岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会による見解

ページ番号1056749  更新日 令和4年5月31日

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令和4年5月27日、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会から、県内のオミクロン株による感染例を踏まえた見解が示されました。

岩手県新型コロナウイルス感染症に関する見解

令和4年5月27日
岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会

新型コロナウイルス感染症について、県内におけるオミクロン株による感染例を踏まえ、下記のとおり専門委員会の見解を示します。

1 現状分析

(1) 国内での感染状況(国公表資料から)

  • 全国の新規感染者数は、一部の地域を除き減少傾向となっている。首都圏では昨年夏のピーク時を下回る状況にある一方、一部の地域では、昨年末のピークを上回っている。
  • 新規感染者における20代の割合に増加傾向が見られる。また、感染場所として、学校等における割合が増加しており、飲食の場での増加傾向は必ずしも明らかではないが、若い世代の感染者が増加している。
  • 全国的には、病床使用率や自宅療養者数についても、増加傾向にある、重症者数は減少が続き、死亡者数は横ばいとなっている。

(2) オミクロン株の特徴(国公表資料から)

  • オミクロン株はデルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮し、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されている。
  • 主たる感染伝播の場面は、国内では、多くの感染がこれまでと同様の機会(換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起きており、感染経路もこれまでと同様に飛沫やエアロゾルの吸入、接触感染等を介していると考えられている。
  • オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低い可能性が示されているが、現時点で分析されたオミクロン株による感染の致命率は、季節性インフルエンザの致命率よりも高いと考えられる。
  • オミクロン株感染症例におけるウイルスの排出については、時間の経過とともに減少する。有症状者では、発症日から10日目以降において、排出する可能性が低くなることが示された。なお、無症状者では、診断日から8日目以降において排出していないことが示された。

(3) 県内での感染状況

  • 新規感染者数については、1月8日にオミクロン株による市中感染が確認され、4月14日には過去最高の432人を記録したところであるが、その後、曜日による多少の増減が見られるものの、ピーク時に比べて約半分程度の200人前後まで減少している。
  • 病床使用率については、2月5日に53%(入院者数212人/確保病床数400床)を記録したものの、その後の新規感染者は、無症状や軽症の方が比較的多い若年層の方で、入院の必要がなく宿泊療養施設や自宅などにより療養することが可能であったことなどから、ピーク時の5割程度である10%台まで減少している。
  • 2月に開始した自宅療養者数は、4月17日に3,350人を記録し、その後、3,000人台で推移していたが、5月3日以降は3,000人を切り、少しずつではあるが、減少傾向となっている。

(4) 行政の対応状況

  • 岩手県においては、感染急拡大により、1月23日に医療提供体制・公衆衛生体制のひっ迫状況を踏まえ、「岩手緊急事態宣言」を発令するとともに、病床や宿泊療養施設の使用率が増加したことから、2月1日、新型コロナウイルス感染症に係る医療体制をフェーズ3に切り替えたところであるが、その後の経緯として以下の状況にある。
  • 高齢者や基礎疾患を有する方などに必要な医療を適切に提供するとともに、救急医療などの一般医療への影響を最小限に止めるため、地域の診療・検査医療機関、いわて健康観察サポートセンター等による健康観察、医療支援等の体制を県医師会等とともに構築し、自宅療養を開始して現在順調に運用されている。
  • 一方、家庭内感染に端を発する学校、教育・保育施設、高齢者施設、医療機関等におけるクラスター形成を認め、各施設の管理者等に対し、感染対策の具体的な留意事項等について改めて通知を行うなど、行政分野別に注意喚起に努めているところであるが、施設側への要請のみでは必ずしも充分ではない状況がある。
  • 国の対処方針に沿った形で、3月29日からは事業所での濃厚接触者の特定や行動制限について、原則対応を要しないこととしているが、小学校、教育・保育施設、高齢者施設等については、従前どおり保健所などによる濃厚接触者の特定を行い、感染の拡大を未然に防止する対応を行っているところである。

