「いわて幸せ作戦会議(in釜石)」(令和3年11月24日)
日時
令和3年11月24日(水曜日)10時30分から11時50分まで
場所
釜石地区合同庁舎 4階 大会議室
出席者
・参加者(敬称略)
久保 力也(株式会社8kurasu 代表取締役社長)
常陸 奈緒子(釜石まちづくり株式会社)
深澤 鮎美(自然あそび広場にここ 代表)
北浦 知幸(大槌町地域おこし協力隊、一般社団法人おらが大槌夢広場)
三浦 奈々美(認定特定非営利活動法人カタリバ、大槌高校魅力化推進員)
・県側
知事、沿岸広域振興局長、政策企画部長
開会
石川部長
ただいまから、県政懇談会「いわて幸せ作戦会議in釜石」を開催いたします。
皆様には、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、「若者が描く三陸の未来」を懇談テーマとし、釜石地区で様々な分野で地域の復興や地域振興に取り組まれている方々にお集まりいただいております。
私は、本日の進行役を務めさせていただきます、県の政策企画部長の石川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
知事あいさつ
石川部長
それでは、開会に当たりまして、知事から御挨拶を申し上げます。
達増知事
皆さん、おはようございます。県政懇談会「いわて幸せ作戦会議in釜石」ということで、県政懇談会というのは、昔からある、知事が県民の方々から直接話を聞いて県政に役立てるという懇談会ですけれども、「いわて幸せ作戦会議」というタイトルになっているのは、今の県の総合計画「いわて県民計画(2019~2028)」の基本目標が、「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」ということで、県民の幸福度を高めるというのを県の計画の基本構造にしているところに由来しています。
3週連続、週に1回釜石に来ているような私の最近の今日この頃なのですけれども、それは「ぼうさいこくたい」があったことと、ラグビーワールドカップのメモリアルマッチがあったことなのですけれども、それぞれ復興の成果でありまして、東日本大震災津波から力強く復旧・復興を遂げ、そして、復興事業の成果を新しい力にしているこの釜石エリア、大槌町を含めまして、このエリアで今活躍している、今日は特に若い皆さんから話を伺って、復興から新たな地域振興、そして、岩手全体のこれからを作っていくことに役立てていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
出席者紹介
石川部長
それでは、この後の進め方についてでございます。私から、お一人ずつ御出席の皆様を御紹介いたしますので、皆様から1分程度で、簡単な自己紹介をお願いいたします。その後、本日のテーマに沿ってお話をいただきますが、お一人ずつお話が終わった都度、知事がコメントする形で進めていきたいというふうに思います。
初めに、株式会社8kurasu、久保力也さんです。
久保 力也
どうも、はじめまして。株式会社8kurasuの久保力也と申します。
私はですね、兵庫県の神戸市出身なんですけれども、兵庫県の舞子高校というところに環境防災科という防災を専門に学ぶ学科がありまして、そこに在籍しておりました。在籍中に東日本大震災が発生いたしまして、福島、宮城、岩手と3県にボランティアという形で9年ほど入らせていただいて、昨年の8月に釜石に移住をしまして、2月に会社を立ち上げました。
今はですね、防災教育、主に行政、企業、学校現場で防災のことをお伝えするような仕事をしているのと、小・中学生を対象に学習教室、塾を開いております。あとは、一次産業で農業に力を入れておりまして、畑をしたりですとか、使わなくなった耕作放棄地なんかを再生するような事業も立ち上げております。今日は、どうぞよろしくお願いいたします。
石川部長
ありがとうございます。それでは続きまして、釜石まちづくり株式会社、常陸奈緒子さんお願いします。
常陸 奈緒子
座ったままで失礼いたします。釜石まちづくり株式会社の常陸奈緒子と申します。よろしくお願いいたします。
私は、釜石市生まれ釜石育ちでして、大学の進学と同時に釜石を離れていたんですけれども、就職と青年海外協力隊の経験を経まして、震災の2年後にUターンで釜石に戻って参りました。
2013年から昨年度いっぱいまで、釜石市の復興支援員の釜援隊として活動しておりまして、今年度の4月からまちづくり会社の方に勤めております。まちづくり会社に勤めていて、受付の業務であったりとか、そういったものも行いながら、釜援隊でやっていた高校生の地域活動のサポートを続けております。ちょっと今日は緊張しているんですけれども、皆さんからいろいろお話を伺いたいなと思っております。よろしくお願いいたします。
石川部長
はい、ありがとうございます。続きまして、自然あそび広場にここ、深澤鮎美さんお願いいたします。
深澤 鮎美
はい。私もとても緊張しているんですけども、自然あそび広場にここの深澤鮎美と申します。みんなから、子どもからも大人からもあゆちゃんと呼ばれております。
私は茨城県の出身でして、埼玉県の方で、保育園で9年間勤めていました。その後ですね、震災が起きて、その復興でボランティアで釜石に関わっていまして、きっかけがあって、こっちに移住してきたという感じです。
その後、釜石の地域おこし協力隊として3年間任務を行いまして、そこでのミッションが「自然保育の推進」というものを自分で掲げて活動してきました。もともと保育士であるというところと、釜石のこの豊かな自然と、震災が起きた場所ということで、その自然保育の持つ力をここでも何か子どもたちに伝えられるものがあるんじゃないかということで、そういうものを推進してきました。その後ですね、田野畑村の地域おこし協力隊も1年だけさせていただきまして、田野畑でも、そういうふうな教育、保育をさせていただきました。
今は、釜石の方に拠点を戻しまして、そういった自然保育、親子で自然に親しみながら、みんなで子どもを見守るという環境づくりをしています。今日はよろしくお願いいたします。
石川部長
はい。ありがとうございました。続きまして、大槌町地域おこし協力隊、北浦知幸さんお願いいたします。
北浦 知幸
はい。大槌町で震災伝承担当の地域おこし協力隊をしております北浦と申します。受入先が、おらが大槌夢広場というところで、代表の神谷が知事によろしくと申しておりました。
私は、もともと大阪府内の自治体で勤務しておりまして、震災後に応援職員として釜石市役所で2年間勤務いたしました。その後に、また大阪で危機管理の業務に携わりまして、そのときに大阪北部地震だったり、平成30年の台風などの災害対応を経験いたしまして、その後、兵庫県立大学大学院の減災復興政策研究科の修士課程に進みまして、大学院生をしながら地域おこし協力隊として震災伝承に取り組む道を選びました。
