平成28年地価公示結果の概要
1 岩手県における平成28年地価公示結果の概要
- 本県の地価は、引き続き下落が続いているが、下落幅は、商業地で6年連続縮小(商業地平成27年 -2.2%→平成28年 -1.7%)。住宅地は横ばい。(平成27年・平成28年:-0.4%)
- 盛岡市など内陸部の住宅地で、上昇及び横ばい地点が増加し、盛岡市の住宅地の平均変動率が平成10年以来18年ぶりに上昇(0.6%)に転じた。 (内陸部 上昇平成27年:9地点→平成28年:21地点、横ばい・上昇地点合計 平成27年:40地点→平成28年:46地点)
- 沿岸部では、13地点(住宅地10地点、商業地3地点)で、昨年に引き続き移転需要等により地価が上昇したが、復興事業の進捗に伴い大槌町と野田村は下落に転じた。
2 岩手県の地価の動向
(1) 住宅地(127地点)
- 県全体では、15年連続の下落となったが、低金利や住宅ローン減税等による住宅需要の下支えや景況感の改善による住宅需要の拡大により、上昇した地点又は下落幅が縮小した地点が多かった。一方、防災集団移転促進事業等の進捗により沿岸部で上昇幅が縮小又は下落に転じた地点があったことから、平均変動率は、昨年(平成27年)と同じ-0.4%。
- 県内において上昇した31地点は、盛岡市とその近隣市町3地点(滝沢市、紫波町、矢巾町)の21地点(うち盛岡市18地点)、沿岸部10地点(宮古市、釜石市、大船渡市、陸前高田市)。
- 上昇幅が最も大きい地点は、大船渡市立根町字中野25番2内(大船渡-2)、変動率は4.7%(平成27年:8.6%)。国道45号線や三陸縦貫自動車道のICに近く、震災後に国道沿いに商業集積が進んだことから、利便性が向上し地価の上昇が継続。(平成27年:陸前高田市高田町字鳴石51番96(陸前高田-1)9.4%)
- 盛岡市は、平均変動率が平成10年以来18年ぶりに上昇に転じた(平成27年:-0.1%→平成28年:0.6%)。景況感の好転に加え長年の地価下落による値頃感等から不動産取得意欲が向上し、住宅地(42地点)の8割の35地点で上昇(18地点)又は横ばい(17地点)。
- 下落幅が最も大きい地点は、一関市千厩町千厩字北方82番1(一関-5)、変動率は-5.5%(平成27年:-4.9%)。人口減少や地域経済が低迷していることなどから地価下落が継続。(平成27年:岩泉町岩泉字和川原17番5(岩泉-1)-6.2%)
(2) 商業地(53地点)
- 県全体では、23年連続の下落となったが、盛岡市で横ばいが18地点(平成27年:16地点)になるなど、長年の地価下落による値頃感から、平均変動率は-1.7%(平成27年:-2.2%)と下落幅は6年連続で縮小。
- 県内において上昇したのは沿岸部の3地点。上昇幅が最も大きい地点は、山田町長崎2丁目6番9外(岩手山田5-1)、変動率は3.5%(平成27年:3.4%)。商業地としては、繁華性が低いものの周辺で住宅需要が高いことなどから地価上昇が継続。
- 下落幅が最も大きい地点は、昨年に引き続き、奥州市水沢区中町1番15外(奥州5-1)、変動率は-6.9%(平成27年:-8.8%)。平成26年12月に周辺にホテルが進出する等により下落幅は縮小しているが、中心商業地の空洞化等により地価下落が継続。
用途区分 |
住宅地 |
商業地 |
工業地 |
全用途 |
---|---|---|---|---|
地点数 |
127 |
53 |
3 |
183 |
平均価格 |
32,300 |
68,000 |
16,400 |
42,400 |
平均変動率(28年) |
-0.4 |
-1.7 |
-2.7 |
-0.8 |
平均変動率(27年) |
-0.4 |
-2.2 |
-4.2 |
-0.9 |
平均変動率(26年) |
-0.9 |
-3.5 |
-6.6 |
-1.8 |
平均変動率(25年) |
-2.7 |
-4.8 |
-7.7 |
-3.4 |
平均変動率(24年) |
-4.8 |
-7.0 |
-7.6 |
-5.6 |
平均変動率(23年) |
-4.9 |
-7.6 |
-8.9 |
-5.8 |
平均変動率(22年) |
