令和6年1月12日知事会見記録

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開催日時

令和6年1月12日10時00分から10時58分まで

会見記録

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は、知事から発表事項が2件ございます。それでは、知事お願いします。

知事
 令和6年能登半島地震での岩手県の支援状況について発表します。
 冒頭、犠牲になられた方々の御冥福をお祈りし、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
 岩手県では、地震発生時から24時間危機管理警戒体制で情報収集を行っていましたが、被災地からの支援要請に対応するために、1月5日に「令和6年能登半島地震に係る岩手県応援本部」を設置しました。
 県の支援状況については、(記者席配布)資料の2ページにありますが、医療・福祉関係で、保健師等チームを1月6日から石川県に派遣しております。また、DMAT(ディーマット:災害派遣医療チーム)、DPAT(ディーパット:災害派遣精神医療チーム)、日本赤十字社岩手県支部の救護班が現地で活動中、または派遣を決定しているところです。
 (記者席配布資料)3ページの自治体支援関係では、国土交通省からの要請を受け、仮設住宅建設に向けて3人の建築職員の派遣を決定しています。また、事務職員、廃棄物処理担当職員などについて、派遣要請があり次第、速やかに出発できるよう準備をしています。
 県警察本部の広域緊急援助隊警備部隊は、石川県で活動中です。
 物的支援については、県が備蓄している水や非常食、毛布等の物品について、要請に応じて送付できるよう準備をしています。
 それから、市町村や民間企業において、炊き出しやテント型シャワー室の提供など、被災地のニーズに応じた支援を行っています。
 このほか、避難者の受入れのため、県営住宅、市町村営住宅合わせて262戸が提供可能というように準備されています。
 (記者席配布資料)4ページの表にありますとおり、全国の自治体が広域支援をしておりますが、この広域支援は、東日本大震災津波や、その後の大規模災害を踏まえて、災害規模や被災状況に応じて、国や都道府県が連携して支援の調整を行う仕組みとなっています。
 今回の支援についても、被災自治体からの要請を総務省が取りまとめ、総務省から全国知事会を通じて各ブロック知事会に要請が行われています。
 北海道東北地方知事会では、今年度(令和5年度)の幹事である北海道が派遣する道県を調整・決定しており、次に要請があった場合は、本県が派遣することとなっています。次に現場のほうから要請があった場合には、岩手県から派遣するということです。
 派遣による支援は、長期となる可能性があることから、市町村にも職員の派遣をお願いするなどしながら、県を挙げて支援をしていきたいと思います。
 被災地では甚大な被害が出ており、岩手県では今後も、全国知事会や県内市町村等と連携しながら、被災県を支援してまいります。

 次に、令和5年度行政経営功労者表彰被表彰者の決定についてです。
 今年度の受賞者は、岩手県収用委員会の委員として御尽力いただいた小泉寛(こいずみひろし)様、「持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会」の構成員として御尽力いただいた辻琢也(つじ たくや)様、金﨑健太郎(かなさき けんたろう)様、神尾文彦(かみお ふみひこ)様、沼尾波子(ぬまお なみこ)様、堀場勇夫(ほりば いさお)様の6人になります。
 表彰式は1月31日、トーサイクラシックホール岩手で行います。

広聴広報課
 以上で、知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項2件について、各社から質問があればお願いいたします。

記者
 能登地震の支援について、細かいところの確認をさせていただければと思います。(記者席配布資料)3ページ(イ 自治体支援)の事務職等派遣の件のところ、派遣要請があった場合に職員を派遣予定とありまして、その後に派遣職員は人選済みというふうな記載があります。こちらのほう、人選済みとありますので、規模感でありますとか、どのような職種、どのような支援を行う予定であるのかというところを、まず想定しているところを教えていただければと思います。

知事
 人数の規模は、何人ぐらいかということですが、それは一度に20人という規模です。

記者
 ありがとうございます。もう一点、(記者席配布資料3ページ(4)その他)公営住宅の提供のところなのですけれども、県内全域で計262戸の提供可能と(国土交通省に)回答したとのことですけれども、現時点で被災地からの要請といいますか、入居の申出というのはあるのでしょうか。

