平成26年地価公示結果の概要
1 岩手県における平成26年地価公示結果の概要
- 本県の地価は、引き続き下落が続いているが、下落率は住宅地で3年連続、商業地で4年連続縮小。(住宅地:平成25年-2.7%→平成26年-0.9%、商業地:平成25年-4.8%→平成26年-3.5%)
- 盛岡市の住宅地7地点で、長年の地価下落から地価が上昇に転じた。内陸部で上昇地点が現れたのは平成15年以来11年ぶり。
- 沿岸部は、33地点(住宅地25地点、商業地8地点)のうち19地点(住宅地15地点、商業地4地点)で、浸水区域外への移転需要等により、地価が上昇。
2 岩手県の地価動向
住宅地(125地点)
- 県全体では、13年連続の下落となったが、低金利や住宅ローン減税等による住宅需要の下支えや景況感の改善による住宅需要の拡大のほか、東日本大震災津波による浸水区域外への移転需要等により、平均変動率は-0.9%(平成25年:-2.7%)となり、下落率は3年連続で縮小。
- 県内において上昇した22地点は、盛岡市7地点と沿岸部15地点。
最も上昇率が大きかった地点は、宮古市山口3丁目283番(宮古-4)及び大船渡市立根町字中野25番2内 (大船渡-2)で、変動率は9.8%。(参考:宮古-4:平成25年5.0%、大船渡-2:平成25年9.1%)移転需要に加え、三陸縦貫自動車道IC開設予定地に近いこと、近接する国道沿いの商業施設立地による利便性の向上により、地価が上昇。(平成25年:大槌町大槌第16地割字大石前20番49(大槌-2)15.0%) - 盛岡市内で上昇した7地点は、景況感の好転に加え、長年の地価下落による値ごろ感から上昇。
内陸部で上昇地点が現れたのは、平成15年以来11年ぶり。盛岡市の一部地域で、地価は下げ止まりの兆し。 - 最も下落率が大きかった地点は、矢巾町大字北矢幅第1地割11番3(矢巾-4)で、変動率は-9.0%。同地点は、市街化調整区域にあり、昨年8月の大雨・洪水により床上浸水の被害を受けた。(平成25年:岩泉町岩泉字和川原17番5(岩泉-1)、-8.4%)
商業地(53地点)
- 県全体では、21年連続の下落となったが、特に盛岡市の中心商業地盛岡5-5(中ノ橋通)、盛岡5-7(中央通)を含んだ全般で、長年の地価下落による値ごろ感から需要が増加して安定した取引が見られるようになり、下落率は縮小。
- 県内において上昇したのは沿岸部の4地点。そのうち最も上昇率が大きかった地点は、大船渡市盛町字木町 3番4[伊藤住宅](大船渡5-1)9.6%(平成25年:4.2%)。土地及び賃貸物件の需要が高く、供給数が限られていることから地価が上昇。
- 最も下落率が大きかった地点は、奥州市水沢区中町1番15外[わたぼうし水沢店](奥州5-1)の-10.6%(25年:-10.9%)。中心商業地は、空き店舗が多く新規出店がほとんどない。
用途区分 |
住宅地 |
商業地 |
工業地 |
全用途 |
---|---|---|---|---|
地点数 |
124 |
53 |
3 |
180 |
平均価格 |
32,200 |
69,600 |
17,700 |
42,900 |
平均変動率(26年) |
-0.9 |
-3.5 |
-6.6 |
-1.8 |
平均変動率(25年) |
-2.7 |
-4.8 |
-7.7 |
-3.4 |
平均変動率(24年) |
-4.8 |
-7.0 |
-7.6 |
-5.6 |
平均変動率(23年) |
-4.9 |
-7.6 |
-8.9 |
-5.8 |
平均変動率(22年) |
-4.7 |
-8.2 |
-8.1 |
-5.8 |
注1 住宅地は、125地点のうち1地点で選定替を行った。商業地及び工業地は、全て継続調査地点。
注2 「平均価格」は、全標準地を対象とし、十の位を四捨五入したものであり、1平方メートル当たりの平均価格である。
注3 「平均変動率」は、継続標準地ごとの価格の対前年度変動率の合計を当該標準地点数で除したものである。
注4 「全用途」は、平成22年から平成24年は宅地見込地、準工業地及び調整区域内宅地を含み、平成25年は宅地見込地を含む。
3 沿岸市町村の状況
住宅地(25地点)
- 9市町村の平均変動率は2.7%(平成25年:2.7%)。25地点のうち15地点で上昇。
- 市町村別では、大槌町を除く沿岸南部5市町及び野田村で上昇。
浸水を免れた高台等の地区では、引き続き被災者の移転需要が旺盛。また、浸水被害が小さい地区では、復旧・復興事業の進展により需要が回復。 - 一方、住宅等の全半壊件数が少なく、被災者の移転需要が少ない久慈市と岩泉町では、人口減少や景況感の改善が見られない等により、引き続き下落。
商業地(8地点)
- 6市町の平均変動率は0.6%(平成25年:0.0%)。大船渡市、釜石市及び山田町で上昇。
浸水被害が小さい地区では、引き続き復旧・復興事業関係者の需要が強いこと、幹線道路沿いの地域では、復旧・復興が進み、ロードサイド型店舗等の需要の高まり等により地価が上昇。 - 住宅地と同様に、久慈市と岩泉町では引き続き下落。
市町村名 |
陸前高田市 |
大船渡市 |
釜石市 |
大槌町 |
山田町 |
宮古市 |
岩泉町 |
野田村 |
久慈市 |
合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
地点数 |
3 |
3 |
3 |
3 |
2 |
4 |
2 |
2 |
3 |
25 |
26年 |
5.8 |
9.0 |
