務する。

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