知事
 これは、まだないという状況です。

記者
 ありがとうございます。知事の所感を伺えればと思っていたのですが、現地の被災状況、もう10日余りたちましたけれども、現時点で報道等、あとは現地に派遣された方々の報告等を受けて、現地の一番のニーズといいますか、どういったところが求められていて、特に東日本大震災の経験といいますか、教訓も踏まえて、どこか目詰まりになっているところがないのか、気にかかっているところがあれば教えていただきたいと思うのですが。

知事
 報道などから見えてきているのは、いまだに被災の現場で崩れた家の中に人がいる可能性があり、それをまだ確認できないでいるところや、今、捜索中のところがあるということ、そして、避難所での生活がかなり厳しくなっているということだと思います。
 今回の能登半島地震で一つ鍵になるのは、道路ということだと思います。これは、あくまで後知恵なのですけれども、どういうふうにこの道路を切り啓(ひら)く、啓開、そして、復旧させていくかということを国(土曜)交(通)省、県、そして、民間の事業者やその団体、それから市町、そういった道路に関わる主体がそろって作戦を立てて、そして、最大限効率的な道路の復旧のさせ方というのを早い段階で決めて、スピーディーにやれれば良かったのではないかと思います。
 もう一つは、能登空港が能登半島、奥能登のほぼ中心にあり、そこをいち早く修理して使えるようにし、そこから道路にも入っていくというようなこともあり得たのだと思います。
 岩手県の経験を思い出しますと、国管理の道路、県管理の道路、そして、地元市町村、民間事業者が、それぞれ被災地に現場を抱えていたので、すぐに連絡調整を取りながら「くしの歯作戦」をみんなで力を合わせて、スピーディーにやったということを思い出すのですけれども、能登半島には国管理の道路がなく、県管理国道か、県道か、あとは市町道なのだと思うのですけれども、国交省にどういう役割を果たしてもらうかということを早い段階で、また、そこで大々的に入ってもらうということを決めておけば良かったのではないかなと思います。交通が確保できれば、捜索も、より早め早めにやれるようになりますし、そして、避難所支援についても、よりスピーディーにやれるようになります。
 道路の啓開、復旧については、自衛隊も重要な主体でありまして、国交省に加えて自衛隊も早い段階から道路の復旧作戦について関係者と作戦を共有して、すぐにそれを実行するという体制を作れれば良かったのだと思います。

記者
 今の質問にも関連するのですけれども、今回、初動の部分についての報道というのが、だんだん時間がたってきて出てくるようになっております。例えば、馳(石川県)知事の初動であったりですとか、自衛隊の派遣の初動であったりとか、政府の初動の対応であったりとかというところに関してですが、東日本大震災の当時、達増知事が対応に当たられ、御自身の御経験と比べての今回の能登半島地震での各初動についての現時点での所感をお伺いできればと思います。また、その当時の経験が生かされていたのか、いないのかというところの御感想が、もしおありになればお願いします。

知事
 東日本大震災津波については、宮城県沖(を震源とする)強い地震で大きな津波がある可能性が何年か以内に九十何%ということで予測されていて、日頃から、津波の対策、避難訓練、また、いざというときの消防、警察、自衛隊、国交省、そのほかの災害関係機関の動き方についても、遠野(市)を後方支援拠点とした訓練でありますとか、花巻空港を広域医療搬送の拠点にする訓練ですとか、そういうのを震災のちょっと前にやったりもしていまして、規模については想定をかなり上回る規模だったのですけれども、基本的にやるべきことというのは、ある程度心構えがあって準備されていて、そして、初動に出ることができたということがあったと思います。
 今回のケースは、ほとんど想定されていないような強い地震と、また、津波も起きたということで、なかなか予定されていたことを、まずしっかりやれば初動対応になるというわけではなかったというところが違うと思っています。
 そういう意味で、今まで想定していなかったことに対応するとか、今までやったことがないようなことを初動で行うということが求められたのでしょうけれども、これは後知恵になるのですけれども、やはりできるだけ早い段階から被害の大きさや人的被害の多さということも念頭に置いて、国のマンパワーや資源を大々的に投入すると同時に、地方や民間との連携についても早い段階から、より大きな形でやっておけば良かったということは言えるのだと思います。後知恵になりますけれども。

