令和5年7月27日知事会見記録

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開催日時

令和5年7月27日10時00分から11時05分まで

会見記録

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に知事から発表がございます。それでは、知事お願いいたします。

知事
 岩手県の文化やメディア芸術の振興を図り、岩手の魅力をより多くの方々に伝えるため、「ミセテイワテ動画コンテスト」を開催します。
 8月1日から11月30日まで募集します。
 岩手県の魅力を発信する短編映像作品を募集します。「チャレンジ部門」は31秒以上3分以内、「インスタ部門」は30秒以内の岩手に関連のある動画を募集します。
 特別審査員には映画監督の大友啓史(おおとも けいし)さん、そして、アンバサダー兼審査員には本県出身の映像ディレクター、高橋栄樹(たかはし えいき)さんにお願いします。そのほか、アニメ、映像、写真の各分野で活躍中の方々に審査いただきます。
 コンテストの結果発表・表彰式は、令和6年2月を予定しています。
 著名な審査員の方々に映像を審査してもらえる機会ですので、奮って応募していただきたいと思います。
 そして、いわてマンガプロジェクトでも漫画の形で意外な切り口から様々な岩手の魅力が取り上げられていますが、この短編映像によって、そういった岩手の魅力を発信するという、新しい様々な映像を期待します。
 もう一つの発表事項、8月1日から31日までの1か月間、岩手県に帰省する方を対象に、Uターンを働きかけるプロモーションを実施します。
 盛岡駅ビルフェザン1階に「UターンPRブース」を設置し、県のUターン支援策の紹介や、県就職マッチングサイト「シゴトバクラシバいわて」の登録を促進します。新規登録者には、「いわて牛五つ星」などの県産品を抽選でプレゼントするキャンペーンを実施します。
 期間中は、移住者によるテレビ出演やUターンを促進するためのCMを放送します。
 そして、8月11日、12日には、Uターンプロモーションと併せた「いわて就職マッチングフェア3(スリー)をアイーナで開催します。
 このような取組を通じて、帰省された方々が、岩手県へのUターンについて家族と一緒に考える機会を作ってもらいたいと思います。
 以上です。

広聴広報課
 以上で、知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項2件について、質問があれば各社からお願いいたします。

記者
 「ミセテイワテ(動画コンテスト)」についてお伺いしたいと思います。先ほど知事からも応募の呼びかけがありましたけれども、改めて今回、どのような作品が集まってくれればよろしいかなというような期待感ですとか、あとは応募される方たちへの呼びかけといいますか、どのような作品を期待するかというところを改めて伺えますでしょうか。

知事
 大友啓史監督は、ふるさと岩手において映像文化が発展していくために貢献したいと、かねてから言ってくださっていましたので、改めて映像文化という観点から県民の皆さんをはじめ、県外の方々にも、挑戦していただきたいと思います。
 あとは、10年くらい前にNHKのEテレで「岩井俊二のMOVIE(ムービー)ラボ」という番組がありまして、その読者投稿で3分ぐらいの動画を、これはスマートフォンで撮って応募するというものがありました。スマートフォンで短編映像を撮るというものでも非常に優れた映像作品ができるというのを見ていまして、あれから10年経っていますから、スマートフォンに限らず、今ある、いろんな機械、道具を使えば、3分や30秒以内であっても、すごい作品を作れるのではないかなということを期待しています。
 あとは、「すずめの戸締まり」の新海誠監督は、もともと一人で、アニメをパソコンで制作するということで注目されて世に出た人でありまして、道具や機械を使えば非常に優れたアニメ作品も一人で作れる時代になっています。まして短編映像でありますので、本当にそういういろんなことに挑戦してもらいたいなということを考えています。
 いわてマンガ大賞コンテストでは、岩手の意外な知られざる魅力を漫画で発掘して、非常に分かりやすく、かつ、心にしみ入るように表現する作品がどんどん出てきていますので、(「ミセテイワテ動画コンテスト」でも、)そういう内容の作品を期待したいなとも思います。

記者
 私も「ミセテイワテ動画コンテスト」についてお伺いします。まず、この動画コンテスト自体初めてのものなのかお伺いしたいのと、あと、この集まった動画、例えば受賞作品などは、どういうふうに活用されていきたいのかという2点についてお願いいたします。

知事
 岩手県での開催は初めてです。そして、活用については、(いわて)マンガ(プロジェクト)で行っているように、優れた作品を公表したり、あと、いい作品をまとめて見てもらうような、そういう場を作っていきたいなと思います。