発災から10年半以上経ちまして、やはり、震災を知らないという世代がこちらでも増えてきたと感じてます。そして、時間が経ったことによって、発災当時は見えなかった復興過程の課題、そういったものも見えてくるようになりました。そんな今だからこそ、震災を通しての学びだったり、経験者の伝えたい思い、そして、そういったものを今ここにいる人々の負担を少なく、次世代や町外の人たちに伝えて、生かしてもらうことができるような仕組み、人、そしてマインドを作るような手助けが、微力ながらもできればと考えています。今日は、よろしくお願いいたします。
石川部長
はい、ありがとうございました。続きまして、認定特定非営利法人カタリバ、三浦奈々美さんです。お願いいたします。
三浦 奈々美
はい。皆さん、こんにちは。NPOカタリバ所属で、大槌高校の魅力化推進員という仕事をしています三浦奈々美と申します。私は、宮城県の仙台市出身の23歳です。大槌町に来て3年目になります。
中学生の頃に仙台で東日本大震災を経験しまして、高校時代は、学生団体を立ち上げて震災復興に関わる活動をしておりました。そのときに、現在、東京大学と慶応大学で教鞭をとられている鈴木寛先生に憧れまして、大学は、慶応大学のSFCで4年間学びました。学生時代から東北の復興に関わる活動がしたいという思いで、大学4年生のときからNPOカタリバの職員として大槌高校に派遣されて、魅力化推進員、コーディネーターという役割を担っております。
普段は、高校の職員室の中に毎日常駐して、生徒からは先生と同じような目線で見られることが多いんですけれども、学校の先生方と協働しながら、地域を舞台とした探求的な学びを推進するカリキュラムづくりですとか、本日配らせていただいたパンフレットの中に「はま留学」と書いたものがあるんですけれども、全国からも大槌高校で学びたい生徒を募集しようという取組みなども推進しております。本日はどうぞよろしくお願いします。
石川部長
はい。ありがとうございました。
本日、県からは、達増知事、それから沿岸広域振興局長の森局長でございます。よろしくお願いいたします。
懇談
<テーマ>
若者が描く三陸の未来
石川部長
それでは、皆様のお手元にお菓子と、それから飲み物を準備しております。森局長の方から、本日のお菓子と懇談テーマを御紹介させていただきます。どうぞお召し上がりながら、お聞きいただきたいと思います。森局長よろしくお願いいたします。
森局長
はい。沿岸広域振興局の森でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。どうぞ箱を取ってお召し上がりください。
お手元にお菓子を2種類配らせていただいております。まず、黄色い箱の方なんですけれども、こちらは、障がい者の就労施設、釜石ワーク・ステーションのキクイモクッキーです。お皿も用意してございます。そちらの方に開けてお召し上がりいただきたいと思います。そのお菓子の近くにA4の半分ぐらいの紙を配らせてもらってますけども、秋に黄色い花が咲く菊、これがキクイモでございます。根っこが芋のようになりますが、植物としては菊だそうです。これが、橋野鉄鉱山、世界遺産の付近で昔から漬物として食べられていたと。その伝統を使って、クッキーにしたというのが一つでございます。
もう一つの方が、大福でございます。大槌の中心部に御社地という地域があるんですけれども、そこに自転車屋さんとカフェ、これが合体いたしまして「チャリカフェ」がオープンしてございます。昭和の時代に、御社地では大福が作られていたんですけれども、これをチャリカフェの皆さんが地元の味として再現させようと、復興のクラウドファンディングを使って餡練機を導入して、製造しているというものでございます。
いずれのお菓子も地元の味を今後も長く伝えていきたいというイメージ、思いで作られています。どうぞ、遠慮しないで、食べづらいのかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
それから、今日のテーマとして「若者が描く三陸の未来」ということで用意させていただきました。東日本大震災津波から10年8か月が経ちまして、防潮堤ですとか道路の基盤整備が進んできたところでございます。これらの基盤を十分生かして、沿岸地域、日本全国そういう傾向があるんですけども、人口減少の課題を乗り越えていって、永遠にこの地域が、ふるさとがふるさとで残るようにしていくこと、これが復興の大事なことだと思っております。このためには、やっぱり若い方々が地域で十分に活躍、活動できる環境を整備していくことが極めて重要だと思っております。
本日は、各分野で活躍されている若い方々にお集まりいただきまして、皆さんの経験、あとは日頃やっている活動から、こういうのがあったらいいなとか、こういうことが実現したらいいなというような様々な意見をお聞かせいただいて、それを今後に使わせてもらいたいなと思って「若者が描く三陸の未来」とさせていただいたところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
石川部長
チャリカフェの大福おいしいですよね。これ、お昼過ぎに行くと売り切れてたりしてますから、ぜひお召し上がりいただければと思います。
ここからは、本日のテーマ「若者が描く三陸の未来」に沿いまして、現在の取組や課題、今後の方向、御自身の抱負、県への期待なども含めて、お話を伺いたいと思います。
先ほどの自己紹介の順番で、久保さんからお一人5分程度でお願いしたいと思います。
それでは、トップバッター久保さん、よろしくお願いいたします。
久保 力也
はい。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。トップバッターなので、クッキーなんかを食べずに待っていたんですけれども、終わったらしっかり食べようと思います。
私は今ですね、防災教育という部分で、主に企業が多いんですけれども、研修なんかをさせていただいたりですとか、塾をしたり、一次産業をしたり、いろんな活動をしております。その中で感じていることを大きくまとめると四つあるなというふうに思っておりまして、まず一つは、移住者という立場で見たときに、県だとか市だとかがいろんな制度を作ってくれているんですけれども、まず一つ、分かりづらいというところ。これは、どの行政の書類を見てもそうなのかもしれないんですけれども、非常に分かりづらいというのと、制度を作っている側の人たちの熱量であるとか理解度と現場が全く一致していないのかなと。窓口に行って聞いてもですね、結局分からないから上に確認する、その人も分からないから上に確認する、というような感じで、すごい時間がかかるので、もういいやとなるんですよね。それなら、そんなに時間を費やすのなら、僕らはその制度を活用しないで自分で何とかしますというふうになる。せっかく予算を作ったりですとか、それに向けてたくさん時間を割いているものが、なかなか活用されていないというのがあるのかなというふうに感じていますので、これは別に移住とかそういうところだけではなくてですね、いろんな制度について、もう少し県民や市民が分かりやすく、かつ、高齢者とかそういった方々も分かりやすいものというのがあると、もっともっと皆さんの生活が損をしないというか、もう少し良い生き方ができるのかなというふうに思っております。