記者
 ありがとうございます。もう一点、今回、たくさんの人的、物的支援を、(支援状況として)並べていただきましたけれども、特に物的支援について、いわゆる国の部分でプッシュ型の支援というふうなところが(東日本大)震災以降、熊本地震だったりとか西日本豪雨であったりとかでも盛んに述べられてきたところかと思うのです。今回は、非常にニーズを踏まえてというところを強調されるような、県においても国においてもあったかと思います。どういった事情でプッシュ型というよりは、こういったニーズを踏まえての支援という形が重視されているのかと、変遷も踏まえて少し御説明いただいてもよろしいでしょうか。時期的とか、交通アクセスというところももちろんあるのかなと思うのですけれども。

知事
 プッシュ型支援というのもニーズを想定してやるわけですので、取りあえずプッシュする側の身の回りにある(物資を)、何でもいいから持っていけばいいということではなく、何が必要とされているのかを推測し、できるだけ根拠に基づいて内容や量を決めてプッシュしていくということですので、地元のニーズを把握するのが、まず大事ということは常にある、プッシュ型の場合でもそれは言えることなのだと思います。今回は、交通、通信が大規模に使えなくなっていて、現地の状況が分からない中で、なかなかプッシュでいくにしても、何をどのくらい、どういうふうに持っていくかということが難しかったところがまずあると思います。
 あとは、要請に基づいてという点については、やはり要所要所で責任を持ってどういう救助活動をするか、どういう支援活動をするかというのを、その場所場所で市としての判断とか、県としての判断、また、国としての判断がありますので、その責任ある人の判断に基づいて、こういう職種を何人必要としていますというような、そういうニーズ、これは慌ただしい現場の中で何が求められているのかという、特に決定に関する責任者がない中でプッシュしていくのとはまた違い、行政の事務執行として責任の体系、ラインに沿って行政が動いていくという場合については、やはり要請に基づいて対応していくというのが基本になっていくということだと思います。

記者
 私からは、(記者席配布資料3ページ(4)その他)公営住宅の提供についてのところで確認だったのですけれども、今、県営住宅(22戸)と市町村(営)住宅240戸を準備ということなのですけれども、この市町村(営)住宅というのは具体的に何市町村、主に例えば内陸のどのエリアとかというところが分かれば教えていただきたいです。

知事
 後で担当のほうから情報提供します。

記者
 (提供可能戸数は)現時点の数ということなので、更に空きが増えれば、もっと支援の体制というか、受入れの体制を拡充していくということも検討されるのでしょうか。

知事
 やはりこの辺もほとんど前例がないような対応で、被災者本位で困っている方のニーズを見ながら、柔軟に調整、対応していくということになります。

記者
 これまでにそういう大きな地震とか災害などで、県が公営住宅で(被災者を)受け入れるという対応をしたことはあったのでしょうか。

知事
 岩手の中では、東日本大震災津波での内陸一時避難の際に、ホテル、旅館のほか、県や市町村の宿泊施設を使ったりというところがありましたが、他県の災害で被災者を岩手の公営住宅に受け入れるというのは初めてです。

記者
 分かりました。あと一点、今、県職員の皆さんをはじめ、民間の方など支援の輪が広がって、現地で活動されている方もたくさん増えてきています。現地での活動に当たって、知事から何か激励のメッセージ等あればお願いいたします。

知事
 まず、応援する側、支援する側も心身ともに健康でいなければ、的確な応援、支援ができませんので、健康と、そして、安全に気をつけて、無理や無茶はせずやってほしいということがあります。また、岩手県民の中に、今回の地震の被災した方々を支援したい、応援したいという気持ちは大変強くありますので、そういう県民の思いを形にするということです。そういう誇りを持って、県民の思いをしっかり体現するような形で、その現場現場でベストを尽くしてほしいと思います。

記者
 今、石川県のほうで、個人のボランティアは遠慮するようにという要請が出ているようです。まだ余震も続いておりますし、危険な建物等があるからと、いろいろ理由があると思うのですが、先ほど知事がおっしゃったように、支援したい気持ちは、おそらく県民には多いのかなと思うのです、過去の経験から。そういった中での個人のボランティアは、ある程度ちょっと自粛を求められている今の動きに対しては、どう受け止められるか教えていただけますか。