記者
 すみません。ちょっと追加で、例えば今、アート作品などは、生成AIでの作品というのも作れる時代になってきていますけれども、あくまでこのコンテストではオリジナル作品を対象にしているということなので、そういった生成AIによる作品というのは、対象外になるものなのでしょうか。

知事
 究極的には、審査員の皆さんの判断というところかもしれません。というのは、優れた映画でも、過去の黒澤(明監督の)映画のオマージュというのもあるではないですか。アニメでも、「AKIRA(アキラ)」の名シーンがアレンジされて出てくるとか、バイクをキューっとするシーンを今やっているのですけれども、そこを審査員の皆さんに、これはオマージュとか、これはただのまねなのでアウトとか、その辺りは、やっぱりプロの目で見てもらうのかなというふうに思います。

記者
 私も「(ミセテイワテ)動画コンテスト」についてお伺いします。先ほど知事から、これは初開催というお話がありましたが、私、調べましたら、いわて動画コンテスト自体は過去にもやっていたのではないかと思いまして、2016年のいわて動画コンテストの募集要項をちょうどネットで確認していました。これに関しては、作品時間が15秒以上5分以内であるとか、レギュレーションが違うものなので、そういった辺りを含めて、今回はこの短編映像としてのものであるから初開催という認識なのか、そこをお聞かせください。

知事
 そういう意味では、あまり初めてということには、こだわらなくてもいいのですけれども、そういう要領で若者文化祭のときに、それこそ大友啓史監督にも協力いただいて、今指摘いただいたような要領、長さの映像コンクールを行ったことはあります。今回は、その2回目ということではなくて、全く別な形で新しく「ミセテイワテ動画コンテスト」という形でやるということです。

記者
 私も「(ミセテイワテ)動画(コンテスト)」の件でお聞きしたいのですけれども、先ほど優れた作品を公表する場を作りたいとおっしゃっていましたけれども、例えば、県の公式動画チャンネルで一定期間放送するとか、そういったイメージなのか、それとも1回きりのような扱いなのか、どういったものをイメージされているのでしょうか。

知事
 そうですね。漫画であれば本にしたり、あとは、ウェブコミックスも掲載すればいつでも誰でも見られる状態ですけれども、映像についてはいろんなやり方があるのだと思います。そこはまだ考え中というところで、効果的な発表の仕方を工夫していきたいと思います。

記者
 もう一点なのですけれども、審査員は岩手県ゆかりの方たちをメインに選んだという理解でよろしいのでしょうか。

知事
 はい、そのとおりです。
 先ほど名前を発表した2人は岩手県出身ということですが、ほかの人たちは岩手にこだわらず、専門家の皆さんにお願いしたという形です。

幹事社
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問はございません。そのほか各社さんのほうから質問があれば、よろしくお願いします。

記者
 大きく2点伺いたいと思っていました。まず1点目は、昨日(7月26日)まで開かれていた全国知事会についてお伺いいたします。山梨県で、全都道府県が少子化対策に総力を挙げるとした山梨宣言のほうを採択されたということで、改めて全国知事会の成果という部分と、政府に求めていきたいことというところをまず伺えますでしょうか。