2 専門委員会としての見解

(1) 岩手緊急事態宣言を解除した場合のオミクロン株の特徴を踏まえた感染対策

  • 高齢者においては同居家族以外との面会機会を必要最小限とし、面会に際しては必ず相互にマスクを装用すること。同居家族は多人数での会食などに参加することを控えること。高齢者に面会する目的を有するものは、あらかじめ推奨される回数のワクチンを接種し、事前3−5日程度の行動に留意した上で、会食や長時間の会話は避けること。
  • 高齢者を除く年齢層については、これまで推奨されてきた事項を遵守した上で自ら状況を考慮して対策内容を選択すること。児童生徒等に関しては、従来から行われている季節性インフルエンザ流行時の対策に準じて有症状時の休業や学級ごとの閉鎖などを考慮すること。
  • マスクの装着推奨は長時間の会話や密集を伴う移動や滞在に限定し、開放的な屋外や充分な距離をとった上での運動については必ずしも用いることを推奨しないものの、個人の判断で装着することや装着の勧奨を妨げないこと。
  • 行動歴や自覚症状の申告など、適切な事前のリスク軽減策を講じている飲食店および課外学習施設等においては、遮蔽物の増設よりも充分な換気に心がけるとともに密集状態での発声など、飛沫発生行為を控えるなどの飛沫抑制対策を推奨すること。
  • 商店などにおいては、これまで整備してきた感染対策を継続するものとするが遮蔽物を増設することよりも不特定多数との会話を必須とする職種においては確実に不織布マスクを装着することを推奨する。調理等以外のプラスチック手袋の常時装着は推奨せず、接触ごとのアルコールによる手指衛生を推奨すること。
  • 全ての事業所においては、自覚症状を有する職員に医師の診断を受けることを推奨し、抗原定量検査等によって感染が確認された場合の連絡体制や自主的な接触抑制のための手順の更なる強化を推奨すること。なお、PCR 検査等は陽性者の早期確認を意図するものであり、陰性結果を得た後も確実な感染予防策を実施することを推奨する。
  • 特に保健・医療機関及び保育・教育機関における蔓延は本県の医療体制に直接的な影響を与えることから、引き続き充分な対策を継続すべきこと。すなわち、個人レベルの感染対策においても医療従事者としての対策が求められることから、引き続き一般県民とは区別されるべきこと。
  • 医療従事者等がイベントに参加する際には、所属する医療・保健施設の管理者や参加者自身が医療保健の担い手であることを十分に認識して参加の可否を判断すべきこと。
  • 岩手緊急事態宣言の解除については、基本的感染対策など取組を終了するものでないことを県民にしっかりと周知し、県として引き続き新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するよう対策を講じる必要があること。

(2) 県民の皆さんへのアドバイス

  • マスクの装着推奨は長時間の会話や密集を伴う移動や滞在に限定し、開放的な屋外や充分な距離をとった上での運動については必ずしも用いることを推奨しない。また、充分量のアルコールの確実な刷り込み、石けんによる手洗い、ゼロ密、適切な換気等の基本的な感染対策は新規亜種を含むオミクロン株にも有効であり、市中で流行する多くの感染症対策の観点からも、より適切かつ日常的に励行することが必要です。
  • 外出の際には、混雑する場所や換気が悪く大声出すような場面を避けることが行動の基本です。特に、健康状態が確認できない人や初対面の人との交流も、感染拡大の引き金になることがあります。また、職場の同僚や友人、家族など親しい間柄であっても基本的な感染対策に努めましょう。
  • 会食については、換気等の感染防止対策がしっかりしている第三者認証店を利用することはもちろん、食事中は黙食、会話時にはマスクの着用に努めること、利用者は原則としてワクチン接種を前提とし、参加者については可能な限り、会食前後7日程度の健康状態確認や3-5 日間の自己隔離や自主的に抗原検査を行うようにしましょう。
  • 県内の感染状況は、誰もがいつ感染者や濃厚接触者になってもおかしくない状況が持続していることから、感染者等になった後の流れを平時からホームページ等で確認しておくことや、1週間程度自宅で生活できるような生活物資の備蓄、感染が確認された場合の職場での対応について確認しておくことを推奨します。
  • 若者の感染者数増加に伴って、高齢者の死亡例も確認されています。社会活動を維持しながら、ご自身やご家族の生活と生命を守るため、軽度の発熱や倦怠感、上気道症状など少しでも体調に変化を感じた場合は、新型コロナウイルス感染症である可能性があると捉え、直ちに職場や学校に電話連絡の上で外出や面会を控え(自己隔離)、医師の診断や自主的・公的を問わず積極的な診断検査を強く推奨します。
  • 発症予防・重症化予防のため、ワクチン接種希望の方は、早めの接種をお願いします。
  • 岩手緊急事態宣言が解除されても、岩手県における感染の再拡大、新たな流行の波を乗り切るために、感染防止策を日常に取り入れ行動することが県民の皆様に求められています。

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このページに関するお問い合わせ

保健福祉部 医療政策室 感染症担当
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