もう一つがですね、特に高速道路、三陸道とか釜石道を見てて思うんですけれども、一つは1車線しかないというところが多いので、追越車線が出てきても1キロ未満で坂道の途中なんかだと追い越せない。かつ、特に高齢者とかが60キロ以下で走っていたりですとか。これ、まず危ないんですよね。こちらが別に飛ばしているわけではなく、制限速度どおりで走っていたとしても、前に突然40キロ、50キロの車が現れると非常に危ないなと。速度制限超えてる車に対しては、よく違反を取り締まるとかあるんですけど、以下の車もやっぱり指導していかなければ事故につながるということ。あとは、トラックの運転手の方々とかとよく話すことが多いんですけれども、やっぱり到着時間が遅れるんですよね。すると、生産力が落ちてしまいますので、次はそこには頼まないとか。例えば、仙台で何か物を卸したい、岩手の食材がいいから仕入れたい、というところがですね、到着しないから、時間に遅れるならいらない、ならば近場で揃えてしまうと。せっかく岩手の物が外に出る機会があるんですけれども、これは物じゃなくて人もそうなんですけれども、せっかく三陸道とかしっかり通ったのに、そのあたりがうまく活用できていないなと。そのあたりがもう少し改善されれば、生産力というのがもう少し上がるのではないかなと思っております。
もう一つはですね、やっぱり僕は、神戸、京都と過ごしてこちらに来たんですけれども、若い人たちの手取りが少な過ぎます。どの企業を見てても。これだと、やっぱり飲みに行かないですし、地元でお金を落とさないし、何かお金を使わない若者が多いなと思っていて、もちろん、その若者が自分の生産力を自分で上げていくということも大切なんですけれども、何か企業への補助であるとか、若者を雇用したことによって、例えば企業は少しメリットがある、何か控除を受けられるだとか、何か特別な補助があるみたいなことがあるとですね、倍にしろとは言わないですけど、例えば10%とか15%ぐらい若い人たちの賃金が上がってくるみたいな制度があると、企業の雇う側としては、若者をいっぱい雇用しようと。それとですね、釜石、岩手県で働きたい人たちが働ける環境、どうしても賃金でやっぱりやめておこうというような声もよく聞きますので、何かその辺りは改善していかなければいけないのかなというふうに思ってます。
今、塾をしているので、教育現場のお話をよく聞くんですけれども、いじめとか不登校というのが何か非常に多いなと。僕の世代もちろんありましたし、その前からずっとある問題だと思うので、そこはある程度仕方ない部分もあると思うんですけれども、それに対して、今の先生方が怒れない。結局、親のクレームですとか、そういったところにびびってしまって、怒れない先生が多いと。なので、親も子どもも学校の先生をなめてるような状態になっていて、だから何をしてもいいというか、やっぱり怒らなければいけないところはしっかり怒らなければいけないし、止めなければいけないものは止めないといけないと思うんですよね。そのあたりは、先生を守るというような視点で、もちろん感情的な部分だけで体罰ですとか怒って指導しているみたいなところは駄目なんですけれども、どうしても子どもたちが判断を間違ったときにはしっかり怒れる、それに対して行政もバックアップをしてあげる、というようなところも必要なのかなというふうに、この1年間で思いました。以上になります。ありがとうございます。
石川部長
ありがとうございました。それでは、知事からお願いいたします。
達増知事
はい、ありがとうございます。そうですね、県、市の制度が分かりづらい。ともすれば、普通にしていると行政の方が受け身になって、申し込んでくる側、制度を利用する側が一生懸命調べて、落ち度のない書類を提出して、それで認められて初めて制度が利用できるのだから、それを試すみたいな感じで、静かに眺めているような行政になりがちなんですけれども、そういうのを改めていかなければならないところですね。行政は行政で、やはり地域振興、そして住民のエンパワーっていう、それがミッションですので、もっと住民に寄り添う、住民がちゃんと力を高め、幸福度を高めているのを確かめながら行政を進めるような感覚を広げていきたいと思います。
道路1車線問題は、日本全体の問題でもあり、至るところに1車線道路、自動車専用道路でありながら片道1車線というところがあるんですが、なるほど、運送業者の人がそれを嫌うというのは忌々しい問題で、せっかく一度、宮古・室蘭のフェリー航路ができたんですけれども、いまいちトラック運送が伸びないということで、今、停止状態になっているんですが、そこはちょっとどうにかしなくてはならない問題だと思います。
若い人の手取りが少ないのは、やはりそういう実態があるなと、改めて確認できたなと思ってます。人口減少問題の中では、それゆえに、結婚して、出産、子育て、家庭を築くというところまで進めない若い人が最近日本で増えているという問題にも関係していて、地域全体の問題でもあると思います。若い人が、所得、お金を増やすよう、企業の賃金を増やす働きかけはもっと強化しなくてはならないと思いますし、あとは、新型コロナ対策などで雇用を維持している企業には助成金を出すというようなものがあって、この若い人の手取りの少なさというのも構造的に非常事態的なくらい少ないと思うので、政策的にとにかく底上げするような思い切った手を検討しなければならないと改めて思いました。
いじめ、不登校が多く、先生が怒れない問題ですね。これも日本全体に見られる課題で、モンスターペアレントとか強い剣幕の父兄に学校側が対応できないという現象があちこちで起きているんですが、岩手県は、日本で一番県が県立病院を持っていて、病院も剣幕の強いモンスターペイシェント、患者さんとのトラブルというのがあるんですが、それを個別のお医者さんに対応を任せるんじゃなくて、県の医療局という組織で対応するというやり方がありまして、特に法律トラブルなんかは、個別のお医者さん個人や病院に任せないで、ちゃんと統括機関、医療局の方で守ってあげるというやり方がありますので、学校についても、個別の先生、あるいは、場合によってはその学校任せにするんじゃなくて、教育委員会とか、あるいは、地域行政の側で、先生や学校を守るような対応を考えていかなくてはならないと思いました。
石川部長
はい。それでは続きまして、常陸さんお願いいたします。
常陸 奈緒子
はい。よろしくお願いいたします。今、久保さんのお話を伺って、少し緊張がほぐれるかなと思ったんですけど、逆に緊張度が増してしまいました。ちょっと、まとまってお話できるか不安なところはあるんですけれども、今回参加させていただくに当たって、まちづくり会社ということで参加をさせていただいているんですけれども、入社してまだ半年程度というところもありますし、このテーマの「若者が描く三陸の未来」というところに照らし合わせて考えたときに、恐らく釜援隊として、復興支援員として活動していた高校生の地域活動のサポートであるとか、そういったところがテーマに沿ってくるのかなと思いますので、そういったところを中心に少しお話をさせていただければなと思っております。