知事
 子ども・子育て支援というのは、今回、国を挙げて取り組むというふうにするはるか前から、地方自治体においては取り組んできたことであります。都道府県も人口減少問題ということに昔から直面していたところ、また、都会は都会なりに、子ども・子育て支援というのは昔から重要テーマだったので、昔からやってきてはいるのですけれども、地方創生があって、国と地方自治体が同じ法律のプラットフォーム上で取り組んだりとか、様々情報を共有し、方向性も調整しながら協力し合ってやるということが地方創生を始めてから大分発展してきて、そして、満を持して本格的に、国も、子ども・子育て支援に乗り出すという時代が今年度からスタートしているという背景があります。全国知事会では、今まで磨き上げてきた具体的な政策を、改めて今回、整理して提示し、その中で基本的に現金給付は国の仕事、そして、サービス・現物給付が地方の仕事という基本的な考え方にのっとりながら、国に対しても効果的な施策を求める、そういう提言をしたというのは今回の特徴だと思います。
 特に、子どもの医療費無償化については、岩手県も今年度、全国でもトップクラスの水準にまで引き上げているわけですが、全国的にほとんど全ての都道府県が市町村とともに子どもの医療費無償化、それを事業化して予算も都道府県も出すというふうになってきていて、それによって、ますます、本来これは国がやるべきことだという声が高まったなという印象を持っています。今回の全国知事会では、子どもの医療費無償化は、本来国がやるべきことという発言が非常に多かったですし、提言や様々な宣言などの中にも、その趣旨のことがうたわれましたので、思い切った現金給付の部分を国に大々的に進めてもらい、そして、地方は様々なサービスや現物給付、あとは地方独自の支援を工夫しながらやっていくということを徹底しましょうという流れを発信したところは、意義があったと思います。
 あとは、今回は、子どもの未来のために、地球の未来のためにというスローガンでやりました。気候変動対策についても時間をかけた議論が行われ、山梨宣言にも盛り込まれました。岩手県としても人口減少対策という主軸にGX(ジーエックス)、グリーントランスフォーメーションの翼と、あとはDX(ディーエックス)、デジタルトランスフォーメーションの翼、両翼として政策全体を進めるというのを今年度からやっているわけですけれども、全国知事会的にもデジタルについては大分やらなければということが浸透していたのですが、加えて、グリーンのほうも強調することで、岩手がやろうとしているような形を全国的にもつくったというところに意義があると思います。

記者
 ありがとうございます。もう一つ伺いたいと思っていたのは、知事選について伺えればと思います。昨日ですけれども、連合岩手、あと立憲民主党県連、あと国民民主党県連が次期知事選と県議(会議員)選について、連合岩手の推薦候補者を支援するというような合意書を取り交わしたところであります。国民民主党県連は昨年(令和4年)の参院選でも、党本部の他党推薦候補を支援するのはなかなか難しいといったような、党本部の難しい問題を抱えていたところがあった中で、その流れがあった中で、今回、国民民主党も加わった形で合意を取り交わしたというところ、今回の合意書について所感を伺えればと思います。

知事
 まず、岩手県内的には、日頃一緒に行動している、活動している労組と、そして、政党が一緒になって知事選を応援してくれるということで、大変うれしく思っております。そして、立憲民主党と国民民主党が連合とともに一つになるというビジョンは、国政において模索されているけれども、国政選挙に関しては、全国的には、まだできていないものでありまして、岩手におけるモデルが国政選挙に関しても、モデルになって広がっていけばいいなと思います。

記者
 ありがとうございます。これで知事選に関しては、事実上、立憲、国民、共産、社民と、野党の県連組織があるところは、ほぼ支援というところになったのですけれども、野党の支援体制というところについて、全体について今回期待するところというところを教えていただけますか。

知事
 泉房穂さんにも来てもらって開催した、いわて県民集会は、さらに、そのほかの政党の県議会議員さんがいらしていたり、あとは純粋無所属の県議会議員さんもいらしていたり、そしてさらに、そのほかの政党の関係者も客席のほうには来ていたりしましたので、いわゆる野党共闘以上に広いウイングを構築することができてきているなと思っております。その中でも、政党として組織的に様々なやり方で、一層強力な支援体制をという工夫をしてくださるところが、どんどん出てきているというのは、またありがたいことでありまして、そういう皆さんや、また、組織団体とも協力をしながら、有権者の皆さんがベストの選択ができるよう頑張っていきたいと思います。

記者
 私も全国知事会に関してお尋ねします。今回、青森県のほうでは、宮下知事が就任後初の参加ということで、達増知事と席が隣だった場面も結構あったと思いますが、何か会期中に両県の連携などについてお話交わされたりとかということはあったのでしょうか。

知事
 子どもの医療費無償化はじめ、いわゆる無償化とか無料化とかいう金銭的な支援については、やっぱり国が大々的にやるべきですよねというようなことを言い合ったりしていました。その上で、共通のテーマとして、地方が行う子ども・子育て支援など、人口減少対策などで連携していけるといいですねみたいなやり取りをしていました。

記者
 ありがとうございます。その中で、昨日ですか、2024年問題のところでは、強い危機感を示された宮下知事の発言に重なる形というか、同調する形で達増知事も重要な課題で、問題提起として取りまとめるべきだというふうに発言されたというふうに伺っており、その中で知事会からも緊急提言、これがそのうちというのでしょうか、取りまとめられるような見通しになったというふうに伺っております。実際、そういったやり取り通じて、恐らく今回、宮下知事と初めて対面されたと思うのですけれども、どういった印象を持たれたでしょうか。