知事
 交通渋滞で、緊急車両が現場にたどり着くのに時間がかかるという問題があって、個人のボランティアについて遠慮を求めているのかなと思いますけれども、場所や時間帯によっては、道路状況はそんなに悪くないというところもあるようですし、また、石川県の中でも金沢市でありますとか、能登半島の手前や、あるいは、更に手前の部分は、かなり行き来しやすいようになっていると(のことです)。また、新潟、富山にも避難所はつくられていて、そこでの活動というのもありましょうから、一般論としては、やはり日本中、日本国民みんなで力を合わせて現地を支援しましょう、応援しましょうということがまずアピールされて、ただし、こういう道路事情など問題のあるところもありますので、こういうところについては注意してくださいということで、(石川)県としては、全国の皆さんどんどんオールジャパンで応援してください、支援してくださいということを、(石川)県自体、言うことを遠慮しているのかもしれないので、であれば国のほうで、今こそ日本国民みんなで被災地を支えよう、応援しようという、そういう役割分担というのでしょうか、そういうことをやればいいのではないかと思います。

記者
 今、知事が話されたように、(石川県が個人のボランティアは遠慮するようにという要請を出しているのは、)渋滞というのが一番大きい理由でした。確かにそうでした。
 それで、(東日本大)震災のときもそうでしたけれども、やはり物資の分配とか、実は人が足りないけれども、そういった事情があって、なかなか受け入れられない。人をどういうふうに配置したりするか、調整したりするかというところがなかなか手が回らなくて、それが必要なところに手が、支援が届かないというようなことは、過去にも、岩手に限らずほかの豪雨災害とかも含めて、ほかの地震災害も含めてあったと思うので、その部分をクリアするのは、やはり今、知事がお話しされたように、国がやっぱり大きくコーディネートするか、あるいは、地方団体としては、全国知事会が何かそういったものを取りまとめて、もう今していると思うのですが、そういった足りない部分の支援をうまく調整するようなコーディネートを知事会とかで主導してやっているような動きというのは、今あるのでしょうか。

知事
 全国知事会は、私もおととい(10日)上京したときに、全国知事会の事務所に寄って激励をしてきましたけれども、事務総長さんが防災服を着ていて、職員の皆さんも防災服を着て連絡調整に当たっていました。全国の都道府県から、積極的にいろいろ意見も出たり、また、そういったのを事務総長さんの下で調整したりとか、かなりそういうところはやっていると言っていいと思います。全国知事会会長の村井(宮城県)知事と私もメール的なもので意見交換、情報共有をしたりもしていまして、救助、捜索のマンパワーや避難所支援のマンパワーが足りないようなので、自衛隊など、国からどんどん入れてもらうべきみたいなことを村井知事に早い段階で伝えたりとか、村井知事からは、村井知事は防災担当大臣と直接会って、そういうやり取りをしているというふうにも聞いてもいますし、その辺は、全国知事会的には、かなり動いていると言っていいと思います。

記者
 すみません。それで、距離的には岩手は、太平洋側と日本海側ということで、今の能登半島地震(の被災地)から離れていますけれども、気持ちとして受け入れるというので公営住宅の用意とかされていますけれども、実際、やっぱり我々というか岩手で一番できるのは、過去のノウハウをどれだけ、被災者の支援、災害関連死等も含めて防ぐためにというような知見を供給することが、一番効果的な支援なのかなと思うので、その部分が知事会なり、あるいは国を経由してなり、うまく発揮されるほうが、今、これだけ全体像、被害の程度もまだ分からない中でも求められているのかなと思うので、そういう人的、物的な直接な支援もそうなのですけれども、そういった蓄積したノウハウの提供みたいなことがより進めばいいのかなと思うのですが、その点、知事はどうお考えでしょうか。

知事
 東日本大震災津波の教訓を踏まえた提言については、報告書(「東日本大震災津波からの復興-岩手からの提言-」)としてまとめていて、県のホームページから読めるようになっていますので、改めてそのことを紹介していきたいと思いますし、陸前高田市にある(東日本大震災)津波伝承館もそのような伝承と発信の拠点ですので、そこから様々な情報にアクセスしたり、また、(伝承館では)、X(旧ツイッター)などでの発信を日頃からやっていて、岩手県の東日本大震災報告書(「東日本大震災津波からの復興-岩手からの提言-」)を紹介したりしています。東日本大震災津波とその後の復興の取組に関する(資料などを)インターネット上で公開している「いわて震災津波アーカイブ~希望~」もありますので、そういう情報の発信と、あとは、特に直接関係あるところにそういうことを伝えていくような工夫をしていきたいと思います。