-4.7 |
-8.2 |
-8.1 |
-5.8 |
(注1)「平均価格」は、全標準地を対象とし、十の位を四捨五入したものであり、1平方メートル当たりの平均価格である。
(注2)「平均変動率」は、継続標準地ごとの価格の対前年度変動率の合計を当該標準地点数で除したものである。
(注3)「全用途」は、平成22年から平成24年は宅地見込地、準工業地及び調整区域内宅地を含み、平成25年は宅地見込地を含む。
3 沿岸市町村の状況
(1) 住宅地(9市町村、25地点)
- 沿岸住宅地の4割の10地点で昨年に引続き上昇したが、平均変動率は0.3%と上昇幅は縮小(平成27年:2.0%)。
- 市町村別では、沿岸南部4市で上昇したが、災害公営住宅の整備や防災集団移転促進事業等復興事業の進捗に伴い上昇幅は縮小しており、山田町は横ばい、大槌町と野田村は下落に転じた。
- 沿岸北部の久慈市と岩泉町は、下落幅は縮小したものの、人口減少や景況感の改善が見られないことなどにより、引き続き下落。
(2) 商業地(6市町、8地点)
- 8地点のうち3地点で上昇したが、平均変動率は-0.5%と下落(平成27年:-0.3%)。
- 市町村別では、大船渡市、釜石市及び山田町で上昇が継続。震災による移転需要や商業適地の希少性等を背景として、地価が上昇しているが、土地取引は落ち着きが見られる。
- 住宅地と同様に、久慈市と岩泉町では引き続き下落。
市町村名 |
陸前高田市 | 大船渡市 | 釜石市 | 大槌町 | 山田町 | 宮古市 | 岩泉町 | 野田村 | 久慈市 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
地点数 |
3 |
3 |
3 |
3 |
2 |
4 |
2 |
2 |
3 |
25 |
28年 |
3.0 |
2.4 |
2.3 |
-0.4 |
0.0 |
1.2 |
-4.8 |
-2.5 |
-1.2 |
0.3 |
27年 |
6.8 |
4.0 |
6.0 |
0.0 |
0.4 |
4.0 |
-6.1 |
0.0 |
-1.5 |
2.0 |
26年 |
5.8 |
9.0 |
3.2 |
0.0 |
0.4 |
8.8 |
-8.1 |
1.2 |
-2.7 |
2.7 |
25年 |
3.0 |
6.3 |
2.9 |
10.5 |
2.2 |
5.2 |
-8.2 |
1.0 |
-3.8 |
2.7 |
24年 |
-3.0 |
-4.3 |
-0.8 |
- |
-2.8 |
-5.4 |
-7.4 |
-5.1 |
-4.4 |
-4.5 |
市町村名 |
陸前高田市 | 大船渡市 | 釜石市 | 大槌町 | 山田町 | 宮古市 | 岩泉町 | 野田村 | 久慈市 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
地点数 |
0 |
2 |
2 |
0 |
1 |
1 |
1 |
0 |
1 |
8 |
28年 |
なし |
1.1 |
0.6 |
なし |
3.5 |
0.0 |
-5.2 |
なし |
-5.5 |
-0.5 |
27年 |
なし |
1.7 |
1.0 |
なし |
3.4 |
0.0 |
-5.9 |
なし |
-5.4 |
-0.3 |
26年 |
なし |
7.4 |
1.3 |
なし |
0.5 |
0.0 |
-6.7 |
なし |
-6.3 |
0.6 |
25年 |
なし |
3.1 |
0.0 |
なし |
6.1 |
0.0 |
-4.9 |
なし |
-7.2 |
0.0 |
24年 |
なし |
- |
-5.2 |
なし |
- |
-9.7 |
-10.9 |
なし |
-8.3 |
-8.5 |
市町村名 |
陸前高田市 | 大船渡市 | 釜石市 | 大槌町 | 山田町 | 宮古市 | 岩泉町 | 野田村 | 久慈市 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
地点数 |
3 |
5 |
5 |
3 |
3 |
5 |
3 |
2 |
4 |
33 |