知事
 地方が直面している課題、特に人口が比較的少ない、あるいは人口減少が著しい県の直面する課題について、鋭く把握しているなというふうに思いました。そして、把握しているだけではなく、2024年問題のように問題提起も積極的に行って、いいのではないかなと思いました。

記者
 先日就任されたときに、両県の共通の課題についても話し合っていければというふうな感じのお話もされていたかと思います。今回は、特にそういった具体的なものについて挙げてお話をするという時間はなかったというふうに、今の御回答では推測しておるのですけれども、これからの漸進的な両県の共通の課題の解決に向けては、うまく歩調を合わせていけるのではないかとかというふうな感触を持たれたのでしょうか。

知事
 既に両県で共同で取り組んでいる事業が幾つかありますし、連携している分野も幾つかあり、それらの調整の中でいろいろ新しいこともやろうみたいになっていく可能性はあると思っていますし、また、そういう既存の取組をめぐるやり取りの場などで、まだ共同でやっていないような新しい分野についての意見交換なども、だんだんやるようになっていくかなというように思います。

記者
 ちょっと話題変わって、文化芸術の観点でちょっと質問させてください。先日あった(日本)外国特派員協会の会見の中で、いわゆるみんなが見たくなるような美術館とか、そういう技術、芸術のコンテンツがない盛岡で、どのように一流の観光地を目指すのかという趣旨の質問があったと思います。それに対して知事のほうでは、いわゆる日常文化というのが岩手の魅力なのだという趣旨の回答をされていたと思うのですけれども、例えば、今度知事選に立候補を予定されている千葉絢子さんとかも過去の県議会の中で、岩手県立美術館とか博物館の観客数が、秋田とか宮城のものに比べて少ないというふうな指摘もされています。観光地を目指していく上で、そういう美術、芸術のコンテンツがあるというのは、やっぱり一つの強みになると思うのですけれども、そこら辺の知事のお考えを改めてお伺いできないでしょうか。

知事
 若冲展をやったり、それから、ジブリ展をやったときには、ものすごい数のお客さんに来てもらったという実績はあります。一方で、岩手出身や岩手にゆかりのある作家さんたちの芸術作品を見てもらうというのも大事ですので、大勢の人に来てもらうことを想定する企画と、あとは、来る人数よりも岩手として守り、また、発信すべきことを、持続的に関心を持ってくださる方たちとのつながりを強化するみたいな企画も大事なのかなと思います。
 そして、(日本)外国特派員協会での質問の趣旨は、例えば、名古屋のジブリパークとか、あとは東京のどこかでハリー・ポッタースタジオみたいなのができるとか話題になっているわけで、ああいうところはやっぱりものすごい人数の人が行くわけですけれども、盛岡はやはり生活文化が高く評価されていて、住民の人たちが普段から行っているような喫茶店とか飲食店や本屋さん、お店屋さんが、外国人が行ってもすごくいい経験ができますよというところが売りで、盛岡の喫茶店の中には気の利いた絵を飾っているところとか、あとは企画展みたいなことをして、特定の作家さんの絵を一定期間集中して飾る喫茶店とかもあって、そういうものが発展していくことがいいのではないかなと思います。それは盛岡だけではなく、岩手全体としても、生活文化ということに関してかなり見てもらい、体験してもらう価値があるものが岩手にはあると思いますので、やはり、そういうところに力を入れたいなと思います。
 それで、何とかパークとかに比べて劇的に人が大勢来たりはしないかもしれないのですけれども、それが知られていなかったときに比べ、知られるようになって、来る人の数は増えていますので、盛岡以外についても教育旅行の枠組みで知られるようになって来てもらうというのが増えているケースがあったりもしますし、これからも発信を強化して、そういう岩手の生活文化というのを、今以上の人たちに見に来てもらえるようにすればいいのではないかなと思います。

記者
 私からは、昨日、総務省が公表した人口動態調査についてお伺いしたいと思います。今回結果として、初めて全都道府県で減少したというところと、東北全体で減少が大きいという結果になっておりました。特に岩手の減少拡大幅については東北で最大になったというところもありまして、人口減少については知事選でも大きな争点になると思われますが、この辺り、知事はどのように捉えられているか教えてください。