記者
 被災地の対応、初動のことについて、こうしておけば良かったというお話は、先ほど伺いましたけれども、これからの被災地での復旧、復興の進め方について、震災のときの経験も踏まえて、達増知事御自身のお考えとして、被災地のほうの行政の皆さんにこういうふうに進めていけばいいのではないかというようなお考えがあれば教えてください。

知事
 やはり人の出入りが盛んに行われれば行われるほど、復旧、復興に弾みがつきますので、道路を中心とした交通の復旧というのが、まず急がれると思います。
 それから、避難所支援については、岩手県の場合、自衛隊が岩手県だけで最大1万2,000人入ってくださいまして、いわゆる瓦礫(がれき)の片付けをしながら行方不明者捜索をまず最初、最優先でやるのですが、だんだん時間がたつにつれて、捜索は警察のほうが主としてやるようになり、避難所支援のほうを自衛隊に大々的にやってもらいました。一つのどこかの町だけで(避難所が)50(か所)とかあり、町職員だけでは全然対応できない状況でしたので、一個一個全ての避難所について、調査票を、これは自衛隊が自ら作ってくれまして、三度三度食べることができているかとか、トイレ、風呂、衛生面はどうなっているのかとか、そういうのを毎日きちっと調べて、その報告を災害対策本部のほうで受けて、全部で何百ある避難所のうち、何%はもう食事は大丈夫だとか、食事についても炭水化物だけではなくて、野菜類とか、野菜ジュースとか、そういうものも入っているとか、それをできるだけ完全に、詳細に把握できるようにするということが、被災者一人一人を守ることにつながりますので、そこがまず最初の段階で非常に大事だと思います。
 それから、発災直後から復興の基本理念、基本原則、犠牲になった方々のふるさとへの思いをしっかり引き継ぐ、継承するということと、難を逃れた方々の基本的人権を尊重し、生活、仕事、学びを保障して、幸福追求権を保障すること、そういう復旧、復興の理念を共有しながら、早い段階から復興のビジョンを描いていくことも大事だと思います。
 (被災地には、)歴史と文化、日本を代表する輪島塗という工芸品があり、漁業も日本にとって重要なところなので、国を挙げて支援しながら、地元任せにしてしまうのではなくて、国も大々的に支援しながら、住めなくなった家を解体、撤去した後にどういうまちをそこにつくっていくのかとか、そこでどういうなりわい、産業が維持、発展されていくのかとか、そういうのを早め早めにビジョンを描いていきますと、今は避難所生活だけれども、もうすぐ仮設住宅経由になるのか、やがては持家再建ができたり、災害公営住宅に入れたりして、また、漁業をやることができるとか、輪島塗をまた作って全国の皆さんに売って利用してもらうことができるとか、そういう復興のビジョンが見えてくるということが、早い段階であるといいのではないかなと思います。

記者
 先ほど東日本大震災津波の教訓と提言など、アーカイブも含めてですけれども、情報を直接発信する工夫をしていきたいというお話もありましたけれども、ちょうど今、(東日本大震災津波)伝承館のほうで応急仮設住宅の企画展などもされていて、今の能登の被災地に今後有用な情報が詰まっていると思うのですけれども、そういった形で岩手の知見を今の現地の自治体は、アーカイブとかがあることを分かっていても、それを、情報を精査したり、膨大な情報の中で必要な情報を摘出するというところが、非常に難しい状況にもあると思うのですけれども、(東日本大震災津波)伝承館でやっているような情報の整理であるとか、取りまとめなど、直接、能動的に県から発信していくような考えだったり、動きというのはありますでしょうか。

知事
 保健師の派遣を決めて今日出発というときに、馳石川県知事から電話があって、御礼の電話をいただいて、その際、自衛隊にとにかく何でもお願いし、道路復旧から捜索活動、そして、避難所支援まで、とにかく自衛隊にやってもらうといいみたいなことを言う機会はあったのですけれども、そのときは更にほかのこととか、何か他の参考になることを、情報を岩手から提供してほしいみたいな話にはならなかったのですけれども、現場の状況を見極めながら、うまく岩手の経験を伝えて役に立ててもらえるようなやり方を工夫しながら対応していきたいなと思います。