自己紹介のときにお話を少しさせていただきましたとおり、まちづくり会社の方で契約社員として働きながら、釜石高校で週2日、火曜日と木曜日の放課後に、釜石高校の先生方と市役所の教育魅力化コーディネーターの皆さんと私達のような民間の立場で地域の高校生に関わっているメンバーと一緒に、放課後の居場所づくりという活動を昨年の8月から始めました。すごく多い生徒数ではないですけれども、毎回少しずつ生徒たちが来てくれて、進路の相談をしてくれたりですとか、地域で活動することに向けてのミーティングをしたりとか、ボランティアの説明会をしたりとか。あとは、既に活動を始めている高校生たちが、もっと仲間を増やしたいということで、仲間集めの場として活用してくれたりしています。そういった活動もしておりますし、「釜石コンパス」という釜石市役所の事業としてやっている釜石高校と釜石商工高校で実施しているキャリア構築の支援事業の事務局をしております。
昨年度までは、釜援隊としてそういった活動をずっとしておりまして、活動にかかる経費であるとか、あとは自分の給料、賃金に関しても釜援隊の制度の中でやりくりをしながら進めていくことができたんですけれども、その制度がもう終了して、7年半ほど釜援隊として活動しましたので、そこから、自分が釜援隊の立場ではなく、本当に一市民として、自分がやってきたことを続けていきたいとなったときに、どうやって持続させていけばいいのかというところが、やはりすごく悩みました。教育の分野とかで活動していると、活動の対象となる子どもたち、高校生から直接対価を得るということは非常に難しい構造があると思っていますし、そういった中で、どうやって自分たちの食い扶持を確保していくのかというところは、やはりみんなが悩みながらやっているところかなと思います。活動自体も属人的になりがちなところもありますので、どうやってそれをまちの制度として、仕組みとして続けていくのかというところを、今、継続的に議論をしているところです。民間として、例えば、寄付を募ったりだとか、いろんな収益事業と抱き合わせることで、いろんな利益を得ていくという活動とか努力ももちろん必要だと思っているんですけれども、やはり災害支援のような緊急度は高くなくても、まちづくりとして重要度の高いことに関しては、特に行政と民間の人間が協働して一番動くところ、動くべきところだと私は思っているので、そういうところをどう作っていくのかという。市の人達とは、立場上、今までいろんな意見交換をさせていただく機会がありましたし、現場の先生方とは常日頃からお話させていただいていますけれども、県立高校の高校生と関わっていながらも、県の皆さんがどういうふうに考えているのかということをお聞きする機会がなかなかなかったり、こちらもお伝えする機会がなかったりというところは、今後、機会として、チャンスを得られたらいいなと思っているところです。
あとは、先ほどの久保さんの話にちょっと追加みたいな感じになってしまうんですけれども、やはり賃金が低いというところは、中央と比べるともちろんあるのかなと思いますし、いろんな地方が抱えている課題かなと思うんですけれども、2014年ぐらいから地域の高校生の地域活動に関わる活動をさせていただいてきて、ちょうど今年度で一番初めに関わった高校生たちが就職活動を終えて、社会に出るタイミングになっておりまして、釜石に帰って来たい、岩手に帰って来たいと言ってくれる学生たちがいるんですけれども、東京とか仙台と比べると、どうしても仕事が少なかったりとか、賃金が少なかったりというところで、思いとどまってしまうというか、他のところに流れてしまうというケースは、やはり少しあるかなと思っています。とは言っても、県が助成するというところもありつつ、民間企業それぞれが自助努力をするということと多分並走してやっていかなくてはいけないと思うんですけれども、今、まちづくり会社の方で勤めながら思っているのは、例えば、この活動に対して、一つのところがその人一人分の1か月の給料を全部100%見るというのがやっぱり難しいと思っていて、私の場合は、高校でやっている774プロジェクトという放課後の居場所づくりの活動に関しては、会社の方で、会社の仕事の範囲の中で関わることを認められていて、そこの部分の時間や人件費を気にせずに活動できるような環境をつくれているんですけれども、そういった形でいろんなところがちょっとずつ出し合ったりとか、1か月のお給料を例えば5万円ずつ何か所かで得ることで、1か月の生活を保つことができるというような働き方が、どんどん今、以前と比べて増えてきてると思うんですけれども、そういった働き方が岩手の中でもっともっと推進されるというか、推奨されるような環境ができていけばいいのかなというふうに思います。
だんだんまとまらなくなってきてしまったんですけれども、今ちょっと思っているところとしては、以上になります。ありがとうございます。
石川部長
ありがとうございました。それでは、知事お願いいたします。
達増知事
はい。低賃金問題、まず製造業の分野だと、全国、日本の中で岩手に工場があった場合、日本全体で作る物のかなりの部分を岩手で作るので、製造業の賃金というのは、そんな圧倒的な差はつかないんだと思うんですけど、都会にも地方にもあるようなサービス業では、どうしても相手とする顧客、消費者側の人数が地方だと圧倒的に少ないがゆえに、一人の人が食べていくくらいの収入を得られるような構造にならないという問題があるんですけど、そこはまさに、そういう仕事を複数持って、収入を複数から得ることでやっていくというのが、地方の場合、コツになるんだと思いますね。そこには、農業とか漁業とかも視野に入れて、半農半Xとか半漁半Xとか、そういう複数の仕事から収入を得るというのがうまくやれれば一定の収入が得られる構造が地方にはあるというのは、本当にそのとおりなので、県でも、沿岸の方では、マイクロワーク(プチ勤務)でしたっけ、水産加工工場とかが典型的で、一種のパートなんでしょうけれども、やる人の生活スタイルとかに合わせて、数時間ずつでも追加的に仕事ができるような仕組みを流行らそうとしてますね。