知事
 去年(令和4年)は、やはり日本にとって異常な1年だということが、まずあると思います。新型コロナウイルスのオミクロン株がほぼ1年を通じて流行し、感染者数も3年間の中で一番多かったですし、死者数もコロナ3年間の中で一番多く、超過死亡もかなりあったと言われていますので、まず、数万とか、あるいは10万、20万単位でいつも以上に人が亡くなるというようなことがあった、異常な年だったということがあります。そういう年ですし、また、3年間のコロナ期間の最終年で、婚姻とか出生ということに関しても様々ブレーキがかかったことも推測されています。という状況があった一方、行動制限については、最初の2年間に比べると、去年は飲食店の時間制限などほとんどなかったですし、まず、行動制限もかなり緩かった1年ですので、東京、首都圏などの経済活動が活発になり、コロナ1年目、2年目に起きた地方への人の流れ、脱東京というような人の流れが、むしろ逆流し始めたのが去年でありました。ですから、岩手を含め、地方の県にとっては去年1年間というのはかなり人口を減少させるような特殊事情が重なった1年ではあったと思いますけれども、まず、第一にそうしたことがなかったとしても、構造的に自然減が増え、そして、社会減に歯止めがなかなかかからず、社会減ゼロ、基本的に日本全体、東京への流入をゼロにするというのが目標ですから、地方にとって社会減ゼロを目標にしていると言っていいと思うのですけれども、そこに到達するのがなかなか難しい構造的な理由がコロナ関係以外にもありますので、それはいつもの言い方をすれば生きにくさということで、目の前にある課題でありますので、この生きにくさについて、まず、しっかり対応していくことが大事だと思います。
 あと2つ目は、コロナが婚姻や出生にブレーキをかけたとして、では、コロナ禍が静まれば婚姻や出生はV字回復するかというと、世の中の雰囲気として婚姻しないほうが普通とか、出産しないほうが普通みたいな雰囲気が定着していくおそれというのもあると思うのです。ですから、もともと婚姻や出産を志向していたけれども、コロナで何となく雰囲気的にブレーキがかかっている人たちへの働きかけを、やっぱり改めて強くしていかないと、元に戻らない可能性があるので、そこをしっかり結婚したい人の結婚支援でありますとか、出産したい人たちの出産支援というのを、今まで以上にやる必要があるというふうに考えます。

記者
 ありがとうございます。私のほうから、また別の話題でもう一点お伺いしたいのですが、週明けから盛岡市で(盛岡)さんさ踊りが始まるということで、この点について、観光振興という点で、盛岡、岩手全体に観光客が来るということについての期待感があれば教えてください。

知事
 (盛岡)さんさ踊りは、それを含め、夏祭りシーズンというのを(日本)外国特派員協会のスピーチの最後のところでも宣伝したところなのですが、聞いている皆さんもにこにこしながら聞いていて、関心は高いのだなと思います。去年以上に大勢の人たちが(盛岡)さんさ踊りにも来てくれるのではないかなということを期待したいと思います。
 宮古港に来るクルーズ船は、ちょうど(盛岡)さんさ(踊り)の期間中に来港し、宮古盛岡横断道路を活用して、(盛岡)さんさ(踊り)を見て、また帰るという、そういう団体もいると聞いていますし、かつ道路が便利になってそういうことも可能になっていますので、新たな交通ネットワークを活用した(盛岡)さんさ踊りへの参加、見に来ることを含めて、そういうのをどんどんしてもらえればいいと思います。

記者
 私からは1点、先週ではありますが、全国知事会と経済5団体で人材育成宣言を出されて、知事も作成に携わられたと思うのですけれども、あれを今後、岩手でどう実現していくかということが大事になってくると思うのですけれども、そのプランですとか展望ですとか、今の段階でお考えになっていることがあればお伺いできればと思います。

知事
 経団連所属の個別企業で地方との共創というのを積極的に取り組んでいて、そういう個別企業との連携ということが、まずあると思います。
 それから、経済同友会は、岩手県の岩手経済同友会がやっている、年に1度の戦略会議というのに非常に協力してくれていて、既に、スタートアップ支援とか、デジタル人材育成とか、若い経営者支援みたいな、プラス人材育成みたいな流れの協力をやっていますので、それがさらに発展することを期待したいと思います。
 また、日本商工会議所連合会、商工会議所や商工会についても、ちょうど今年、東北大会規模の大会が岩手で続いているのですけれども、人材の育成ということが、商工会議所と商工会は事業承継という一大テーマと関連づけ、人材育成ということをやはり重視していて、県も一緒に取り組むというような方向性の共有はできているかなと思います。せっかくああいう全国団体そろい踏みで全国知事会と宣言をしましたので、それをてこにしながら、さらに連携や協力を強めていきたいと思います。