3.2 |
0.0 |
0.4 |
8.8 |
-8.1 |
1.2 |
-2.7 |
2.7 |
25年 |
3.0 |
6.3 |
2.9 |
10.5 |
2.2 |
5.2 |
-8.2 |
1.0 |
-3.8 |
2.7 |
24年 |
-3.0 |
-4.3 |
-0.8 |
欠損値 |
-2.8 |
-5.4 |
-7.4 |
-5.1 |
-4.4 |
-4.5 |
23年 |
-5.1 |
-1.7 |
-4.8 |
-3.9 |
-4.0 |
-5.7 |
-6.6 |
-3.4 |
-3.6 |
-4.3 |
市町村名 |
陸前高田市 |
大船渡市 |
釜石市 |
大槌町 |
山田町 |
宮古市 |
岩泉町 |
野田村 |
久慈市 |
合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
地点数 |
0 |
2 |
2 |
0 |
1 |
1 |
1 |
0 |
1 |
8 |
26年 |
なし |
7.4 |
1.3 |
なし |
0.5 |
0.0 |
-6.7 |
なし |
-6.3 |
0.6 |
25年 |
なし |
3.1 |
0.0 |
なし |
6.1 |
0.0 |
-4.9 |
なし |
-7.2 |
0.0 |
24年 |
なし |
欠損値 |
-5.2 |
なし |
欠損値 |
-9.7 |
-10.9 |
なし |
-8.3 |
-8.5 |
23年 |
-5.7 |
-6.6 |
-9.2 |
-10.5 |
-10.6 |
-9.3 |
-9.8 |
なし |
-6.6 |
-8.2 |
市町村名 |
陸前高田市 |
大船渡市 |
釜石市 |
大槌町 |
山田町 |
宮古市 |
岩泉町 |
野田村 |
久慈市 |
合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
地点数 |
3 |
5 |
5 |
3 |
3 |
5 |
3 |
2 |
4 |
33 |
26年 |
5.8 |
8.3 |
2.4 |
0.0 |
0.4 |
7.0 |
-7.6 |
1.2 |
-3.6 |
2.2 |
25年 |
3.0 |
5.0 |
1.7 |
10.5 |
3.5 |
4.2 |
-7.1 |
1.0 |
-4.6 |
2.1 |
24年 |
-3.0 |
-4.3 |
-2.2 |
欠損値 |
-2.8 |
-6.3 |
-8.6 |
-5.1 |
-5.4 |
-5.2 |
23年 |
-5.4 |
-3.6 |
-6.6 |
-6.1 |
-6.2 |
-6.4 |
-7.6 |
-3.4 |
-4.3 |
-5.5 |
注1 地価公示法により、沿岸市町村のうち「田野畑村、普代村、洋野町」は調査対象外となっている。
注2 『欠損値』は、震災の影響で継続調査地点がなく、平均変動率が算出できなかったもの。(『なし』は標準地がない市町村)
注3 『合計』欄は、沿岸市町村の継続標準地ごとの価格の対前年度変動率の合計を当該基準地点数で除したものである。
注4 23年は震災前の数値(市町村によって調査地点が異なる)
4 全国の動向
- 全国平均では、住宅地、商業地ともに依然として下落しているものの、下落率は縮小傾向を継続。
三大都市圏では、住宅地、商業地ともに上昇に転換。全都道府県で下落率縮小や上昇への転換が継続。 - 上昇地点数の割合は、全国的に大幅に増加。特に三大都市圏では、住宅地の約2分の1の地点が上昇、商業地の約3分の2の地点が上昇。一方、地方圏では、住宅地、商業地ともに約4分の3の地点が下落。
5 東北の動向
- 宮城県の住宅地、商業地、工業地とも上昇率が拡大。住宅地、商業地とも上昇地点の割合が増加し、住宅地の8割弱、商業地の6割強を占める。
- 福島県の住宅地、工業地が上昇に転換。商業地は下落率が大幅に縮小。
6 地価公示制度の概要
- 根拠法令
地価公示法(昭和44年法律第49号)第2条第1項 - 調査目的
都市及びその周辺の地域等において標準地を選定し、その正常な価格を公示することにより、一般の土地取引価格に対して指標を与え、また、公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もって適正な地価の形成に寄与する。 - 実施主体
国土交通省土地鑑定委員会(事務局:国土交通省土地・建設産業局地価調査課) - 調査対象
県内25市町村の標準地181地点(全国:1,378市区町村の23,380地点、休止地点を含む) - 価格時点
平成26年1月1日 - 価格判定
国土交通省土地鑑定委員会が、不動産鑑定士の鑑定評価に基づき、標準地の正常な価格を判定する。
添付ファイル
1 用途別平均変動率の推移
2 変動率分布状況
3 価格水準高位地点一覧
4 変動率上位地点一覧
5 市町村別の用途別平均価格及び平均変動率
6 全国及び東北各県の用途別平均変動率の状況
7 標準地の公示価格及び変動率一覧表
8 沿岸9市町村の用途別平均価格及び平均変動率
9 地価公示・地価調査の概要
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環境生活部 環境保全課 環境影響評価・土地利用担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
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