高校というのは、ドラマ「あまちゃん」が象徴的に示してましたけど、大学があんまりなかったり全然なかったりする地方にとっては、高校の存在というのは非常に大きくて、高校生たちが地域のヒーロー、ヒロインとして、地域振興の先頭に立てるような、立ってもらわないと困るみたいな、そういう重要性があるんですけれども、県立高校の場合、県、厳密には県教育委員会となるんですけれど、県教育委員会は、基本は、学業プラス進路ですよね。そこで、高校の経営を見るので、地域振興の側面については、市とか町村とか、その地元側の働きかけとかがないと、なかなか県の側から地域に開いていくよう率先してやるというふうにはなりにくい構造があるんですけれども、釜石高校の場合、市役所がそこに入って「釜石コンパス」をやってるという、まさに、地元市が県立高校を地域に開いて、高校生の潜在力を最大限を引き出そうとしていることで、大変ありがたいと思います。ただ、県教育委員会の方も、市町村に言われたらやるというだけじゃなくて、高校に対して、やはりそれぞれのミッションをきちっと明らかにしてやると。そのミッションは、学業プラス進学だけじゃなくて、クラブ活動とかもあるんですけど、それだけじゃなくて、ちゃんと地域貢献、地域で何をするか、地域との関係で生徒がどう成長するか、というのも県立高校のミッションとしてちゃんと自覚するように、という方針を最近はやっていますので、釜石高校みたいに市側が既にいろいろやろうとしていれば、ますます高校側もそれに乗っていくということになると思います。基本的には、校長先生が経営者として各高校のあり方について仕切るところがありますので、何かあればその学校の先生、そして校長先生ということになるわけですけれども、ただ、その校長先生も県の教育委員会と相談しながらということになってくるので、そこはやっぱり市町村の現場のフットワークの良さに比べると、そうですね、学校というのは、1年の計画をその1年前には確定させて、その1年間の計画はなかなか変えないみたいな、そういう仕事の仕方もあったりするので大変なんですけれども、その辺、大槌でかなりカタリバの人たちが大槌高校を変えてきてくれていて、そういうのは全県にも広がってきてると思うんですね。今、沿岸でやっている県立高校を地域に開いていくやり方は、オール岩手でも非常に助かるやり方なのでですね、ぜひぜひ進めていってほしいのですが、何か困ったことがあれば、やっぱり振興局が間に入って、教育委員会が動かない場合とか、校長先生がピンときてないときとか、振興局が市の言い分も聞きながら、町の言い分も聞きながら、いわば地域住民の幸福は振興局に責任ありますから、県の方もしっかりそこは見ていきたいと思います。
石川部長
はい。それでは続きまして、深澤さん、よろしくお願いいたします。
深澤 鮎美
お願いいたします。「三陸の未来」というテーマで考えさせていただいたときに、どんな未来がいいかなと想像したら、私はこういう子どもの活動をしてるというのもあるんですけれども、子どもたち一人一人が、自分らしく生き生きとしているような環境がたくさんそこにあるという未来がいいなというふうに描いたんですね。今、私がやってることは、子どもたちも大人も自分が自分らしくあれるような環境を作りたいなというふうに思って、主に休日に親子で集まってもらって、自然と触れ合いながら、みんなで子どものことを見守って育てようよという場を作っています。これをもう4年くらいやっているんですけれども、すごくニーズがあるんですね。お母さんたちから、「次いつやるの」とか「子どもたちもあゆちゃんに会いたがってる」と言ってくれたりしてて、自然への関わりとか、みんなで子どもを育てる場という必要性をすごく感じています。
それでですね、知事のお手元にしかないんですけれども、「森のようちえん認証制度」や「やまほいく認定制度」という資料をお手元に置かせていただいたんですけれども、このような自然保育とか森のようちえんというものが、今、全国的に注目を集めているんですけれども、皆さんご存知でしょうか。このようなものが今注目される理由に、やっぱりこの予測困難な時代になってきているということがあって、そういう時代を生き抜くために、自分で考えて行動することであったりとか、自然災害とかもすごく増えてきているので、自然への理解であったりとか、あと仲間と協力しあう力であったりとか、そういうものが必要だというふうに、すごく考えられてきています。この自然保育というものでは、そういうものをすごく効果的に育むことができると言われておりまして、釜石に来たときに、これって防災教育にもすごいつながってるなというふうに思ったんですね。幼少期からそういう力をしっかり身につけていくことで、どんな困難な時代も生き抜いていけると思って、今、取り組んでいます。こういうふうに、いいことがいろいろある自然保育がぜひ広がってほしいと思って活動しているんですけれども、どうしても金銭面的な部分で活動がなかなか増やせなかったり、これをやっていても自分も生活するまでにいかないという課題がすごくあって、地域おこし協力隊として3年間いろいろ市と協働しながらやってきたところもあるんですけれども、予算をつけてもらうどころか、釜石市の子ども課の予算自体が減らされてしまって、提案してきたことができなかったり、難しいと言われるという結果になっているんですね。その状況を受けたときに、子どもって未来であるのに、そこの予算を削られちゃったら、未来への投資みたいなものが何もなくてどうなるんだろうという不安が結構あって、そういうところも自分の生き方も含めて、どうしていったらいいんだろうと考えているところです。
そんな中ですね、先日、県のいわての森林づくり県民税の残高が23億円ほどあるというお話を聞きまして、そういう余っているお金というとちょっと違うかもしれないんですけれども、そういうふうにあるお金を何か未来への投資じゃないですけれども、子どもたちに使ったり、子どもの活動をする団体に投資していただくことができないのかなというふうに思っていました。こういう助成金とかいろいろあるんですけれども、ハード面に対しては助成金がつくのに、どうしても人件費だったり、こういう森林づくり県民税も事務局にはお金がつかないと聞いて、それって何かやろうとしてもなかなかやれる状況にならないよなと思って話を聞いていたので、もう少し、やる人のための人件費であったり、資金面的な部分に使われるといいなというふうに思っております。
こういう森のようちえんの認証制度なども、今、各県でとられるようになってきていて、実は、私も県庁の方に1回出向いて、子ども子育て支援室にお話しに行ったことがあったんですけど、やっぱりそこではあまり取り合ってもらえないというか、こっちはこっちでやってますから、みたいな感じだったんですけど、とりあえず県内でもこういう活動をしている団体がいますよという状況だけお伝えして、全国的にこういう動きもありますので、ぜひ御検討くださいということで、御挨拶に行ったことがあって、こういうのを推進する上で、どういうふうに各県で行ってるかと言ったら、やっぱり知事からのお話で動き始めるとか、教育長がそういうのを推進するとか、どうしても上の方が言ってくれるとすごく進みが早いというのがあって、実際に長野県知事の直属の方からお話を聞いて、いろんな行政も巻き込みながらやっていくとうまく進められるよとアドバイスいただいたので、ぜひ、こういう素晴らしい教育、保育の環境を整えられていければいいなと思うので、今後とも何か御協力いただけたらと思います。以上になります。ありがとうございます。
石川部長
はい、ありがとうございました。それでは、知事からお願いいたします。
達増知事