記者
 先ほどの人口動態調査の関連ですけれども、日本人の人口については、前年に比べて1万8,000人ぐらい減っているというデータは出ておりますけれども、外国人については1,100人ぐらい増えているという結果が出ておりまして、これは全国も同様だということで、外国人に関しては、技能実習生の絡みもあると思うのですけれども、例えば、外国人の就労支援だったり、外国人に対する受入れの支援について何かお考えはございますでしょうか。

知事
 21世紀の世の中ですので、外国人県民という言い方をしていますけれども、まず、地域社会としては、国籍や人種、民族などにこだわらず、どんな人とも一緒に地域の住民福祉の向上や地域の発展に共に取り組んでいきましょうということが基本だと思います。そういう中で、外国人の住民の方々も一緒にやりましょうということです。ただ、言葉が不自由だったり、様々なごみの捨て方とか、その地域のルールとうまくかみ合わなかったりして、生活習慣で困難に直面している(外国人の住民の)方々が、普通の県民、住民より多い割合でいるという実態がありますので、そういう皆さんへの支援というのはやっていかなければならないと思っています。そういう困難を乗り越えながら、ここはそれぞれの人生の選択でありますから、岩手で働く、岩手で暮らすと決めた人たちは、どんどん来ていただいて、そのとき、既に岩手にいた人たちと一緒に仕事や生活、それぞれの幸福度をお互いに高め合うようにしていければと思います。

記者
 ILC(アイエルシー:国際リニアコライダー)の誘致にも絡んでくると思うのですけれども、そういった外国人を受け入れるといった環境というのは非常に重要視されてくるのかなと思うのですけれども、そういう誘致の部分への何か関係性といいますか、推進策の部分で、こういうのをやっていきたいというのがもしありましたらお願いします。

知事
 全国知事会での議論で、まず、女性に対するアンコンシャス・バイアス、無意識の偏見というのを女性に対してなくさないと、若い女性が地方からどんどん出ていくし、また、地方における結婚、出産も行き詰まってしまうので、まず、女性への偏見というのをなくし、それはイコール、男性が育休をどんどん取って、家事や育児を男性、女性、区別なく一緒にやるということにつながっていくのですけれども、女性に対する偏見をなくすということを突破口にしながら、それは外国人に対する偏見をなくすということにもつながり、あらゆる偏見、そもそも地方に対する偏見というのもあって、地方出身者と東京出身者を比べれば、東京出身者のほうが頭がよくてセンスもいいみたいな偏見がやっぱりあるわけで、外国人問題というものも、そういうあらゆる偏見の中の一つだと思います。それは、やっぱり全体としてなくしていくべきものであり、そういうのが残存していますと、ILC(アイエルシー)誘致ということの妨げになり得るので、ILC(アイエルシー)をつくって世界中の人に集まってもらって研究を進めましょうと言っていくに当たっては、普段から日本国籍以外の人とか、日本以外の国や地域にルーツを持つ人たちとも一緒にやっていくという感覚が非常に大事だと思います。
 ちなみになのですけれども、私は、冷麺やじゃじゃ麺が盛岡のソウルフードになっているというのは、そういう外国にルーツを持つ食べ物がその地域のソウルフードになっているというのは、日本の中にもあんまり例がないのではないかと思っていて、盛岡や岩手というところは、そういう偏見が少ないほう、あるいは本質的にというか、無意識的にというか、少ないという状況があるのではないかなと期待していますので、岩手の人たちは、そういう外国人への偏見というのがなしで一緒にやっていくことが、日本の他の地域以上に上手にやれるのではないかなと期待しています。

記者
 小沢一郎さんについて、政治家としての達増知事の思いについて教えてください。達増知事は、一貫して小沢さんに対して尊敬の念をお持ちでいらっしゃるかと思っておるのですけれども、達増知事が最初に政治家になられた96年のときも、小沢さんから誘われて衆議院に挑戦された経緯があるかと思います。今さらの質問で大変恐縮なのですけれども、小沢さんを尊敬するようになられたきっかけとか経緯があれば教えていただけないでしょうか。