28年 |
3.0 |
1.9 |
1.6 |
-0.4 |
1.2 |
0.9 |
-4.9 |
-2.5 |
-2.3 |
0.1 |
27年 |
6.8 |
3.1 |
4.0 |
0.0 |
1.4 |
3.2 |
-6.0 |
0.0 |
-2.5 |
1.5 |
26年 |
5.8 |
8.3 |
2.4 |
0.0 |
0.4 |
7.0 |
-7.6 |
1.2 |
-3.6 |
2.2 |
25年 |
3.0 |
5.0 |
1.7 |
10.5 |
3.5 |
4.2 |
-7.1 |
1.0 |
-4.6 |
2.1 |
24年 |
-3.0 |
-4.3 |
-2.2 |
- |
-2.8 |
-6.3 |
-8.6 |
-5.1 |
-5.4 |
-5.2 |
(注1)地価公示法により、沿岸市町村のうち「田野畑村、普代村、洋野町」は調査対象外となっている。
(注2)「-」は、震災の影響で継続調査地点がなく、平均変動率が算出できなかったもの。
(注3)「合計」欄は、沿岸市町村の継続標準地ごとの価格の対前年変動率の合計を当該標準地点数で除したもの。
4 全国の動向
- 全国平均では、商業地と全用途では8年ぶりに上昇に転じ、工業地は横ばい、住宅地の下落幅は縮小。三大都市圏平均では、住宅地、商業地、工業地、全用途ともに上昇を継続。地方圏平均では、住宅地、商業地、工業地、全用途ともに下落幅は縮小。
- 上昇地点数の割合は、三大都市圏では、住宅地の5割、商業地の7割の地点が上昇。一方、地方圏では住宅地、商業地ともに上昇地点及び横ばい地点は増加しているが、依然として6割の地点が下落。
5 東北の動向
- 宮城県と福島県は、住宅地、商業地、工業地、全用途で上昇を継続。青森県、秋田県、山形県では下落幅が縮小。
- 宮城県は、住宅地は上昇を継続(平成27年:2.3%→平成28年:1.9%)、商業地の上昇幅が拡大(平成27年:2.3%→平成28年:3.2%)し、上昇地点は、住宅地の7割、商業地の6割を占める。
福島県は、住宅地は上昇を継続(平成27年:2.9%→平成28年:2.9%)、商業地は昨年に引き続き上昇し、上昇幅が拡大(平成27年:0.8%→平成28年:0.9%)。上昇地点は、住宅地の7割、商業地の6割を占める。
6 地価公示制度の概要
- 根拠法令
地価公示法(昭和44年法律第49号)第2条第1項 - 調査目的
都市及びその周辺の地域等において標準地を選定し、その正常な価格を公示することにより、一般の土地取引価格に対して指標を与え、また、公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もって適正な地価の形成に寄与する。 - 実施主体
国土交通省土地鑑定委員会(事務局:国土交通省土地・建設産業局地価調査課) - 調査対象
県内25市町村の標準地183地点(全国:1,376市区町村の25,270地点、休止地点を含む) - 価格時点
平成28年1月1日 - 価格判定
国土交通省土地鑑定委員会が、不動産鑑定士の鑑定評価に基づき、標準地の正常な価格を判定する。
添付ファイル
1 平成28年地価公示結果の概要
2 標準地の公示価格及び変動率
3 用途別平均変動率の推移
4 変動率分布状況
5 価格水準高位地点一覧・変動率上位地点一覧
6 市町村別用途別平均価格及び平均変動率
7 全国及び東北各県の用途別平均変動率の状況
8 沿岸9市町村の用途別平均価格及び平均変動率
9 参考資料
10 地価公示・地価調査の概要
PDFファイルをご覧いただくには、「Adobe(R) Reader(R)」が必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。
このページに関するお問い合わせ
環境生活部 環境保全課 環境影響評価・土地利用担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5269 ファクス番号:019-629-5364
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。