自然保育とか森のようちえんというのを私が初めて聞いたときに、岩手は普通にみんなそうやっているんじゃないかと思って、最初は関心が低かったんですけれども、やっぱり長野県知事さんとか、ここで資料をもらっている鳥取県知事だとか広島県知事、この3人などは、非常に熱心に森のようちえん制度を広げようということで活動をしていて、そういうのを見たり話を聞いたりしていますと、大事だなと最近は思っております。今日、深澤さんにまた話を聞いて、改めて大事だなというふうに関心を強めました。普通の、今ある幼稚園や保育園がときどき外で活動するのとは、決定的に質的に違う話なんですよね。だからこそ、認証制度というのは必要になってくるし、社会が成熟してきて、なるほど、そういう自然保育というのをより安全に、かつ、効果がある形でやれるようになってきている、そういう制度があるんだなということで、岩手県としても検討していかなければならないと思います。まだ、組織としてあまり知られていない部分なんですけれども、きちんと、特に、長野、鳥取、広島の3県がやっていることを参考にしてですね、これはちょっと検討したいと思います。
それから、森林づくり県民税、元は、森林がボロボロにならないようにちゃんと間伐とか森林の手入れをやるのに使う財源だったわけですけれども、それが進んでいくに従って、森林に関するいろんな県民意識の向上とか、森林理解のための活動にも使っていこうということになっていますので、森のようちえんというくらいですからね、そういう森林行政としての自然保育という観点からも検討したいと思います。
石川部長
はい。それでは続きまして、北浦さんお願いいたします。
北浦 知幸
はい。それでは、私が取り組んでいる震災伝承という切り口も踏まえて、お話させていただきたいと思っております。その中で、以前、大槌町の地域おこし協力隊として、大槌学園のふるさと科というところの授業で、外部から来た人の話を子どもたちが聞いて、逆に魅力を伝えてほしいというような場があって、そこでお話したときに「逆にみんなが思ってる地域の魅力って何か」とこちらから質問を投げかけましたら、確かにすぐパッと出たわけではなかったんですけれども、よく考えたときに、やっぱり大槌の郷土芸能とかそういったものが出るという子どもたちがいて、私は京都出身なんですけれども、魅力とパッと言われて、寺社仏閣という何かよそ向けの答えしか用意できないと感じて、やっぱり自分がそこに関わっている、そういうのが魅力になるというのはすごい大事かなというふうに感じて、やはり自分やその周りの魅力を感じることができる人やまちというのが、今後、まちを良くするので、大事なんじゃないかなというふうに感じました。そして、伝承の部分もあるんですけれども、外部から来た人に、町の記憶として、震災やそこからの学びといったものを伝えることが、この町が外部から来た人を受け入れるということにつながるのではないかなと思います。
今回、若者というのがテーマだったと思いますが、若者と言われる歳なのかと言いつつも、子どもたちの親世代だったりもするような歳ではあります。しかも、若者だからというふうにちやほやされるのではなく、高齢者とかそういう枠組みで決めてしまうのも難しいかと思うんですけれども、地域の担い手の一人として、各自の切り口で、その場で自分にできることが普通にできる環境というのがあればいいのかなと思います。同時に、震災伝承という関わり方でも、もともと経験された方々が中心となりつつも、外部から来た人だったり、次世代との関わりというのは、欠かせないものだと考えてます。だからこそ、そういった震災を伝承するような場が、年配の方々から若い世代が何かを引継ぐ場として、今後生かしていくことができるのではないのかなというふうに考えてます。そういった中では、地域おこし協力隊であったり、そういった町の外から来られた方々の力も合わせて、一緒に同じ町に住む一員として、共に歩んでいける地域になればと願っています。
あと、地域おこし協力隊として活動する中で感じたことではあるんですけども、ミッションとしては震災伝承でありまして、いわゆる一般的に地域おこしや町おこしと呼ばれるものに対して多くの人が抱いているイメージとは若干違うのではないかなというのを感じています。例えば、観光とか地域の産業の活性化でまちを盛り上げていきましょう、といったような仕事は、よくイメージされがちかもしれないですけども、そういったものと何か違うというふうに見られてるんじゃないかなと。それは、よく協力隊とかが集まる場でも、私自身がやっている業務に他の人からあまり興味を持たれづらいと感じるところでもあります。
その一方で、この津波常襲地域と言われる三陸沿岸においては、過去に大きな津波の被害を何度も受けて、そこで失ったり生み出したり、そして、この地で生き続けてきたということに、経験した人の思い、そういったものから学んで生かせるということは、この地域で生きる人々がハッピーに生きていくための何か根底にあるものを担っているんじゃないかなというふうに私は思っています。私の大槌の受入れ先の団体、おらが大槌夢広場では、ガイドで町内を案内するときに、必ず旧役場の庁舎前で黙祷を行います。ここに、この町で暮らしてる方も皆さん同様にそういう思いを何か根底に持ちながら未来を拓ける、そんな場所になればいいのかなと思います。他の人のところでもお金的な話も出ましたけど、私自身、こういうちょっとイレギュラーな道を進みながらも、やはり今所属している大学の教官からも言われるのが、自分自身もハッピーに、携わってる人自身もやっぱり幸せにならないと、その仕事が続かないですし、選んだ意味もないということなので、そういった部分を目指していきながら携われたらいいなと思ってます。
そもそも防災であったり、減災、防災教育というのを専門分野にしてるところではあるんですけれども、そこを仕事として役所時代取り組んだところでやっぱり思ったのが、そういった防災活動、減災活動をする、そもそもゆとりがあるということがすごく大事で、お金だったり、心、時間にゆとりがないと、そういったいろんな活動、役に立つことに手が出せない。まず、そういったところにゆとりを持つということが、一つのステップなのかなと思いました。
あと、最後に余談的なものですけれども、30代独身男性としての個人的な課題ですけれども、コロナの関係もありまして、外部から引っ越してきた人だったり、いろんな人との様々な意味での出会いの場というのが少ないんじゃないかなと感じてます。移住者同士だけではなくて、地元の人だったり、そういう分け方を超えた関係ができて、同じ地域に住む一員として、共に生きていくことができることを願っております。それは、この地域にもともと住んでいる人だけじゃなくて、外部から引っ越してきた人たちにも、何か必要な心構えなんじゃないかなと思います。以上で終わります。
石川部長
はい、ありがとうございました。それでは、知事からお願いします。
達増知事
はい。おらが大槌夢広場の活動は、非常に充実していて、レベルも高く、大槌の希望になっていると思います。大槌町は、岩手県の市町村の中で、東日本大震災のときに自治体として受けたダメージが非常に大きくて、町長さんが亡くなられ、町の幹部の多くが亡くなられ、この町を代表して判子をついたりとか、いろいろ決定できる状態にない時期もあったりしまして、県が行政事務を代行しなくてはならないんじゃないか、とかですね。もう、その町の自治体としての存続が危ぶまれるような状況がありました。それは、法律上の地方公共団体の存続が危ぶまれたというだけじゃなくて、地域としても、生活から産業からすべての基盤が大きく損なわれて、地域としての存続も非常に危なかったという時期があったわけですけれども、そこで、まず町民の皆さんは力強く立ち上がって、町長選挙が迫っていたんですが、ちゃんと町長選挙をやって、町長を改めて選んで、そういう自治体、そして、地域として自立していこうという思いをほとばしらせて、そこにまた、町外の人たちもものすごい共鳴して、もう日本中からいろんなすごい人たちが大槌にバンバン入ってきて、大槌を支援したということもあります。有力なジャーナリストの方で、長期滞在して大槌を取り上げてくれた方とかもいるんですけれどもね。そういう多くの人たちがいらしてくれて、京都からも大阪からもいらしてくれて、ありがとうございますと、私からも言いたいと思います。