記者
 あともう一点、先ほど物的支援については、現地で何が必要かを推測して、ニーズを把握した上で行うという御説明がありましたけれども、逆に、これまでこうした被災経験がない現地では、分からないニーズというのも、震災を経験した岩手県にはその知見があったり、そういう物資があるという部分もあるのではないかと思うのですけれども、例えば、今現地に入った人の話だと、避難所の段ボールベッドが不足していて、やっぱり衛生面での問題が非常に生じているという話も聞いていますし、そういう特に避難所運営とか寒さ対策については、日本海溝・千島海溝地震の想定を受けた(岩手県内)各沿岸自治体でも備えが進められていると思うのですけれども、そういう県内の各市町村が、今ばらばらに物資を送っている状況に対して、例えば、県がリーダーシップを取って、各市町村からそういう物資の拠出を求めたり、総務省が今やっているような、対口支援のような形で、県と市町村の連携によるプッシュ型支援を行うというようなこともできるのではないかと、私見では考えているのですけれども、そういったアイデアとか考えというのはありますでしょうか。

知事
 東日本大震災津波のときのことを思い出しますと、まず、避難所におにぎり、菓子パン、カップ麺がどんどん届けられて、炭水化物ばかりだということで、野菜やタンパク質もということになるのですけれども、野菜やタンパク質、肉や牛乳、卵類は、なかなか保存が効かなかったりしますけれども、そういうことをやっていますと、いやいや、1年ぐらい保存が効く野菜ジュースというものが、普通にコンビニ、スーパーなどで売られているよとか、保存が効く大豆飲料なんかはタンパク質で保存が効くのもあるぞとか、やはり被災の現場の中で、今まで思いつかなかったこととか、やったことがないようなことというのは、どんどんアイデアも出てきて、そしてそこに、現場に出入りしている大手スーパーが、「うち、それありますよ」とか、そういうのが現地、現場の中で日々日常的にどんどん変化しながら対応されていくので、ですから、そういう状況の中で、こういうものがないだろうというものが大量にどんと届けられたりしたときに、それに対応する手間とかと考えますと、あのときは、隣県青森県で作ったおにぎりが岩手にどんと入ってくるとか、隣の県から持っていくぐらいであれば、要らないなら持って帰ればいいぐらいな感じで、おにぎりは役に立ったのですけれども、なかなか今、岩手(県)のあるところ(位置を考慮すると)、岩手から被災の現場に避難所で使うもののプッシュ支援というのを、こっち側のアイデアだけで行うというよりは、ちょっといろいろほかのやり方を考えたほうがいいのではないかなと思うところです。
 東日本大震災津波のときには、インターネットや、それから、スマホやタブレットなどの端末もある程度普及してきていて、避難所でそういうのを入れれば、それをすぐに持っていく、特に、漫画の本とか、直接命に関わらないような、健康や安全に直接関わらないような、でも、あると助かるみたいなものなどについて、そういったデジタルを活用しながら、必要なものがぱっと提供できるところにつながって、それがスムーズに持っていかれるとか、いろんなそういう工夫が、今はできる時代だと思いますので、そういういろんな可能性を、そして、それはやはり現地、現場の中から基本的には生まれてくるところがあるので、それをうまく見極めながら支援していきたいと思います。

記者
 これも現地に行かれた方から伺った話なのですけれども、やっぱり岩手の震災のときに機能した遠野(市)であったりとか、アピオ(岩手産業文化センター)であったりとかという後方の支援拠点というのが、なかなか今、ちょっと石川(県)では機能していないのではないかという話も伺っています。例えば、距離的には富山県なんかも近い部分もありますし、石川(県)がそういう対応で追われている中で、隣県にそういう協力要請とか、アイデアを提供するなりということも、例えば、岩手からやったりということもできるのでは、情報提供だったり知見の提供だったりというのも、石川(県)だけではなくて、その周囲にもできる部分もあるのではないかと思うのですが、そういった部分についてはいかがでしょうか。

知事
 そうですね、富山(県)の知事さんは比較的若い世代で、イクボス知事同盟にも入っていて、直接のやり取りというよりは、ほかの知事さん同士のやり取りの内容を私も見られるような感じで、富山県知事さんが発信しているのを仄(そく)聞しているところもあるのですけれども、当初は、とにかく富山(県)の中の対策を専念してやっていたのですけれども、ここに来て石川県への支援を富山県からもかなりやるようになっているので、その辺は、富山県のそういうイニシアチブを尊重していくのを、岩手としても更にそれを見ながら支援していくというふうにしていければと思います。