知事
 何もないときに思いを寄せるとか、何にもないとき、例えば、今、この瞬間も尊敬していますとか、思いを寄せていますというような感じではなく、やはり個別具体的な行動とか、あるいは、基本姿勢に対して高く評価する機会が多いということなのですけれども、やはり、竹下内閣の官房副長官をやっているときの日米交渉ですよね、アメリカ相手に半導体とか自動車電話や、あと建設もだったと記憶しますが、非常にタフな交渉をやって、アメリカ側からもタフネゴシエーター、タフな交渉者だとして評価されたりしていたというところが、それまでの日本の政治家になかったタイプなので、すごいなと思っていました。
 政治家になる際は、直接的には、岩手県副知事をやって参議院議員になった高橋令則さんから声をかけていただき、最終面接で新進党、小沢幹事長に面会し、それまでは一度も会ったことも話をしたこともなかったので、本人から直接誘われたわけではないということは確認しておきます。
 あとは、細川連立内閣ができるときの動きでありますとか、民主党で政権交代をしたときの動きでありますとか、そういったときの行動や発言、基本姿勢などが日本に必要な政治家の筆頭かなというふうに思っています。

記者
 ありがとうございます。そうすると、一貫した共感されておられる基本姿勢のようなものが何かあるというわけではなくて、個別のものを見ながら共感されることが多いということなのでしょうか。

知事
 政治の基本は自由であって、誰もが自由に政治に関わり、そして、自由に立候補して、また、自由に投票して、そういう中で国のトップも自由に選ばれていけば、誰がトップでもいいのだと思うのですけれども、ただ実態として、日本社会、多くの人が人に言われて投票するとか、実は自由に投票していないようなことがあったり、(旧)統一教会問題が典型ですけれども、この人を応援しろと言われれば、もう自分の意思は捨てて、自分の主体性は滅却して政治活動するみたいな、民主主義の原理からすると、あってはならない政治が今の日本にはまだ残存していると。そういうのは変えなければならないわけで、そういうのを変えて、本当に自由に基づいた政治を日本に実現していくためには、誰がトップに立てばいいかと考えたときに、やっぱり小沢一郎さんがトップに立つのがいいのではないかと思います。次善の策は、小沢一郎さんとがっちり連携できる人がトップに立つということで、細川連立内閣とか鳩山政権交代内閣などはそういう例だった。一定期間うまくいったと思います。もうちょっと周りの人が協力的になり、国民的な支持ももっとあれば、もっと早い段階で日本は、より良い民主主義政治の国になっていたと思いますけれども、まだチャンスはあると思っていますので、だからそういう日本を変えられる人が小沢一郎さんのほかにいるなら教えてほしいし、そういう人が一人しかいない状態はまずいですから、一人でも多くいたほうがいいわけですけれども、なかなかこの人はそれができるとか、この人はそれをやるとかいう人はいないではないですか。今の日本の政治状況で、この人が先頭に立てば政権交代可能だよという人が、小沢一郎さん以外に今、世間の表に見えるところで指摘されている人がほかにいるかというと、いないし、今、野党統一候補構想みたいなのを掲げる有志の真ん中に座っていますけれども、そういうのを引っ張っていける人がほかにいれば、僕はその人を尊敬し、その人と行動を共にしようと思いますけれども、今のところ見つからないので、いたら教えてほしいと思います。

記者
 ありがとうございます。最後に、9月の知事選の結果は、いつになるか分かりませんけれども、衆議院選に向けてどのように影響するか、どのような試金石になるとお考えでしょうか。

知事
 岩手において、既に今、選挙の投票は与党系の人に投票しなければならないとか、その時々の与党の言うことには全て従わなければならないとか、そういう封建主義的な考えで行動する人は、岩手の場合、少数派なので、今みたいな政治状況になっていますので、それがさらに発展して、日本の民主主義を発展させていく、岩手が原動力になっていくとすれば、国政選挙にもそういういい影響を与えていくのではないかと思います。

記者
 今の質問に対して、小沢さんがトップに立てばというお話がありましたが、このトップというのはどういう意味のトップなのでしょうか。

知事
 総理大臣になれば、かなり今、日本の政治はよくなると思います。総理大臣にならなくても、総理大臣を直接支えるような役でもいいと思いますが、その辺も含めてトップということです。