その力をもともと地元にいた人たちの底力と町外からのいろんな新しい力、それを合わせていくのに、震災伝承イコール防災というテーマは非常にいいんだと思います。まず、町の存続のために震災伝承と防災ということが不可欠でありますし、またそれが、全国、更には海外にも参考になるようなものでもありますので、これをきちっとやっていくということで、人と人とが協力しつながっていければ、それが一つ、大槌の未来に向かって進んでいく、太い軸、柱になるんだと思います。ぜひ、それをうまくやってほしいと思いますし、そもそも防災というのが、自治の原点だと思うんですよね。人間が何で集団で暮らしてるのかというのを突き詰めると、やっぱりいざというときの助け合い、火事も含めてですね、防火、防災、それが自治の原点でありますので、防災というところをきちんと徹底的に向き合っていれば、おのずと自治のあり方というのも見えてくるし、できてくるんだと思います。
非常にスピーディーにいろんなことが展開して、新しいことが大槌から生まれているので、県も取り残されないようにちゃんと共に歩んでですね、そして、県としてもそういう大槌の進展に関与して、大槌のそういういいところを岩手全体のものにして、そして、全国や海外にも伝えていくようにしていきたいと思います。
石川部長
それでは続きまして、三浦さん、お願いいたします。
三浦 奈々美
はい。よろしくお願いします。私は、大槌高校魅力化推進員として、取組の成果とそこから感じる課題や要望、提案というところをさせていただきたいと思います。
まず、大槌町では、震災復興の柱として、やっぱり教育を掲げていて、小中一貫の義務教育学校の設置は皆さんも御存知のところかと思いますが、令和元年度から県立大槌高校と大槌町が協働して、大槌高校の魅力化をスタートさせまして、そこで、三陸沿岸地域の復興人材の育成というのを目指しております。大槌高校では、もちろん震災の伝承活動だったり、防災教育というのは柱にしつつも、新たに町内の東京大学の海洋研究所と連携した海の学びですとか、生徒の個々の興味、関心に応じた探求的な学びを地域が支えていくマイプロジェクトというものだったり、新しい取組を様々展開していくところで、やっぱり今、多くの小規模校が統廃合の危機にある中だと思いますが、大槌高校では、ありがたいことに毎年10名ずつ人数を増やして、入学者が増加しているという状況にあります。また、全国募集というところで「はま留学」というものをスタートさせているのですが、今年の一年生には埼玉県から大槌高校で3年間学びたいという生徒もおりまして、来年度もですね、首都圏や関西圏から既に5名の生徒が大槌高校で学びたいと留学を決めてくれている状況にあります。着実に教育というものを通して地域の復興というところに歩みを進めているんじゃないかなというふうに思っております。
少し話は変わりますが、先日、いわて教育の日というものがあって、鈴木寛先生が講演されていたかと思います。その中で、やっぱり東日本大震災で未曾有の本当に災害を経験した地域だからこそ、亡くなった人の御霊に応えるためには、未来の教育に投資をしていくことが大事なんじゃないかという力強いお言葉があったかと思います。やっぱり岩手から新しい時代を切り開いていくために、子どもたちの教育に力を入れていこう、そして地域を盛り上げていこうと頑張っている大槌を始め、そういう自治体にぜひですね、県からもしっかりとバックアップをいただきたいというのが、私からの要望です。
もう少し具体的な要望を2点挙げさせていただきたいと思います。1点目はですね、県として、県立高校の魅力化を進めて行きたい学校にコーディネート人材の配置、配置まではいかなくても、育成の機会などをぜひ作っていただきたいというふうに思っています。コーディネーターとして、外部人材として高校の中に入っていますが、高校の中に先生だけではなく複数の職制が入っていくということが、やっぱり学校を開いていく上で非常に重要だと思います。現在、高校の魅力化促進事業などでも、いろいろな探求的な学びに外部人材を入れる動きが出てきてはいると思うんですけれども、それが一時的なものではなく、きちんと学校とか個人に合ったものにコーディネートしていく、協働体制を整えていく専門人材というのが非常に求められているなと、私も活動していて強く感じています。また、先ほどもお話がありましたが、やはり私のようにNPOの後ろ盾があるコーディネーターはいいですけれども、地域おこし協力隊のような制度で活動されてる方も多い中で、正直ですね、教員の初任給よりも低いような待遇で新しいことにチャレンジしなければいけないという過酷な環境ですと、なかなか魅力化を進めていくことが難しいんではないかなというふうに考えています。ぜひ、県として、こういうコーディネート人材、専門人材の育成や研修などを行っていただき、各高校への配置だったり、活躍みたいなところを御検討いただきたいというふうに思っています。
2点目の要望としてはですね、全国からの入学生、先ほどもお話させていただきましたが、入学生に関する入試制度の弾力化と受入体制の強化をお願いしたいと思っています。来年度は、県立高校14校が県外からの入学生を募集しているんですけれども、第1志望であるにもかかわらず1月の推薦入試を受けられないので、県外から来るのに3月下旬まで合格発表がないというような状況です。せっかく意欲を持っている生徒がこういう状況では、非常にハードルになっていると思います。また、下宿や寮の確保というのも課題ではあるんですけれども、島根県の方では、県立高校で多くの寮を持っていまして、かなりたくさんの方が学びに来られて、実際そこからまた戻って地域活性化の核として活動されている例もあります。よく、県外の生徒にお金を使うのかという御批判もあるかと思うんですけれども、ぜひですね、岩手の地からそういう世界や地域に羽ばたいていく人を育てるんだという意味合いで、学校現場に多様な生徒が学び合えるような環境づくりのために、特に高校の推薦入試制度に関しては、要望をさせていただきたいと思っています。
最後になりますが、私は、ここの大槌町に来て、日本のモデルとなるような教育というのを被災地から作り上げていくことができるという強い思いで日々活動しておりますので、ぜひ、本気で取り組もうとしている自治体や人に対して、県からも様々な形で応援をいただければ嬉しいなというふうに思っております。以上です。
石川部長
ありがとうございました。それでは、知事からお願いいたします。