記者
 私も2点ほど伺いたいのですけれども、1点目は、すみません、ちょっと細かいのですけれども、先ほど村井知事とやり取りをしたという話がありましたが、それはいつぐらいで、メール的なものとは、例えばどんなものだったのですか。

知事
 そこは、知事同士の直接のやり取りで、具体的な手段についてはちょっと非公開としたいところでありますが、私から村井知事、村井会長に伝えたいことは、そういうルートでも伝えられるようになっているし、伝えているということであります。

記者
 発災後すぐなのか、いつぐらいに連絡を取り合っていたのですか。

知事
 発災直後は、毎日毎日一日のどこかでそういうやり取りがあったのですが、最近は二、三日に1回ぐらいかなというところです。
 村井知事さんもいろんな知事さんと積極的に個別の連絡を取って、いろいろ事前の瀬踏みをした上で、事務局のほうに指示を下ろしたりとかやっているので、そういう中でやり取りできる機会もあるということです。

記者
 ありがとうございます。あともう一つなのですけれども、先ほど岩手の知見、ノウハウの提供の質問の中で、「(いわて震災津波)アーカイブ~希望~」ですとか、報告書(「東日本大震災津波からの復興-岩手からの提言-」)を公開されていると思うのですけれども、何かこういったものを公開していますよ、参考にしてくださいみたいなことを石川県側にはどんなふうにお伝えになっているというか、発信されているのか教えてもらえますか。

知事
 事務レベルで、(提言集を発行した際に都道府県に送付するなど)職員同士のいろんな関係の中で伝わっているということです。

幹事社
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いいたします。

記者
 私から一つ、ILC(国際リニアコライダー)関係で伺えればと思います。ILC計画をめぐって、アメリカ政府の科学諮問委員会が素粒子物理学に関する今後10年間の方向性を最終報告書にまとめました。その中では、アメリカとしてILC計画の実現可能性と設計の研究に積極的に取り組むべきだという提言を盛り込んで、2014年にまとめた報告書よりも踏み込んだ内容となったのですが、知事、その辺について所感を伺えればと思います。

知事
 あれはさすがだなと思って、私も報告を聞いておりました。まず、具体的な金額も示しながら、このくらいの額は貢献していきたいということをはっきり言ったのが非常に良かったと思いますし、それだけ具体的な考え方を公にするくらい次世代加速器の建設というのは世界全体にとって重要なことで、その中で日本のILCが基本的な選択肢になっているということが、改めて日本の関係者や広く国民も知ることができたのは大変良かったと思いますので、岩手県としても今回のことも広めながら、国内的な機運醸成、そして、様々な関係方面の準備を進めていきたいと思います。

記者
 私からは、先日公表されました「2024年に行くべき52か所」で、今回、山口市が選ばれたということですが、こちらに関する所感と、ということは2024年以降というのは盛岡市、岩手県に関しては、アフターニューヨーク・タイムズというのでしょうか、ポストというのでしょうか、そういったところでの観光振興について、どのようにしていかなければならないかというふうにも考えるタイミングなのかと思います。その点について、現時点での所感をお願いいたします。

知事
 盛岡市と似たようなところが今回は日本の西のほうから選ばれたということで、非常に良かったと思っています。県庁所在地であること、歴史と文化が大きな特徴であること、そして、混雑しないとか、あとはコーヒーショップも紹介されていました。そういう日常的な生活文化、祇園祭もそうだと思いますが、歴史はすごいのですけれども、年中行事として地域に根差した、そういう生活文化が紹介されていて、盛岡市が紹介されたときと同じような、やはり日本において地方というのは非常にいいところだし、その地方の中の中核市のような、そういう都市が外国からのお客さんを迎え入れる拠点として極めて有効だということを今年も感じることができました。
 そういう中で、やはり最初に選ばれたのは盛岡市でありますので、引き続き、やっぱり盛岡市はすごいと、その盛岡市がある岩手はすごいということはアピールし続けられるなと思います。マスコミの報道でも、去年(2023年)は盛岡市ということをくっつけて、今年は山口市という、そういう報道ぶりもあちこちで見ていますので、外国の人に対しては、両方行って比べてみるのがいいですよというような、そういうことを伝えていきたいと思います。
 それぞれ、他の(選ばれた都市のように)皆既月食があるとか、オリンピックがあるとか、そういう今年だけの話で盛岡市も山口市も選ばれているわけではないので、外国人観光客が日本の地方にどんどん行くような、そういう働きかけを引き続きしていき、日本の地方はとてもいいのだけれども、その中でも特に盛岡市はいいですよ、岩手県はいいですよということは、引き続き発信していきたいと思います。