記者
 トップになれば、本来の民主主義が実現するという趣旨で理解してよろしいですか。

知事
 そうですね、まずそれは、イコール政権交代可能な日本、3度目の政権交代が起こるということで、既にもう実証されていることになりますし、御本人も、過去2回の政権交代は、政権がもう何年か続いていれば、より政権交代が当たり前な日本にできたけれども、短かったということを言っていまして、そのとおりだと思うので、そういう体制が5年ぐらい続けば、日本の政治というのはかなり良くなると思います。ただ、それは、小沢一郎という個人がトップに立ちさえすれば、全て良くなるという意味ではなくて、本気で日本を、政権交代が常に可能な、イコール国民が常に現政権に対してノーを突きつけて、駄目だと思ったら、常に今の政権を変えることができる。これはアメリカ独立宣言にも載っている、国民の生命、自由、幸福の追求を保障できない政府というのは交代させなければならないというのがアメリカ独立宣言の肝なのですけれども、国民がそれをできるようになるという日本にしたいという人がほかにいれば、その人がトップに立てば、日本はそうなるでありましょう。ただ、私は30年くらい、外務省で働いている頃とか、あるいは学生時代から、日本を変えていくリーダーというのは日本にいないかというのを探し続けているところがあるのですけれども、なかなか見つからないなと。そういうリーダーが出てきていないから、まだ日本がそうなっていないということでもあります。

記者
 すみません。関連で、小沢さんが岩手を守るための戦いが始まる、皆さんにも協力してほしいみたいなツイートをしていたのですけれども、知事選へのエールとも受け取れると思うのですが、知事としてはどういうふうに見ていらっしゃいますか。

知事
 一方には、家族的な付き合いをしている者同士の情愛のようなものも感じはしますけれども、もう一方には、日本にまともな民主主義を打ち立てるために、先行してまともな民主主義が比較的機能している岩手県がその良さを守っていくというのが、日本全体にとっても非常に重要だということを言っているのだと思います。

記者
 すみません。あと2点だけ伺いたいのですけれども、先ほど国民民主党の支援の件があったと思うのですけれども、全国的には共産党連合、または、国民民主党が同じ候補を応援する例というのは限られてきていると思います。今回知事選で、達増知事自身が支援を受けられる上で、こうした支援体制が岩手で実現できた理由というのはどういうふうに見ていらっしゃいますか。

知事
 経緯として、東日本大震災津波があり、そして、震災直後の選挙には間に合わなかったのですが、その4年後の私の3回目の選挙に向けて、岩手の共産党の方々が議会の中で復興与党だということを言い始め、そして、知事選でも協力するということになったのは、やはり、東日本大震災津波(の)救助、避難から始まって、復旧、復興と進む中で、その中で共産党の人たちとも、ほかの政党の人たちも、みんなで協力する体制ができたと。復興を進めていくために、オール岩手というくらい広いウイングで協力し合って、復興を進めてきたのだと。その中には、被災者医療費無償化を続けるというような政策から復興道路の建設まで、様々な復興事業があったわけですけれども、そういったことを力強く進めていくために、復興のためには、対立という小異を残して大同につくというのでしょうか、いろんな別の分野の政策論では違いがあっても、岩手で復興を進めて、岩手県民一人ひとり、少しでも幸福を高めていくということに関しては、広範な連携が必然的に起きているということだと思います。

記者
 分かりました。あと最後にもう一つ伺いたいのですけれども、内閣支持率がかなり続落していますけれども、この件に関する所感と、あと自らの知事選にはどんな影響があると思うかを教えていただきたいです。

知事
 マイナンバーカード関係のことについての不満や不安が大きいのだと思いますけれども、それは一つの象徴的なことで、コロナが3年続いたところにウクライナ戦争に起因する物価高もあって、国民の生活や経済が非常に危機的な状況にある、まず、そこに向かい合わなければならないときに、国民が求めていないことで、どたばたしているようなところが支持率低下につながっているのだと思います。
 知事選等の関係については、基本的に自民党の総理大臣の内閣ですから、内閣支持率が下がっていくということは、自民党が応援する候補には不利な要因になるのだと思います。

記者
 1点だけ、短く。小沢一郎さんと直近での接触はありますか。

知事
 ぱっと思い出せないくらい、最近は直接会ったりしていないですけれども。

記者
 では、結構です。

知事
 そうですね、最近は会っていないというのが答えですね。

広聴広報課
 以上をもちまして、記者会見を終了いたします。

次回記者会見

次の定例記者会見は8月7日(月曜日)の予定です。

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