達増知事
はい、ありがとうございます。地域連携室みたいな地域連携機能というのを学校に設けるという制度になってましたっけって、三浦さんに聞くのもなんなんですけど。
三浦 奈々美
今の現状ですと、私のようなNPO職員が町から派遣されているので、町と県立高校をつなぐ存在にはなっているんですけれども、県立高校の中に地域と連携するという仕組みは正直ないです。
達増知事
東京のいくつかの中学校で、校長先生の裁量で地域連携担当とか地域連携部署を作って、コミュニティスクール制度も併せて地域と連携してやってるというのは、そういうのをやっているところもあるというぐらいでしたっけ。
三浦 奈々美
そうですね。地域連携に関して、やっぱりコミュニティスクールというところの導入も考えていかなければいけないところだと思います。
達増知事
県立病院が地域連携室というのを作るようになっていて、そういう機能というのは、県立高校にも必要ですね。
森局長
大槌高校と住田高校では、地域と連携した魅力化に取り組んでいますが、例えば住田町さんでは、役場の方で連携のための組織を高校の先生方も入れて一緒に作って、教育をどうしていこうか、それから県外の方から来られた方はどうしていこうか、という検討をみんなでやるという形で進めております。大槌町さんもカタリバさんを中心にいろいろとやっているところでございますけれども、今そういうふうな形で、拠点拠点で個別に進んでるという形です。
達増知事
地元市町村主導で進んでいる感じですけど、県側はもうちょっと県立高校の地域連携機能、それはひとえにそれを担当する人材の問題ということでもあるんですけれど、そこを考えて対応していきましょう。
あとは、せっかく留学が認められてるのに、3月まで結果が分からないというのは困りますよね。そこは、やっぱり考えていかなければ、対応していかなければならないところであります。
寮は、盛岡一高を始め、県立高校の寮はなくしていくようなトレンドがあるんですが、良い例としては種市高校ですね。日本唯一の潜水学科、今は海洋開発学科かな。全国から潜水士になりたい人が来ますので、全日本潜水連盟だったか業界団体が寄付をしてくれて、寮を建てたという例がありましてね。維持費は、洋野町が出しているのかな。県も県教育委員会も、行政改革、財政再建の流れの中で寮をどんどん縮小していくトレンドはあるんですが、留学というのは最近出てきたことですからね。葛巻高校の生徒たちも、葛巻町が立派な寮を用意してやっているのを思い出しましたし、これも、県としても市町村と連携しながら対応していかなければならないところです。
石川部長
はい。ありがとうございました。一通り皆様から、それぞれテーマに沿ってお話を伺ったところでございます。時間はあまりないんですけれども、この際、これだけは言っておきたいといったようなお話がありましたらば、挙手をしていただければと思いますが、いかがでしょうか。
久保 力也
はい、皆さんありがとうございました。
2点、一つはですね、この会みたいなところの要望なんですけれども、せっかく御予算ですとか、時間、知事も御多忙かと思うんですけれども、このような時間をとっていただく中でですね、正直この時間数が足りないというのが一つ感想です。第一線で頑張っている皆さんが今日お話したことって本当に表面的なところで、もっともっと深いところというのが恐らく出てくるんだろうなというふうなことを僕自身思っていまして、この後、個別で皆さんに僕自身は聞きたいなとか、その中でコラボできることがあるんじゃないかなと勝手に思っているんですけれども、せっかくこのような機会をいただけるのであればですね、もう少し深い話までしっかりと皆さんで議論できる時間というのがあればうれしかったなというのが1点と、これは、知事にお聞きしたいんですけれども、今日の話し合いの中でですね、これは絶対に変えるぞみたいなところとかですね、何かすぐに動き出さなければみたいなところをですね、もしお考えであれば、1点だけで構いませんので、何か教えていただければなというふうに思います。
達増知事
私から先にですけれども、ちょっと持ち帰って、やっぱりいろいろとそれぞれの担当に今どうなっているか確認したりしながら対応を決めていかなくてはならないと思ってるので、今この場で、まずこれはやるとかというのは、ちょっと後ほどという感じですね。
久保 力也
個人的な感想でもいいので、個人的な思いとして、何かこれは特に力を入れるべきだみたいな、実現するしないは別にして、何かお感じになったことがあればお教えいただきたいんですけど。
達増知事
これもちょっと自分の中でもう少し熟成させたいなという感じがしますので、ちょっと熟成させてください。
石川部長
はい。ありがとうございます。他に皆様よろしいでしょうか。大体よろしいでしょうか。
今日の機会というのは、いろいろな分野の方々に集まっていただいたわけなんですけれども、同じ地域の中でそれぞれ頑張ってる皆さんですので、今日の出会いみたいなものを大切にしていただいて、またいろいろお互いに情報交換などしていただければなというふうには考えております。よろしくお願いいたします。
知事所感
石川部長
それでは、間もなく予定の時間になりますので、最後に知事の方からお願いしたいと思います。
達増知事
はい。この県政懇談会はこれで終わりじゃないですので、と言っても、またこのメンバーでいつ集まるかというのは白紙状態でありますけれども、私が仕事上、また、それぞれ個別に一緒に仕事をする機会などあるかもしれませんし、また、今日集まったことをきっかけに、それぞれ参加者の皆さん同士でいろいろ連絡を取り合ったり、ということもありだと思います。あとは、県の広域振興局、この釜石中央インターのすぐそばに、こういう合同庁舎に県の沿岸広域振興局がありますので、何かあったら県に相談というのもどんどんやってほしいと思いますし、私に直接というのもですね、これから何かあれば知らせていただいたり、相談してもらえればいいと思いますので、これからもよろしくお願いしたいと思います。
今、熟成させているところでありますけれども、やっぱり若い人の手取り収入問題は何とかしなくてはならないなということと、あとは、高校生や高校をめぐる動きに非常に大きな変化、留学を受ける高校が増えているとかですね、県としてもそこに遅れをとらないように、やはり高校の存在というのは、地域にとって非常に大きいし、高校生というのは、どれだけそこで力をつけられるか、認識を広げられるかというのは、その人たちのその後を決め、人類の未来を決めていくことにもなるので、高校については、改めて力を入れていこうと思います。
閉会
石川部長
はい。ありがとうございました。本日は、皆様から貴重なお話をいただきまして、本当にありがとうございます。我々も、今、県全体の問題であります人口減少対策、あるいは子育てをめぐる環境づくりについて取り組んでおりますので、非常に参考になりました。ありがとうございます。
以上をもちまして、本日の県政懇談会を終了いたします。
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