記者
 ありがとうございます。そういった中で、新年度(令和6年度)予算のほうとかでも、こういったところに注力するというのでしょうか、そういった新たな施策というのでしょうか、施策の充実というのでしょうか、そういったところを何か今のところ考えていることはございますでしょうか。

知事
 去年のニューヨーク・タイムズ紙効果については、ふるさと振興総合戦略、国でいうところの地方創生総合戦略に盛り込んで、そういう意味では4年、5年というような中期的な中で、ニューヨーク・タイムズ紙効果を生かした交流人口の拡大ということは取り組みましょうとしていますので、来年度予算で、部局から上がってきている中にもそういう事業がありますので、生かしていきたいと思います。

記者
 昨年末のことだったのですけれども、小沢一郎さんについて書かれた「政権奪取」という本が出版されたということで、知事もインタビューを受けたということでした。昨夏の岩手県知事選についても触れられていたものですけれども、実際に読まれたかどうか、もし読まれていたら、感想をお聞かせください。

知事
 読みました。一方、過去に出版された本に載っていたのが、そのまま今回再録されている部分も結構あり、細川連立政権発足以来の小沢一郎と日本の政権交代の歴史みたいな本になっていましたので、最近の新しく書かれた部分だけ改めて読んだような格好なのですけれども、取材を受けて、私が話したことは大体そのまま書かれていて、まず事実関係をきちんと書いたものとしては、資料的価値があるなというふうに思っています。

記者
 ありがとうございます。改めて、知事選に関して、小沢さんのほうから地元で知事が頑張っていたり、支援者が頑張っていることが支えにもなるといったコメントも掲載されていましたが、その辺りについて、受け止めといいますか、感じたことがありましたら教えてください。

知事
 日本の政治が、ともすれば諸外国と比べて民主主義として遅れた形になりがちで、そうであってはいけないという問題意識を共有していると思います。そういうところから、政権交代可能な二大政党制という、今、小沢一郎さんが目指している動きが出てくると思いますし、私としても国と地方の関係の中で、地方の側が自由な主体性に基づいて、地方において政策を決めて、国と対等なパートナーとして実行していくという、そういうやはり国際的に見て、後れを取らない地方自治の在り方を岩手にきちんとやっていきたいというところと共通するところがあると思っています。

記者
 私からは1点です。今年、中尊寺の金色堂が建立から900年を迎えるという節目の年になっております。これに伴って東京のほうの博物館でも特別展が開かれるなど、これから盛り上がりの兆しを見せているところなのですけれども、さっきの観光の部分とも関係すると思うのですが、この機をどのように県としても生かしていきたいと考えていますでしょうか。

知事
 私も(特別展の)オープンの日には出向いて、東京から中尊寺、そして、平泉のすばらしさを発信していきたいと思います。やはり世界遺産平泉というのは、世界共通の宝物ですので、日本全国の皆さんはもちろん、海外の方にも自分のものだと思って見に来ていただきたいですし、滞在していただきたいですし、そういうことを今までと違った形で東京から強力に発信できるというのは非常にありがたいことだと思っておりますので、今までにないような形での平泉のアピール、それは岩手全体のアピールにもつながりますので、しっかりやっていきたいと思います。

記者
 岩手には、平泉のほかにも二つの世界遺産がありますけれども、こういったところとも一緒に発信していくという考えもありますか。

知事
 そうですね。この岩手には、三つの世界文化遺産があるということで、西の奈良県、東の岩手県、日本では二つの県だけが三つ世界文化遺産がある県ですので、平泉を前面に出しつつも、もう二つありますよということも、どんどんアピールしていきたいと思います。

広聴広報課
 以上をもちまして、記者会見を終了いたします。

次回記者会見

次の定例記者会見は1月29日(月曜日)の予定です。

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